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祝15万PV達成 『親ガチャ失敗・俺の親、泥棒ですが何か!』 怪盗紳士は『スチール』極めて成り上がる。  作者: 米糠


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第81話 想定外?


 俺は今、以前一度来たことのあるミーティングルームらしき個室にいる。


 俺の目の前には、机をはさんであのマッチョの指導員さん。

 鬼のような形相で、俺を睨んでいらっしゃる。


 十五歳まで第二階層には入ってはいけないことになっている俺が、第二階層で見つかっちゃったんだから、そりゃ怒るわな…………すみません。


 俺はひたすら身を縮め、下を向いて反省した姿を見せた。


「赤嶺君! どうして第二階層に入ったのかね?」


「はい。すみません」


「すいませんじゃないよ、きみ!」


「はい。すみません」


「だから、訳を聞いてるんだ。訳を」


 う…………。

 訳って言っても、あの三人組が危ないって聞いたから…………って、それ言い訳になるの?


 危ないのを知ってて入ったなんて、余計怒られそう。


 まあ、正直に話すしかないか。


「えっと…………知り合いが大発生したスケルトンに襲われてるって耳にして…………気が付いたら走り出しちゃってました」


「知り合いって、あの三人か?」


「はい――」


「死ぬと思ったか?」


「はい――」


 だって、あいつら、スケルトンが大量発生してるって聞いて、ヒャッハーしに行っちゃうようなおバカだもん。


 実際、俺が行かなかったら死んでたかもしれないぞ。


「でも、ちゃんと逃げてきたじゃないか。あいつら、おまえのこと何しに来たのかねえ、とか言ってたぞ」


 う――ん。

 俺、けっこう助けになったと思うんですけど。


「そうですかー。そうですよねー」


「まあ、実際お前がいれば、たいていのピンチはしのげただろうけどな」


 実際、しのいだんだよ! すでにしのいだの! 俺のおかげで。


「たいして危険じゃなかったんだろう。おまえ、石投げてただけだと聞いたぞ。危なけりゃ、あれやっただろう。スライムバレット」


 確かに、スライムバレットを出すほどじゃあなかったけれど、でも俺がいなかったら…………


「だから、あいつらは、ちゃんと状況判断して逃げてきたってことだよな」


 判断間違ってたと思うけど…………まあ、説得力ないわなあ。


「ふー。…………結局お前が、余計なことをしたってことだな。知り合いがピンチだと耳にして、助けに向かう気持ちは分かるがな」


「ゴホン!」

 ここでマッチョの指導員さんが大きく咳をした。


「あーあれだ。つまり、おまえは、自分の早とちりから、規則を破って第二階層に侵入したっていうわけだ」


 やっぱり、そういう見解か。


「ということで、おまえの探索者資格は取り消し! ――ということになる。残念だったな」


 マジですか? 信じられねー!


 チョイ、チョイ、チョイ。


 ちょっと処分が重すぎませんか?


 俺は椅子を倒す勢いで立ち上がった。


「嘘でしょう! 命を救うためですよ? 情状酌量って知ってます?」


「命? 命危なくなかっただろう?」


 ……あ!

 命……危なかったけど、危なくないわ。

 グヌヌ。


「あきらめがついたか? 規則を破るやつは、何度でも破る。そういう奴を、探索者にするわけにはいかないんでな」


 え――。


 俺は、がっくりとうなだれた。


「規則は規則だ。残念だったな。俺も残念だよ。君は、特殊探索者に選ばれるほどの逸材だったのに…………」


 特殊探索者って、逸材なんだ。

 まあ、そうなのかな、とは思ってたけどね。


 規則は規則――だからしょうがないよね。


 ああ、どうしよう。

 これで探索者の道は閉ざされちゃった。


 俺は、落ち込みながら部屋を出る。


 外ではあの三人が待っていた。


「おう。どうだった天心?」

 田畑康太が無神経にも聞いてくる。


 笑顔が恨めしい。


 自業自得だからしょうがないよね。

 こいつらに助けてくれと頼まれたわけじゃないし、こいつらを恨むのはお門違いだ。

 だから、何とも思わないよ。

 俺が、全部悪いんだもん。


「…………うん。資格取り消しだってさ。ははは!」


「え! 資格取り消し? なんのだよ」


「探索者」


「探索者?」


「うん。……もう探索者をやっちゃだめなんだって」


「なんでだよ?」


「第二階層に入ったから――規則を破ったから」


「そいつはしょっぺえ判定だなあ!」

 いつも無口な金城守が苦々しげに吐き捨てる。


「それが探索者協会のやり方か?」

 梶谷猛も不服そうだ。


「文句つけに行こうぜ!」

 田畑康太が歩き出す。


「ちょ、ちょっとまってくださいよ」

 俺は慌てて田畑を止めた。


「ルールで決まっているそうです。ルールはルールだから言っても変わりませんよ」


「やってみなきゃ、わかんねーだろう!」


「分かりますって。マッチョの指導員さんじゃ変えられないんすから!」


 そうだ。

 ルールは代えられない。


「それに、そんなことしたら、俺の心証が悪くなるじゃないですか。だからやめてくださいよ。それに俺、これからデイトレーダーになるつもりなんで」


「「「デイトレーダー!!」」」


 三人の声が揃った。


 そんなに驚かなくてもいーんじゃねえ。


「だから、もういいんですって」


「デイトレーダーって……おまえ、あれ、難しいんじゃないのか?」


「まだ、やったことがないんで分かりません」


「「「だよなー」」」


 そこで、声揃えんなよ。


「だよなーって、なんですか!」


 俺は、思わず抗議する。


「いやいや、普通そうなるって」

 梶谷猛がなだめるように答えた。


「まあ、いいですけど」


「それでおめー、デイトレードで稼げるのかよ?」

 田畑康太は、興味津々という感じだ。


「だから、やったことないんで分かりませんって」


「おめー、それ、無謀なんじゃね?」


「でも、冒険者ができなかったら、それくらいしか…………」


「損するよりは、やらない方が、ましなんじゃね。デイトレーダーって、ほとんどの人が損してるって聞くぞ」


 田畑って、けっこう物知りなのかな?


「俺の知り合いが、デイトレードで稼いでるみたいなんですよ? そんなに損するものなのかなあ?」


「そいつ、ホントに稼いでるのかよ。カッコつけてるだけじゃねー?」


 ムム! 道造さんをバカにするな。


 …………でも、なんだか不安になってきたぞ。


 いやいや、この前メッチャ儲けてたのを見たじゃないか。


「そんなことないですよ。午前中、やってるのを見せてもらってたんですけど、すげー儲けてました」


「へー。それが本当なら、そいつすげーな」


 そうだぞ、道造さんは凄いんだ。

 

「でもよかったなあ。おめー、あれだろう。探索者ができなくなったら、他にあてがなかったんだろう。高校に、いけないし、もちろんコネ入社とかの当てもないから、探索者に成ったんだろう」

 梶谷猛が分かったふうなドヤ顔で顎をなでる。


「株取り引きができるのって、学校に行ってる時間だろう。それともFXの夜間取引か?」


(たけ)ちゃん。今は株だって夜間取引ってのがあるらしいぜ」


「へー、康太って物知りじゃん」


 いや、夜間取引じゃ取引量が少なすぎてデイトレイドには向かないんだよねー。


「まあねー。尊敬してもいいぜー」


「言ってろー!」


「じゃあ、そういうことで皆さんとはお別れですね。ここに来ることも、もうないでしょう」


「そうか、残念だな」


「町で会ったら、その後の近況でも聞かせてくれや」


「…………元気でな」


 なんだかんだ、良いやつらだわ。


「じゃ、さいなら!」


 俺は、にっかりと笑ってサムズアップすると、三人と別れて池袋西探索者ビルを後にした。



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― 新着の感想 ―
うーん、2層に行ったから資格剥奪は重すぎるな
マジっすか!?
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