44話
(やっぱり、マナさんに攻め込むなら、スピードより手数かしら?あっさり対応されそうですし‥‥まだ、魔法の威力に関しては自信がないから、そうした方が良さそうね)
「小さき欠片よ、全てを凍てつかせるべく結晶となりたまへ。愛おしき結晶よ今ここに咲き誇れ。群青雹六花」
イオナは、試験の時よりも小さい六花にする事で、六花の数を増やした。その数は、およそ100と少し。
(試験の時よりも、数倍多くなっている!よく、この短期間で‥‥)
「はっ!」
十数個の六花が、マナの足元に向かって放たれた。
(横の範囲が広いですね。飛んで躱すしかない)
マナは、これを軽く飛んで躱す。ーーーーが、イオナはこれを狙っていた。
「アイスブラストッ!」
(空中なら動けないはず!)
「!!飛んだ瞬間を狙っていたんですね。アースウォール!」
ズゴンッ!‥‥ピキピキイッ!
マナの前に現れたアースウォールが、アイスブラストにより凍り始めた。
「まだまだぁ!」
イオナは壁を迂回し、残りの六花を全てマナに放つ。マナは六花に囲まれる形となった。
「あの時と、状況が似ていますね」
マナが服の中から、小型の銃を取り出そうとする。
「あの時とは違います!」
マナを囲っていた六花が回り始めた。
「何を‥‥」
(シュウさんの蛍火をイメージ‥‥!魔法が消えないように、拡散させる‥‥)
「散れ、六花」
全ての六花が散り、さらに細かい結晶となった。まるで初雪のように、ユラユラとマナに降りかかる。群青色の結晶と、マナの青い髪がマッチして、幻想的な光景となった。
「さらに細かくなった!?ここまでコントロールできるなんて!」
マナはその場を離れようとするが。
「逃しません。雪化粧」
細かくなった六花が、マナに吸い込まれるように集まって行く。
(それぞれの結晶を操れるレベル!ふふっ、学生の域を超えてますね。驚きすぎて、思わず笑ってしまいました)
「スプリットクエイク」
マナは自分に向かって、魔法を放った。
「なっ、自分に魔法!?」
ブルブルブル‥‥うにょん。マナが2人に増え、六花は片方のマナに集まった。これにより、もう1人のマナがフリーとなる。
「解除」
フリーとなったマナが、解除を唱えると、六花に覆われていたマナがもう1人のマナに吸い込まれて行く。
「「んぁ!」」
六花は対象がいなくなった事で、儚く消えていった。
「そんな回避ありですか!?」
「ハァ‥ハァ‥‥ありです!スプリットクエイク!」
「しまっ‥‥!」
ブルブルル‥‥うにょん。スプリットクエイクがイオナに当たってしまい、イオナも2人になってしまった。
「「わ、私が2人に!?」」
イオナが驚いている間に、マナは距離を詰めて2人のイオナに、それぞれ銃を突きつけた。
「「ま、参りました‥‥」」
「私の勝ちですね。ふふっ、イオナさんはあの時よりも確実に強くなってますよ」
「「ほ、本当ですか!‥‥むっ」」
イオナはセリフが被ってしまい、お互いに睨み合う。
「落ち着いてください。それと、最後の方ですが、魔力の消費が激しくて私の動きに反応ができてなかったので、もう少し戦闘のペースを考えた方が良いかもしれませんね」
「「わかりました‥‥」」
「イオナさん、強かったですよー!」
「マナさん相手に、あそこまで戦えたのは凄いと思いますよ!」
「マナさんの1人に戻る時の声、とても素晴らしかったです!アンコール!」
「お疲れ様ですー!」
騎士団の人達は、2人のイオナとマナの戦いを見て興奮していた。1人だけ違う事に興奮していたが。
「ハァ‥‥お仕置きを増やすしかないですね‥‥」
「「み、皆さん、ありがとうございます!‥‥むむっ」」
「わ、私に対しての言葉だと思うんですが!」
「い、いえ!私に対してだと思います!」
「両方のイオナさんに対してだと思うのですが‥‥」
言い争うイオナを前に、マナは苦笑するしかなかった。
「アースウォール」
マナは、自分とイオナ達を騎士団から隠すように壁を作った。
「「マナさん?むっ‥‥さっきから被らせすぎだと思うのですが。なっ、被らせてるのはそっちです!」」
「まあまあ。今壁を作ったのは、1人に戻る所を見られないようにするためです」
「「??」」
「戻ればわかります。解除」
「「へっ?‥‥!ぶ、ぶつかります!」」
2人のイオナが、お互いにぶつかり合い、混ざり合う。
「「んぁ‥‥あっ」」
イオナは完全に1人に戻った。
「ハァ‥‥ハァ‥‥なるほど、確かにこれは恥ずかしいですね‥‥うぅ、記憶がこんがらがります‥‥」
「壁を厚くしておいたので、声は届かないはずです。もう少し時間が経てば、記憶に関しては問題ないかと」
「気遣い、感謝します‥‥」
「いえいえ、私も最初は悩んでいたので。それでは、失礼します。機会があれば一緒にスイーツを食べに行きましょう」
マナはウインクをして、去って行った。
「ふぅ、魔法も色々な使い方があるのね。勉強になるわ」
イオナは、この後も訓練を始めたが集中できなかった。
この模擬戦のせいで、イオナが分裂魔法の解除が癖になったのは、ナイショの話である。
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