第3節:マリアの誘い
本日は3本投稿いたします。その1本目です。
満月の夜。
海面は鏡のように月の光を反射し、世界を白銀に染め上げていた。
光圀は一人、甲板で船首に寄りかかり、西の空を見つめていた。
「……ミツ」
背後から、静かな声がした。
マリアだった。彼女は月明かりの下、いつになく真剣な表情で光圀の隣に立つ。
「もうすぐだそうだな。……扶桑国の海域に、入るそうだ」
「ああ。格とペドロの爺さんが計算してた。明日の朝には、霧の向こうに陸地が見えるだろうってよ」
沈黙が降りた。
波の音だけが、二人の間を埋めるように響く。
近づく祖国。
それは、この奇妙で愛おしい航海の終わりを意味していた。
マリアは俯き、ギュッと両手を握りしめた。
そして、意を決したように顔を上げ、光圀の大きな手を両手で包み込んだ。
「ミツ」
彼女の蒼い瞳が、揺れる月光を反射して潤んでいる。
「……一緒に来ないか?」
光圀は少し目を見開き、マリアを見つめ返した。
「世界は広い。私とお前がまだ見たこともない海が、無限に広がっている」
マリアの声は震えていたが、その眼差しには海賊王としての誇りと、一人の女としての情熱が燃えていた。
「私の船の副船長として……いや、お前が望むなら船長でもいい。共に海を駆けないか。私の……隣で」
それは、誇り高き彼女からの、最大級の愛の告白だった。
面白かったら、ブクマ&評価(☆☆☆☆☆)もぜひ! 光圀公と一緒に、皆様の声を待っています!




