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第5節:暴れ龍の義憤と、古の術式

本日3本目です。

「ヒッ……! 貴様ら、一体何者だ!?」


 バルデスは顔面を蒼白にし、這いずるようにして部屋の奥へ逃げていく。


「言ったろ。……ただの『お仕置き人』だよ」


 光圀が、チャキリと刀の鍔を鳴らして歩み寄る。


「くそっ、来るな! これでも食らえ!!」  


 バルデスは部屋の祭壇に飾られていた、奇妙な石盤をひったくった。


 それはインカの古代遺跡から奪い取った「魔導兵器」のコアだった。

 幾何学的な文様が刻まれ、不気味な赤黒い光を放っている。


「愚か者め! この遺跡の力を解放すれば、この総督府ごと貴様らは灰燼に帰すのだ!」


 バルデスが石盤に魔力を流し込む。


 ゴゴゴゴ……! と部屋全体が振動し、石盤から暴走したエネルギーが火花を散らし始めた。


「まずい! 奴には制御しきれていない! 暴走するぞ!」


 マリアが叫ぶ。

 部屋の隅では、無理やり石盤の調整をさせられていた原住民の少女(術の継承者)が、怯えて耳を塞いでいた。


「……ったく。使い方も分からねぇ癖に、危ないオモチャに触るんじゃねぇよ」


 光圀は大きなため息をついた。

 そして、暴走するエネルギーの渦の中へ、躊躇いもなく足を踏み入れた。


「ミツ! 危険だ!」


「使い方を間違えてるぜ、三流悪党」


 光圀はバルデスの顔面に容赦のない前蹴りを叩き込んだ。


「ぶべらッ!?」


 バルデスが鼻血を噴いて吹き飛ぶ。


 光圀は宙を舞った石盤を片手でキャッチすると、そこに刻まれた複雑な術式(幾何学模様)をジッと覗き込んだ。


(……なるほど。扶桑国の符呪術と根本の理屈は同じか)


 光圀は、扶桑国の皇帝から直伝された呪術の知識をフル回転させる。


「おい、そこのお嬢ちゃん」


 光圀は、震える原住民の少女に優しく声をかけた。


「ここのパス(線)が、千切れて繋がってねぇな。これじゃあ力が暴走して当然だ。……こうすんだよ」


 光圀は自身の指先に微かな呪力を込め、石盤の削れた文様をなぞるように、空中に光の線をサッと描き足した。


 ピタッ。


 瞬間。

 あれほど荒れ狂っていた赤黒いエネルギーが嘘のように静まり返り、代わりに浄化されたような穏やかな青い光が部屋を包み込んだ。

 完全なる制御。術式の添削デバッグ完了である。


「……あ……」


 少女が恐る恐る目を開け、静まった石盤を見る。

 そして、それを軽々とやってのけた東洋の若者に、驚きと、やがて満面の感謝の微笑みを向けた。


「いい笑顔だ。……俺の報酬には、それで十分だぜ」


 光圀はニカっと笑い、少女の頭をクシャクシャと撫でた。

 その背中を圧倒的な強さ、深い知性、そして誰よりも大きな「器」をマリアは、ただ呆然と見つめていた。


(……ああ。私は、この男に)


 海賊船長の誇りも、復讐の念も、今はどうでもよかった。

 マリア・デ・ラ・ロサは、この瞬間、徳川光圀という男に、魂の底から完全に心を奪われてしまったのだった。


面白かったら、ブクマ&評価(☆☆☆☆☆)もぜひ! 光圀公と一緒に、皆様の声を待っています!

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