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祝15万PV達成 『親ガチャ失敗・俺の親、泥棒ですが何か!』 怪盗紳士は『スチール』極めて成り上がる。  作者: 米糠


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第93話 神業

 

 俺は、J〇金属の多機能チャート、ボリンジャーバンドとMACDに集中する。


 J〇金属の株価は4853円を付けた後、ものの数分で4796円まで下がり、次いで4815円まで戻したと思ったら再び4794円まで下げている。

 MACD線がピークをつけ、シグナル線を下抜けた。


 +8円(MACD縦メモリ)でデッドクロスしたMACD線は、もうすぐ±0を抜け、マイナスゾーンに突入する勢いだ。

 ボリンジャーバンドは移動平均線を下回り、-1σを伺う。


 MACD線が、±0に達したその瞬間、ボリンジャーバンドが-1σにタッチして、株価が跳ね上がる。


 4781円が、4790円に。


 そして株価が停滞した。

 いや、4785円から4799円の間を乱高下しながら4790円あたりに戻ってくることが多いと感じる。


 つまり4785円から4799円のレンジ相場。


 激しく入れ替わる株価――だが、この間でも14円の幅がある。

 ――5円抜ければ100株48万円の資金で500円の儲け。

 500万円全額突っ込めば5000円の儲け。


 小さい小さい。

 もっと大きく抜かなくちゃな――10円抜いて100株につき千円か。


 ! 大勝負、500万突っ込もう。  

 500万なら5000円取れる。


 ただ、そんな取引がこの短時間でできるのか?

 それに、思ったより儲けが少ない。


 しくじって、資金を焦げ付かせたら取引ができなくなる。

 もっと長い目で見なくては。


 ここが底なら、待っていれば4800円を超えてもっともっと上がるだろう。

 でも底ではなかったら、株価は-2σに向かって下げを再加速させるに違いない。


 思考の海に沈んでいると、株価が俺の目を無理やり覚ました。


 買いを入れる意思決定のその前に、株価が大きく跳ねあがった。


 …………ク! 遅かったか。


 4799円から、さっきまでは下がっていた株価が、レンジを無視して上昇。

 さっきまで、-1σと移動平均線のレンジで上下していた株価が、2分の間に+1σ、4818円にタッチした。


 そして今度は一気に下降。


 今度もレンジを無視して-2σに迫っていく。


 …………おっとと! やばかったぜ。


 あそこで買ってたら、売り抜けられずにこの下げを食らってたな。

 絶対売り抜けられなかったに違いないわ。


 胸を撫で下ろす俺を見て、道造さんが褒める。


「よく我慢したな、天心。今のは引っかかりやすいところじゃったぞ」


 我慢したわけじゃない。


 うだうだ悩んでいただけなのだ。


 でも、それがかえって良かったみたい――あぶねー、あぶねー。


 そして5分後、-1σを突き抜けた株価が、今度は-2σを下抜けた後反転を始める。



 いや、本当の反転じゃない――レンジが-2σから-1σに移っただけか?


「ここじゃ! 急げ」


 俺は準備をしていた500株4783円の注文をタップ。


 今の株価はそれより低いから、最優先で約定するはず。


 いったいいくらで買えただろう。


 4783円で指していても、それ以下の売り物があれば売り値で約定するのだ。


 いくらで買えるかは運次第。


 コントロールできるものではない。


 俺の注文は4761円、-2σより僅か2円高い値段で買えていた。


 ! 


 超ラッキー!!


 早速売り注文の準備に入る。


 株価の動きの超激しい銘柄だ。

 さすがは、たくさんのランキングに顔を出している本日一番の人気株。


 新レンジ、3本目のローソク足が―2σに届かない。


 4本目のローソク足で大きく株価が跳ねあがる。


 5本目も大きな上げ――長いローソク足。

 移動平均線をあっさり突き抜け+1σで跳ね返される。


 そして再度じりじり+1σをねらっていく。


 MACD線は、5本目の長いローソク足の始まりでシグナルを突き抜け急角度で上昇。

 プラスゾーンに返り咲き、プラス3円を超えて上がっていく形状。

 まだその確度は鈍化しない。


 6本目のローソク足、レンジは移動平均と+1σの間に切り替わっている。


 6本目、7本目、上げては撥ね返されを繰り返す。


 ここか? ここで売りなのか?


 俺は、道造さんを覗き見た。


 道造さんは、口をへの字に曲げ、眉間に皺を寄せて株価を睨んでいる。


 10本目のローソク足の戻りが遅い。


 やばいか!

 

 11本目、振れ幅が小さい。

 MACD線が真横を向いてシグナル線に近づいて行く。


 ここで売りだな――そう思った瞬間道造さんの声が飛ぶ。


「まて! +1σを抜けるぞ」


 12本目で大きく跳ねた。


 道造さんの見立て通り+1σを突き抜けた。


 マジか! 道造さんの読みすげー。


 13本目、14本目、+1σをはさんで上抜け下抜けを繰り返す。


 +1σが限界か?

 俺は+1σ、4819円で指値売りの準備にかかった。


 俺がタップするのを見て道造さんがまた、今度は静かに告げる。


「次、はねた瞬間、+2σで売りじゃ」


 次、はねた瞬間、+2σで売り?


 ここから下にはねるんじゃないのか?

 急いで売らなきゃ手遅れになるんじゃないか?


 一瞬タップをやめ、道造さんを信じることに決める。


 500株は、俺の投資用資金ほぼ全額……指値は+1σ、4819円だが、売るタイミングは次にはねた瞬間だ。


 15本目、株価は相変わらず上抜け下抜けを繰り返している。


 16本目、突然株価の動きが止まった。


 4823円の厚い板がちょんちょんと削られていく……だが、板は厚い。


「来るぞ!」



 17本目のローソク足、ちょんちょんと板を削っていた動きが止まったようにためを作る。


 そして一気に跳ね上がった!


 一瞬で+2σ、4833円を超えていく。


 俺は、反射的に注文確定ボタンをタップした。


 株価は4840円でトップをつけ急落――一気に4812円をつけ18本目で一旦下げ止まったが、19本目で再度急落、一気に-1σにタッチした。


 反転上昇を見せる株価から目を離し、いくらで売れたかをチェックする。


 4835円、500株。


 全部売れていた。


 買値は4761円、74円取れたから500株で37000円の儲けだ。


 やったぜ! 


 でもこれも道造さんの指示がなければ、結果は全然違っていた。


 まだまだ俺は未熟なんだと自覚する。


 今日始めたばかり。


 まだ4回目のトレードだ。


 一人でできなくて当り前じゃないか。


 そんなにデイトレードは甘くないよな。


 それにしても、道造さんは神のようだったなとその指示の的確さを思い出していた。


 これで今日の儲けは51300円、全て道造さんのおかげだった。

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