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祝15万PV達成 『親ガチャ失敗・俺の親、泥棒ですが何か!』 怪盗紳士は『スチール』極めて成り上がる。  作者: 米糠


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85/118

第85話 町中華で

第80話終了時


 赤嶺天心 ヒューマン 14歳 レベル5

 職業    怪盗紳士

 HP    12(+18257)

 MP    0 (+17831)

 力     12(+300)

 防御外皮  12(+4078)

 知力    10(+17881)

 速さ    12(+4034)

 器用さ   16(+15)


 スキル   スチール(ユニーク)レベル6(16個)

 気配察知(30)

 スライムの胃袋(29704)   レベル4

 消化液(9235)   レベル3  

 メタル化1(体を金属に変える。消費MP2)

 水魔法    スライムバレット(1088)  レベル3

 火魔法    ファイアバレット(2410)  レベル3

 装備    なし

 アイテム  リュックサック 腕時計


 金  五十八万7千円

 口座 二百五十万円

 証券口座 五百万円


 道造さんの後ろについて歩いて行くと、目の前には少し色あせた看板、赤いのれんのかかった町中華が目に入った。


 入り口を入ろうとしたとき、手書きの「冷やし中華はじめました」の紙に注意が向く。


 冷やし中華、食べようかな…………夏しか食べられないだろうし。


 ガラガラっと引き戸を開けて中に入る。

 

 店主が、右掌でテーブル席を示した。

 カウンター席と二つのテーブル席は埋まっていて、空いているのはそこだけだ。

 

 いつもここは混んでるな。

 味もいいし、値段も安めだから当然か。


 床は古いタイルで、テーブルの縁はすり減ってるけど、ここの客はそんなことを気にしない人たちだ。

 大多数の庶民。

 高級な雰囲気や接待、メニューを望むような人は来ない。


 席に着くと、おばちゃんが冷たい水と少し角の折れたメニューを置いていった。


「何にする?」

 道造さんが聞いてくる。


 ……高菜チャーハンか、冷やし中華か――どっちにしよう。


 やっぱりここは――


「この前は、高菜チャーハンと餃子でしたよね。美味しかったけど……今日は冷やし中華にしてみようかと思います」


「そうか。じゃあ、わしも冷やし中華にしてみようかのう」


 道造さんも冷やし中華にするのか。

 夏だし、冷やし中華――いいよね。


「冷やし中華二つ」

 

「あいよー」


 おばちゃんの声が厨房へ飛ぶ。

「冷やし中華二つ」


「餃子はいらないかい?」


「そうじゃのう。食べようかのう。天心も食べるじゃろう?」


 さっぱりした冷やし中華とあつあつの餃子は、思いのほか相性が良く、夏の定番メニューらしい。


「はい。俺も食べたいです」


「あいよー。餃子2枚追加ー!」

 おばちゃんの声がまた厨房へ飛んだ。


 おばちゃんが、メニューを持って定位置に戻っていく。


「天心、なにか悩みでもあるのかのう? 相談があるなら聞くぞい」


 俺、顔に出ていたのかな?

 道造さんは、なんでもお見通しなんだなあ。


「実は、――俺、探索者資格を取り上げられちゃったんです」


 道造さんが驚いて、飲んでいた水をブッと噴き出した。

 

「いや、すまん」


「大丈夫ですよ」


 俺は急いでテーブルを拭いた。


「じゃが、天心。探索者資格を取り上げられるとは、何をしたんじゃ?」


 道造さんが眉根を寄せる。


「昨日、知り合いの探索者が、第二階層でピンチだと聞いて…………」


 俺は、探索者資格を取り上げられた経緯(いきさつ)を淡々と説明した。


 …………


「全く、頭の固い職員じゃのう。人助けのために入ったのにそんな扱いを受けるとは!」


「でも、俺が行ったことで助かったわけじゃないので……」

 本当は……俺が行ったから助かったんだと思うけど、そういう判定じゃないんだよね。


「それにしてもじゃ!」


 道造さんは、本気で怒っている。


「情状酌量という言葉を知らんのかのう」


「まあまあ、落ち着いてくださいよ。ここで怒っても状況は変わらないんだし。俺としては、これからデイトレードで生きて行かなくちゃと思うわけです」


「天心よ! デイトレードは簡単ではないぞ。生活費を稼ぎだすなんて夢のまた夢じゃ」


「でも、道造さんはできてますよね」


「まあ、そうじゃがな。じゃが、常勝無敗というわけにはいかん。前にも言ったが、10勝1敗でも損が出ていることだってあるのじゃぞ」


 前にそんなことを言っていたような気がする。


 負けたところを見ていないので、言っていることがピンとこない。


 数万ずつ稼いでいても、一気に100万くらい負けるっていうことか?


 パチンコでは、なんとなくフィーバーしていても負けていることがあるのは分るような気がしているが、デイトレードもそうなのだろうか?


 道造さんが、嘘を言うはずはないので、10勝1敗でも損が出るケースはあるのだろう。


「とにかく、デイトレードだけで生活しようなんて言うのは無謀じゃぞ」


 ……道造さん、やってるじゃない?


「何かしら、職は探した方がいいな」


「そうですね。分かるんですけど、職探しって何をすればいいんだか?」


 職を探した方がいいのは言われなくても分かっているんだ。

 でも、当てがないんだよね。


 高卒ならまだしも、中卒――いや、今はまだ現役中学生。

 この年齢じゃあ、バイトだってままならない。


 高卒認定試験は早めに合格しておいた方がいいのかな?

 そうすれば、高卒者の就職募集を受けられるかも。


 とにかく中学卒業までは、今の有り金で過ごすしかない。

 手元に五十八万、口座に二百五十万円。

 これだけあれば、卒業までは十分に暮らしていけるはず。

 焦らずに行こう。


 高校生なら、アルバイトも探せばあるだろうし、高卒認定を取って何か仕事を探せばいい。


 高卒認定試験は確か8月頭だったかな。

 1ヶ月くらいで結果通知が送られるはず。

 1回で全教科合格すれば、9月から飛び級みたいに高卒者として職探しだ。


「そうじゃのう。高校卒業するまで、収入は望めんか……」


 道造さんが頭を抱えて一度うつむき、今度は天井を見上げる。


「それは仕方がないとあきらめて、今は元本を減らさぬように、慎重にトレードするしかあるまい」

 

「そうですね。俺、けっこう金持ってるし、たぶんなんとかなりますよ」


 探索者を辞めさせられたのは、つくづく痛い。

 収入がなく、預金を切り崩す生活は胃がキリキリしてきそうだ。


「大丈夫。大丈夫。トレード用の500万とは別に300万くらいありますから」


 俺は道造さんに顔を近づけ小さな声で伝えた。


「まあ、それだけあれば、1年くらいはなんとかなるじゃろう」


 おばちゃんが冷やし中華と餃子を運んでくる気配。


 俺と道造さんは聞かれないように話を一旦止めた。

 大金の話なんて、人に聞かれない方がいいからね。


「冷やし中華2つと餃子2枚ね。注文はそろったかい?」


「ああ、大丈夫じゃ」


 おばちゃんは軽く頷き、愛そうなくくるりと背を向け定位置に戻っていく。


 俺たちは、再び話始める。


「天心には、わしのすべてを教えてやる。1人前のデイトレーダーにしてやるぞい」


 道造さんは、一段と真剣にデイトレーダーとしての術を俺に教えなくてはと、再認識したのだろう。


「よろしくお願いします。これから道造さんのことを『師匠』と呼んでいいですか?」


「『師匠』か…………なんだかむず痒いのう。じゃが道造さんと呼ばれるより、距離がちじんだ気がする――よかろう。『師匠』と呼んでくれ」


「ありがとうございます。師匠」


 道造さんは、まんざらでもなさそうに、いや、嬉しさを隠すように、僅かにニヤリと口の端を上げ、目じりを下げた。

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