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42話

性転換回です、どうぞ。

 アルカディア城に行った翌日、リンクは部屋で魔法の練習をしていた。


「ハァ‥‥ハァッ‥この魔法、禁術魔法なだけあって難しいな」


 リンクが行おうとしていたのは、性変化(メタモルフォーゼ)という性を変化せる魔法だった。


「くそっ、家に俺しかいない今がチャンスなのに」


 ルンちゃんが心配するように小さく震える。


「ルンちゃん、大丈夫だ。ちょっと魔力の消費が激しいから疲れるけどな」


 リンクの両親は他の大陸へ旅行に行っているため、家にはリンクとルンちゃんしかいなかった。

 両親はリンクが魔法を使えるようになった事を知らないのと、性を変化させる魔法を成功させて見つかったら、あらぬ誤解をさせてしまうためにチャンスが今しかなかったのだ。


「次こそ成功させてやる!性変化(メタモルフォーゼ)!」


 途端、リンクの頭上に魔法陣が現れた。

 魔法陣から発せられる光を浴びた瞬間、リンクの身体がうねり始めた。


「うぉぉぉ!?成功したのか!?痛みがないから不思議な感じがする!」


 身体がうねり始めて数分後。

 リンクの身体が若干小さくなり、顔と体つきが女性らしくなった。


「成功したっぽいな。声のトーンも上がっているし、少し背が低くなってる」


 鏡の前に立つと、肩より下まで伸びた黒髪に、ぱちくりとしたタレ目の綺麗めな美少女が写っていた。


「うぉぉぉ!美少女になってる!ルンちゃん、成功したぞぉぉぉ!!」


 ルンちゃんはリンクの胸に飛び、いつもより強めに震えた。どうやらリンクが魔法を成功させて喜んでいるようだ。


「う〜ん‥‥ちょっと胸が小さいな。ルンちゃん、服と胸の間に入ってくれ」


 ニュルンっと、ルンちゃんはリンクの服の中に入る。


「おおっ、丁度いいサイズだ。我ながら完璧すぎるな‥‥このまま魔法の練習をしに行くか」


 リンクは女物の服が無いため、Tシャツに薄めの上着と、短パンの軽装に着替えた。


「うん。問題ないかな」


『リンくーーん!』


 荷物の準備をしていると、外からアリスの呼ぶ声が聞こえた。

 ん?何か約束してたっけ?取り敢えず外に出るか。


「ルンちゃんは服の中で待機な」


 ルンちゃんは、体を輪の形にして了解の意を伝えた。‥‥最近どんどん賢くなってきてるな。

 玄関を開けると、シンプルなデザインのワンピースを着たアリスが立っていた。


「あっ、リンく‥‥‥」


 アリスは俺を見るなり固まってしまった。どうしたんだ?‥‥‥はっ!今の俺は女の子になってたんだ!バレたら色々マズイ事になる‥‥誤魔化さなければっ。


「こんにちは〜リン君ならお出かけ中よ。多分、夕方頃に戻ってくると思うわ」


 リンクは、ニコッと薄っぺらい笑顔を添えて言う。しかし、内心はかなり焦っていた。


 ど、どうだ!?不自然じゃないはず、バレてなきゃ良いんだが‥‥。


「そ、そうですか‥‥あの、貴方は一体‥‥」


(な、何でリン君の家からこんな美人が出てくるの!?しかもリン君の服を着てるし、リン君呼び!?)


 セェーーフ!アリスでも気づかないなら誰も気づかないだろう!それにしても何て誤魔化すか‥‥下手な嘘をつくと親に報告されかねない。


「あ〜私は‥‥リン君の彼女よ!」


 かんっぺき!これなら怪しまれないな!

 あれ?アリスの奴、なに落ち込んでるんだ?


「そ、そんなぁ‥‥し、失礼します‥‥」


 何で泣きそうなの!?取り敢えず励まさなきゃ!


「げ、元気を出して!アリスちゃん!」


 アリスは返事をせずに去って行った。

 どうしたんだ?後で相談に乗るか‥‥



ーーーーーーーーー



 俺とルンちゃんはマギア草原に来ていた。

 ここに来るのも2ヶ月振りくらいか。エンシェントドラゴンを倒したのが懐かしく感じるな。


 俺はモンスターを狩る前に、魔力の流れの確認や、魔力を練ったりしていた。


「身体が少し小さくなったから、魔力が全身に流れるまでが早いな。それに魔力も練りやすい。魔力コントロールに関しては女体の方が良いな」


 魔力の調整や準備運動を終え、手頃に狩れるゴブリンを探しに行った。


「そこそこいるな。まずは一体を魔法で倒してみるか」


 リンクはゴブリンに気づかれない様、ゴブリンの十数メートル程背後にいた。


「ここら辺ならギリギリ当たるか?シャインニングレイン」


 リンクの前に、横に細長い魔法陣が現れる。そして、拳大の光が次々と現れた。


 ふぅ、すぐに発射しないで、その場に止めることができたぞ。かなり難しいな‥‥少しでも気を抜いたら魔法が消えそうだ。‥‥よしっ、やるか!


「ハッ!」


 光は、次々とゴブリンの体に穴を開けていく。

 うん、遠距離に関しては全てを無に帰す一撃(オールロスト)よりも威力の調整が簡単だったな。


 その後、10体程のゴブリンで魔法の調整を行った。気づけばあっという間に時間が経過していた様で、周りは橙色に染まっていた。もう夕暮れか。


「うん、そろそろ帰るか。ルンちゃん、送ってくれ〜」


 ブルルンッ!

 ルンちゃんは空に浮くために、体積を大きくし、リンクを乗せた。


「ありがとな、ルンちゃん。ルンちゃんは触ると気持ちいいな〜」


 マギア草原を出て、20分程で家に帰れた。行きもルンちゃんにお願いしとけば良かったな‥‥。

 あっ、そういえば動の魔力を使ってなかったな。魔力だけ練ってみるか。


 そう思い、家に入る前に動の魔力を練り始めたら身体に異変が起きた。


「うおっ!また身体がうねり始めた!?動の魔力を練ったら解除されるのか!」


 数分後、性変化(メタモルフォーゼ)が解除され、リンクは男の身体に戻った。


「ふぅ、上手くやれば戦闘にも使えるか?」


 ドサッ


「ん?」


 何かが落ちた音がし、その方向を向くとアリスが呆然としていた。


「リ、リン君‥‥今のは一体‥‥」


「アリス!?何でここに‥‥っていうか今の見ちゃったか!?」


「う、うん。ご飯を作りに来ようとしたら、丁度女の人がリン君になってて‥‥」


 お、終わった‥‥絶対、俺が変な性癖に目覚めたと思われた‥‥


「ち、違うんだアリス。今のは最近覚えた魔法で姿を変えてて、別に女になるのが趣味ってわけじゃなくて」


「ねえ‥‥朝の女の人もリン君だったの?」


 うっ‥‥落ち着いてる分、逆に怖いな。アリスさん、ハイライトが消えてるよぉ?


「そうだ‥‥」


「そっか。リン君は彼女なんていないよね?そうだよね?」


 圧が凄い‥‥実際にいないけど、そんな有無を言わせないように言わなくても良いじゃん‥‥


「い、いないぞ‥‥生まれてから一度もできたことが無い」


 そう言うと、アリスのハイライトが戻ってきた。そして、急にニコニコし始める。俺に彼女がいなくて、そんなに嬉しいのか?俺如きに、先に越されるのが悔しい的な?泣いちゃうよ?


「そっかそっか、リン君だもんね!ご飯を作りたいんだけど、家に入って良いかな?」


 えっ、さりげなく貶された?


「あっ、どうぞ‥‥」


「直ぐに作るから待っててね!」


 そう言い、アリスはウキウキで台所に向かった。なんで急に機嫌が良くなったんだ?

 ルンちゃんも不思議そうにしている。ルンちゃんでもわからないか〜。

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