22話
俺は少しだけ左にズレ、ゴブリンが俺に気づいてもジュン達の方向に顔を向けないように移動した。
まだゴブリンは気づいていないな。ジュンがやり易いようになるべくゴブリンを集めさせるか。
「開封!!ハッ!」
「グギッ!!」
ゴブリンに近づき、瞬時に出した剣で一体目の首を刎ねた。
ゴブリンの肉は少し柔らかいから、身体強化をしなくても余裕で切れるな。
ゴブリン達は一体目の首が切れて、ようやく俺に気づいたみたいだ。
「グギャッ!?」
「グキャグキャッ!」
よし、今の立ち位置なら、ゴブリンがジュン達に対して背を向けているな。
2体目も殺るか。
「ギィィィ!!」
「やかましいんだよっ!」
「ギッ!!」
ゴブリンは俺に掴みかかろうとしたがその前に、俺の剣がゴブリンの首と胴を斬り裂いた。
「ギィ‥‥」
2体目を殺して、残りの様子を見ようとしたら。俺から1番遠い所にいたゴブリンの首がジュンのウォーターレーザーによって刎ねられた。
ちゃんと俺に当たらないのを配慮して、遠くにいるやつを狙ったな。殺すのにも躊躇いが無かったし大丈夫そうだな。
「よしっ!先ずは一体!」
「ギィギャッ!!」
「よっと!!」
「グギャッ!」
2体目は身体強化によるヌンチャクで頭を潰した。
オエッ。首を刎ねるよりグロいぞ‥‥しかもジュンの奴、笑顔だし‥‥‥
楽しそうだからいっかぁ。考えたら負けだ。
「ラストォ!」
「グプェッ!!」
最後の一体をと倒しなのは良いのだが、吹き飛ばした頭が俺の方に飛んできた。
「うおっ!馬鹿野郎!頭をこっちに飛ばすんじゃねえ!グロいだろうが!」
「ハッハッハッ!すまーん!」
あいつ、絶対ワザとだな。クララさんがいなかったら俺の黄金のストレートがジュンの頭を砕いてたぜ。まあ俺は大人だからそんな事はしないが。大人だし。
「けっ、まあ良いや。それにしても何で身体強化を使ったんだ?」
「ああ、リンクが身体強化を使って無いのは分かってたんだけど、俺のは斬るんじゃなくて打撃だから倒せるか心配でな。念のためだ。それにどれくらい硬いかわからなかったし」
「あ〜なるほどな。次のオークは身体強化を使った方が良いぞ。肉が柔らかすぎて威力をほぼ吸収される」
「うぇ、相性が悪いな。最悪魔法を使うか〜」
「そうしろ。取り敢えずクララさんの所に戻ろう」
「おう!」
俺達はクララさんの所に戻ると、クララさんが水をくれた。はい、好きです。
「ありがとう、クララさん」
「サンキュ!」
「お疲れ様〜リン君はやっぱり慣れているね!ポッセ君が動き易いよう、ちゃんと計算して動いてたのがわかったよ!」
「マジ!?ちゃんと見てたけど全然気づかなかった!凄いな!」
うっ、あまり褒められるのに慣れてないからムズムズするな。
「ま、まあシルバーランクだし」
「かっけえぇぇ!」
「ポッセ君も初めてにしては動きは良かったよ?魔法を使う時もリン君の当たらないようにしてたし、念の為に身体強化を使ってちゃんと頭を潰したのも評価できるかな」
「改善点とかはあった?」
「俺からは特に無いな」
「私も無いかな〜初心者とは思えないくらい適応力があるね」
「天才だからな!」
反省会をしつつ休憩をした後、俺達はオークの所に行った。さっきいた場所よりもやや木が多い。戦闘中に気をつけないとな。
「よしっ、今回は正面から行こう」
「さっきみたいに不意打ちしなくて良いのか?」
「あれだけ綺麗に不意打ちができてたら問題ないし、今回は先にモンスターに見つかった程でやろうと思う。毎回不意打ちできるとは限らないしな」
「成る程、今回気をつけるのは何かあるか?」
「ゴブリンと違ってオークは連携を取る。背後もちゃんと警戒する事。後は武器も持っているし、障害物がさっきよりも多いから、周辺の空間も把握しとかないと後ろが木で逃げ場がなかったり、武器が木にぶつかったりして隙ができるのを気をつける位だな」
「おう!わかった!」
「じゃあ俺が鈴で気づかせるから。あっちが気づいてから戦闘開始な。それと今回は普通の鈴だから安心して良いぞ」
「おぉ、一回くらったからわかるけど、魔力が乱れるの苦手なんだよな〜」
「慣れたら気にならなくなるぞ。じゃあ鳴らすぞ〜」
リーンリーン。音と同時にオークが一斉にこちらを向いた。やっぱり、顔が猪に似ているのか豚に似ているのか中途半端でわかんないな。
「リンク、俺が全部倒しても良いか!」
「良いけど大丈夫か?」
「ああっ、ちょっと試したいことがある!」
「じゃあ俺はここで待ってるからな。危なかったら助けるぞ」
「「「「「「ブモォォ!!」」」」」」
「サンキュ!早速来やがった!」
ジュンは魔力展開をしつつ、木を利用しながらオークの攻撃を捌いていく。あいつ本当にモンスターと戦ったことが無いのか?地形も上手く利用しているし、本物の天才だな。絶対本人には言いたくないが。
「アクアドーム!」
魔法陣から出てきた大量の水がオーク達をドーム状に覆い、一箇所に纏める。
「ブモッ!?」
「バラバラなら無理やり一箇所に纏めれば良い話だよなぁ!ウォーターレーザー!」
水のドームに囚われていたオーク達が、バラバラになっていく。
なるほどな、確かにああいう魔法を使えば多対1でも簡単に処理できるな。
「どうだった!」
「問題なしだ。後はオークの部位を持ち帰るだけだな」
「あっ!そういえばゴブリンの部位を拾ってねえぞ!」
「もう回収してあるから大丈夫だぞ」
「いつの間に!流石リンクだな!」
「大した事はしてないけどな」
「皆、特に怪我は無さそうだね!このまま帰って宿に行こっか!」
「え?宿ですか?」
「ん?言ってなかったっけ?一応これも経験として2日間は宿に泊まるんだよ?」
「げぇ!親に言ってねえ!」
参ったな。俺も両親に言ってないぞ。
「ああ、それに関しては大丈夫!予め君達の先生が連絡しているはずだよ!」
「なら良いや。早く帰ろーぜ。」
「そうだな。クララさん、道案内をお願いして良い?」
「任せて!そこそこ良い宿を予約しといたから!」
「部屋は個別だよね?」
「え?3人共同じ部屋にしちゃった‥‥」
な、なんだと‥‥これはもしかするんじゃあっないか!期待しても良いのか!!!
「マジかよ〜じゃあクララさんが着替える時と風呂に入る時は教えてくれ。外に出て時間を潰すよ」
くそっ!変な所で紳士ぶりやがって!!
「ごめんね〜!いっつもマナがやっててくれたからそのまま予約しちゃった‥‥」
しょんぼりした顔も可愛いな。何なのこの人。天使じゃん。
「まあまあ、次から気をつければ問題ないよ」
「そうそう!別に俺とリンクは何もしねえし」
「皆、ありがと〜!他の団員には言わないでね!」
「りょうかーい」
「今度こそ帰るか〜」
帰り道は少し夕陽が上っていて、周りが茜色に染まっていた。
俺達は明日の話をしつつ、途中で解毒薬など、準備に必要な物を買った。
「ここが私達が泊まる宿だよ〜」
「思ってたより大きいな!」
「こんな宿があったのか‥‥」
俺達が泊まる宿は温泉付きの旅館で、かなり大きめな所だった。まだまだ知らない所がいっぱいあるな。
「いらっしゃいませ。3名で予約のクララ・ハイゼル様ですね。部屋は105号室になっております」
「ありがとうございます!さっ、行こっか!」
「結構綺麗だな〜」
「そうだな。部屋に入るのが楽しみだ」
「着いたよ〜良い部屋でしょ!」
部屋に入るとかなり広く、落ち着いた雰囲気だった。
「結構広いな!ゆっくり休めそうだ!」
「飯を食う前に風呂に行こうぜ」
「そうだね!じゃあ入った後はこの部屋に集まろうか!」
リンク達は風呂で別れた後、湯船に浸かっていた。
「ふぅ〜気持ちいいな〜」
「あったけぇ〜」
「今日は楽しかったな〜モンスターと戦うのは初めてだったからちょっと緊張したぜ」
「その割には動きが良かったな」
「リンクが先に戦ってくれたから、心の準備ができたんだよ。明日は宝眼兎とパラライズリザードだっけ?」
「ああ、明日は今日よりも疲れるから早めに寝よう」
「そうだな〜そろそろ部屋に戻るか」
俺達は浴衣に着替えて部屋で待機していた。クララさんはまだ来ていないみたいだな。クララさんの浴衣姿が楽しみすぎる。
「お待たせ〜それじゃあご飯にしよっか」
「「!!」」
破壊力がヤバい!やっぱあの胸は兵器だろっ!ジュンなんて刺激が強すぎて俯いているぞ!
その後、ご飯を食べたが味は全くしなかった。
「それじゃあおやすみ〜!」
「‥‥おやすみ」
「‥‥‥ッス」
(疲れてるのかな?ちょっと元気がないな〜それにしても、今日のモンスターはちょっとおかしかったかな。普段はもう少し奥にいるはず。明日は何も無かったら良いけど。)
モゾッモゾモゾ。
ん〜よく寝たな。ん?隣に何かいるな。
布団を捲ると、そこには浴衣がはだけたクララの姿があった。
「ホワッ!?」
「‥‥ふわぁ〜何かあったのか〜‥‥えっ?」
俺の奇声で、起きたジュンと目が合ってしまった。最悪だっ!絶対誤解してやがる!!
「リンク‥‥変態だと思っていたがそれはヤバいぞ‥‥」
「違う!何もやってないし誤解だ!起きたら布団にクララさんが入り込んでたんだよっ!」
「本当か〜?」
ぐっ、まだ疑っているな。クララさんを起こして誤解を解くしかない!
「クララさん!起きてくれ!」
「んぁ?ふぁ〜おはよ〜リン君、ポッセ君。良い朝だね〜」
寝起きも可愛いなちくしょう!けれどそれ所じゃねえ!
「おはよう!じゃなくて!何で俺の布団に入ってるんだ!?」
「‥‥‥!?ふぇっ!?ご、ごめんねリン君!トイレに行った後、寝ぼけて入っちゃったみたい!」
「リンクが襲った訳じゃなくて安心したぞ。クララさんって案外ポンコツだな」
「襲うわけねえだろ!!それに関しては同感だけれども!あっ」
振り返るとクララさんが涙目になっていた。
「確かにポンコツだけど、2人して言わなくても‥‥」
「ご、ごめん!いや、でも戦ってる時とはしっかりしていると思うよ!なあジュン!」
「あ、ああ!頼りにしてるぜ!それよりも早く依頼を終わらせようぜ!」
「本当?じゃあ今日はもっと頼ってね!それじゃあトイレで着替えてくるね!」
そう言い、クララは着替えに行った。
「チョロくて助かったな‥‥」
「本当だぜ‥‥あの人、意外にメンタル弱いんだな。朝から心臓に悪い‥‥」
「何かすまん‥‥俺達も着替えて準備するか‥‥」
「おう‥‥」
準備が終わり、俺達は昨日行ったマギア平原の少し奥にある森に着いた。
ちなみにリンクの反響の太刀は、一回だしたら誰かに服の魔法陣に魔力を流してもらってもう一回封印しています。
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