32話
クルトに襲われた翌日、リンクは学園長の元に訪れていた。
「どうした。クルトの件についてか?」
「それもありますね。まずはクルトの件について話しましょう」
「うむ。昨日お主が襲われた時は、この記録保存機でバッチリ証拠を撮ったぞ」
そう言い、学園長は小さめのレンズがついた魔道具を出す。
やはり、あの魔法陣は学園長のだったか。空間内操作で魔道具だけ出して証拠を撮ったのか?
「ありがとうございます。多分次の序列戦で動くと思うんですけど」
「お主もそう思うか。できれば試合が終わった後に証拠を突きつけたいのだがな」
「難しいでしょうね。最悪序列戦の最中に妨害するかと」
皆んなが心配するから、それだけはなるべく避けたいな
「できるだけ私がそばに居る事にする。それならアイツも手は出せまい」
「そうですね。プラチナランクが近くにいたら変な事はできませんからね」
「?お主に私がプラチナランクと喋ったことがあったか?」
「この前、クララさんがポロって言ってましたよ」
「はぁ、あの子も悪気はないからタチが悪い。隠している訳じゃないから良いんだけどな。あとついでに言うが私はお主の両親と知り合いだ」
「まあ、あの人はポンコツですからね。それに俺の両親と知り合いですか‥‥‥はぁ!?」
「反応が遅いし、思ってたよりも驚いているな」
いやいや、驚くだろ!接点が全く無さそうだけど!
「いや、急ですしそりゃあ驚くでしょ!何で知り合いになったんですか!?」
「私が若い頃、プラチナランクに上がるための依頼で怪我を負ってな、その時に丁度お主の両親に助けてもらったんだよ。あの時のお主の両親はギリギリゴールドランクになる前だったかのう‥‥」
そうだったのか‥‥てか、この人が怪我を負うレベルの依頼の方が気になるんだが。そして最近、話し方がちょっと年寄りっぽくなってるけれど大丈夫か?
「そんな事があったんですね。」
「お主の両親がいなかったら死んでいたかもな‥‥そうだ、お主のもう一つの件を聞こうじゃないか」
「あっ、そうですね。実はバルーンスライムに懐かれてペットにしたんですけど学園に連れてきて良いですか?」
「ほう、モンスターが人に懐くとは珍しいな」
「ですよね。まあ、もう連れてきちゃってるんですけど」
「は?」
「ルンちゃん、出てきて良いぞ〜」
ルンちゃんは俺の制服から一部だけをヒョコッと出す。
「許可を取る前に連れてくる者があるか馬鹿者!!しばくぞ!空間内操作」
学園長は俺の頭の上に、魔法陣を展開して拳骨をする。
「いってぇぇ!もう殴ってるじゃないですか!」
「やかましい!お主がやってる事と同じ事をしたまでだ!」
ぐっ、正論すぎて何も言えねえ。
ルンちゃんが俺の頭を撫でてくれる。ルンちゃんは良い子だな〜
「す、すいませんでした‥‥」
「はぁ‥‥次から気をつけろ。それと連れてきても良いがあまり人前には出すな。混乱の元となる」
「わかりました。これで俺の話は終わりです、失礼しました」
「うむ」
学園長室を去り、教室に入るとハオに絡まれた。
「やあ、あの時は大丈夫だったかい?」
「て、てめえ!見捨てておいて良く話しかけてきやがったな!」
「いやいや、あれは誰でも逃げるよ。それにリンクの自業自得だろ?」
「ぐむむむ‥‥」
「まあそう怒らないでくれよ。そうそう、夏季休校の時で良いから城に来てくれってお父さんが言ってたよ」
へえ、お父さんが俺を城にねえ‥‥ん?ハオのお父さんって事は‥‥国王!?
「待て!俺は何もしてないぞ!」
「別にリンクが悪い事をしたから呼んだんじゃないよ‥‥エンシェントドラゴンの件でね。ポッセとクララさんも呼ばれているよ」
「そっちか‥‥脅かせやがって。行かないけどな」
「え!?な、何でだい!?」
「だって面倒臭いし」
「国王の呼び出しを面倒臭いで一蹴する人は君くらいだよ‥‥」
「クララさんとジュンがいるから大丈夫だろ。それに、暇な時が無いと思うからな」
「あっ、面倒臭いだけじゃなかったんだね。安心したよ」
「悪いな、そういう事だから行けないって伝えといてくれ」
「わかったよ。そしたら延期になるだけかもしれないけどね」
「え?」
「実はお父さんが、リンクにえらい興味を持ってしまってね。ぜひ会いたいそうだよ」
行くまで延期になるやつじゃん!俺なんかしたっけ!?
「何でそうなったんだ?」
「イオナが興奮しながらお父さんに話しててね。多分リンクの事を好きって誤解したんじゃ無いかな?」
「ちゃんとその誤解を解いたんだろうな?」
「そんな面白そうな事解くわけないじゃないか。何を言ってるんだい?」
「お、お前!」
コイツ!なんて事をしてくれたんだ!
その時、丁度アイゼン先生が入ってきた。
「あっ、先生が来たからまた後でね〜」
ハオがそう言い、離れていった。
「てめえ、覚えとけよ!」
今度アイツにギャフンと言わせないと気がすまねえ!
「全員揃ってますね、大事なお知らせがあります。序列戦の期間が決まりました」
途端、教室の空気がピリつく。
おぉ‥‥気合入ってんな。俺はもう序列戦を経験してるからまだ気が楽だけど。
「冬季休校前の2日間、皆さんには序列戦を行ってもらいます。対戦相手はもう決まっていますが、1ヶ月前に教えることになっています。それまでの間、トレーニング等を怠らないようにしてください」
時間はたっぷりあるな。俺の相手は2年生か?それまでに全てを無に帰す一撃を瞬時に射てるようにしたいな。弓の形にするまでどうしても時間がかかっちゃうし。
今度アリスと師匠の所に行った時に、久しぶりに稽古でもつけてもらうか。
その後、昼休みに俺はジュンとクォーツ兄妹と合流していた。
「序列戦まで時間があると、ある程度心の準備ができるので助かります」
「俺はいつでも良いけどな〜それよりも対戦相手が知りてえ」
「確かに。早めに対策とか練りたいもんね」
「お前ら大変だな〜」
「リンクは良いよな〜もう順位が上がってるし、相手が魔法を使っても消せるもんな」
言うは易しってやつだな〜相手が魔法を使うタイミングをズラせるかもしれないし、エンシェントドラゴンみたいに魔力を馬鹿みたいに練ったり、勢いが強いと一回じゃ消せないしな。
「まあ気持ち的には楽だけど、俺だってやる事はあるぞ」
「何をするんだい?」
「形状変化をもっと早くできるようにする事かな。エンシェントドラゴン戦の時にやった全てを無に帰す一撃を瞬時に射てるようにしたい」
「それ、凄い気になってるんです!今度見せてくれませんか?」
「俺も見たい!」
「僕も見たいな〜どんな技なんだい?」
「見せるのは今度な。形状変化で弓を作って、矢を反響の太刀にして魔法で防御不可の神速の一撃を当てるだけだ。剣に鈴をつければ相手の魔法も妨害できるし、威力自体が強いから大抵の魔法は貫けるんじゃないか?」
できれば矢も魔力で作るのが1番なんだけどな。物理的にも乱れてるせいで、射った直後に矢はブレるか消えるかのどちらかだろうな。
「それ、反則じゃないですか?狡いです」
えぇ、狡いって言われても‥‥
「弱点なんていくらでもあるよ」
「その弱点がわからないんだよな〜」
「弱点がわかっても、リンクなら何もさせてくれなそうだしね」
「はぁ‥‥俺も夏季休校の時にクララさんと頑張るか〜」
ちゃんと、訓練するあたり真面目だな。
それにしてもクララさんとか〜。‥‥‥2人きりじゃないだろうな。
「クララさんと何をするんですか?」
ナイス質問!!
「2人で模擬試合とか、俺の短所を伸ばしたりかな〜」
ふ、2人きりだと!?羨ましいぞぉぉぉ!!!
「お、俺も混ざりたいな〜‥‥」
チラッとジュンを見るが、ジュンが何かを言う前にハオに余計な事を言われた。
「でも暇な時がないかもって言ってなかったかい?父さんの招待を断るくらいだし」
「ぐっ‥‥!」
「お前って奴は‥‥」
ジュンが呆れた目で言ってくるが、しょうがないじゃないだろ!羨ましいんだよ!
「私はリンク君が城に来てくれないのが残念です‥‥」
罪悪感が凄い!今度何か埋め合わせをするから許しておくれ!
「ご、ごめんな?城に行く事があったらその時に全てを無に帰す一撃を見せるから元気を出してくれ。な?」
するとイオナがパァッと花が咲いたような笑顔になった。
普通に可愛いな‥‥きっと俺じゃなかったら勘違いしてたな。多分俺のことが好きだわ。
「本当ですか!早めに来てくださいね!」
「俺も予定を合わせとくぞ!一人じゃ行きずらいだろ」
「僕は頑張って誤解が解けないようにしとくよ!」
「兄さん、誤解って??」
「実はn‥‥」
俺が言うのと同時に、ハオが被せて喋ってきた
「なんでもないよ!それより早く教室に戻ろう!」
ハオォ!!城に行った時に全てを無に帰す一撃で、お前の部屋を射つ!!絶対になぁ!
俺はハオの部屋を壊す覚悟を決めた。
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