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23話

「さーて、先に宝眼兎を探すか〜」


「どこら辺にいるとか分かるのか?」


「水辺の近くにいる事が多いから、川か泉を探そう」


「どうやって探すんだ?」


「基本的に魔蝿とかは水の近くから離れないから、歩きながら水辺か魔蝿を探した方が良いよ〜」


「そうなのか。じゃあ足跡とかも見ながら進めばいいか」


「そうだな。もしかしたら宝眼兎もいるかもしれないしな」


 しばらく歩いていると小さな足跡を見つけた。


「おっ、多分この足跡を辿れば宝眼兎がいるな。足跡の大きさ的に間違いなさそうだ」


「ラッキーだね!」


「よっしゃ!とっとと狩るか!」


「ジュン。宝眼兎がいたら気配を消しながら、すぐに魔法で殺してくれ。その方が確実だ」


「宝眼兎に見つからなければそんなに難しくないからね!」


「おう!頑張るわ!」


「最悪当たらなくても俺が動きを止めるから、その隙に当ててくれ」


「頼む!」


 足跡を辿り数分。川の水を飲んでいる宝眼兎がいた。


「やっぱりモンスターにしては可愛いよね。癒されるな〜」


「ちょっと罪悪感が湧いてくるな」 


「昨日はあんなに楽しそうに殺してたのにか?」


「見た目の問題だわ!よしっ、行くぞ。ウォーターレーザー!」


 ビュンッ!ジュンのウォーターレーザーが宝眼兎に向かって、凄まじい速度で放たれたが、瞬時に気づいた宝眼兎はピョンッ、と躱して逃げていった。


「嘘だろ!?悪い!」


 あれを躱すとはやはり速いな。ジュンの気配は完璧に消えていたが、宝眼兎の危機察知能力が尋常じゃない。普段はもう少し鈍いはずだが。


「気にすんな!開放!」


 俺は反響の太刀を出すと、直ぐに片方の鈴を思いっきり投げつけた。


「ジュン!少し離れてろ!!共鳴!!」


 リーーーン、リーーーン。2つの鈴が互いに反応し、綺麗な音を響かせた。


「ピイッ!?」


「動きが止まった!今だ!」


「ぐっ、ちょっと乱れちまった。サンキュー!ウォーターレーザー!!!」


「ピィィ‥‥‥」


 ジュンのウォーターレーザーが宝眼兎の体を貫き、絶命させた。


「よしっ!リンク、ありがとな!」


「どういたしまして。早く眼を取ろうか」


「うわ〜結構綺麗なんだな。」


「だろ?残りはパラライズリザードだけだか‥‥クララさん!」


「どうしたの?」


「今の宝眼兎の様子、少しおかしくなかった?」


「そうだね。速さは変わらなかったけど、あそこまで敵の攻撃に対して勘が鋭く無かったはず。いつもなら最初の攻撃で当たってたね」


「やっぱりか‥‥」


「何かマズいことでもあるのか?」


「1日目に、最近モンスターの様子がおかしいって言ったろ?」


「ああ、だけどそれがどうしたんだ?」


「1日目はもう少し奥にいるはずのモンスターが少し草原の方に出てきていたし、今の宝眼兎もあんなに警戒心が強かった。いつもはもう少し鈍感なはず。もしかしたらかなり強めのモンスターが近くにいるかもしれないね」


「やっぱりそう思うか?」


「うん、早めにパラライズリザードを討伐して帰った方が良いかもしれないね。今の所は問題ないし」


「よしっ、強めのモンスターも見てみたいけど万が一があるかもしれないからな!早く終わらせちゃおうぜ!」


「そうだな。幸い、ここは水辺が近く日陰になっているから湿度が高い。もう少し探索したらいるかもしれないな」


「リン君、ポッセ君。一応いつもより警戒を強くしてね」


「わかった!」


「ああ」


 ここら辺で強いっていってもゴブリンの上位種のゴブリンキングくらいのはず。しかし、ゴブリンキングがいた所でそんなに危害はないから異常なんてないはずなんだよな〜

 それに、ゴブリンキングがいるならゴブリンが近くにいないとおかしいし、あんなに草原の前に出てこないはず。早く終わらせないと。


 周囲を探索して30分くらいだが中々いない。そんなに珍しくないはずなんだが。それにしてもこんなに日陰が続くなんて‥‥パラライズリザードならすぐいそうなんだけどな。



「それにしても全然出てこないな〜他のモンスターもいないし、やっぱりこれもおかしいのか?」


「ああ。少なくとも、まったくいないなんてありえない」


「もう少し粘ってみて、それでもいなかったら諦めようか。長居しても危険だしね」


「ちぇっ、まあ仕方ないか」


「2日で依頼を3個達成できただけでも十分だぞ」


 本来なら1日で1個やれば十分だしな。


「そうだよ!それにその3件だけでも中々良い経験ができたからね!」


 ヒューーーーー


「はぁ〜でも何かスッキリしないな。うん?」


「どうした?」


「何か上から音が聞こえ‥‥っ!皆、下がれ!」


 ズシーーーーン!!上からナニカが落ちてきた。地響きと、落ちてきた影響による砂嵐がリンク達を襲う。


「!?っく!」


「皆、大丈夫!?エアコントロール!」


 クララさんがすかさず、魔法で砂嵐から身を守ってくれた。流石、副団長だな。状況判断と行動が早い。頼りになるぜ。


「ジュン!戦闘準備だ!開封!!!」


「おう!ガードボール!!」  


 砂嵐が収まり、大きな影が見えた。

 現れたのは、パラライズリザードだった。


「パラライズリザード!?何で空から降ってきたんだ?」


「こいつがそうなのか!?翼がないのに空なんて飛ぶのか!」


「いや、飛ばないよ!魔法にしたって、雷属性しか使えないから飛行魔法が使えない!」


「じゃあ何で!取り敢えず攻撃するぞ!」


「ジュン、待て!様子がおかしい!」


「ん?確かに言われてみれば全然動いてないな」


「このパラライズリザード‥‥もう死んでるね‥‥‥」


「意味不明だがラッキーだな。素材だけ持ち帰って早く帰ろうぜ」


「ああ、しかし何で空から‥‥‥なっ!?避難しろ!クララさん!ジュン!まだ上にヤバいのがいる!」


 ふと上を見ると、森を覆えると思うほどの巨大な物体が、俺達のいる所に落ちようとしていた。

 もしかして日陰の場所が多かったのはコイツが太陽と被っていたからか!

 くそっ!川にいた時点で気づけてれば!!


「上‥‥?う、嘘だろ!?くそっ!間に合え!」


「なっ‥‥!!任せて!!!運び屋の風(キャリアウィンド)


 ドッコーーーーーン!!!ズゴゴゴゴ


 クララさんのキャリアウィンドに運ばれて何とか巻き込まれなかったものの、先程よりも大きい地響きと砂嵐が俺達を襲った。クララさんがまた守ってくれているから助かったな。

 それにしても、さっきのが見間違いじゃ無かったらあれは‥‥


 砂嵐が消え、地響きが収まったと思ったら、鼓膜がはち切れるくらいの咆哮が聞こえた。


「グアァァァァ!!!!」


「これが異常の正体か‥‥困ったな。生まれて初めて見たぞ」


「なあクララさん‥‥コイツってもしかして‥‥‥」


「ええ、ポッセ君が思いついたのであってると思うよ。何でこんな所にいるのかしらね。最悪だわ」


 空から落ちてきた途方もない存在感を放つモンスターの正体‥‥‥それは‥‥

 世界で1番強いと言われている最強最悪のモンスター、古龍:エンシェントドラゴンだった。


「グアァァァァァァァ!!!!!」


 かつてない絶望が3人を襲う。


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