第80話 救出劇?
向かってくるスケルトンが見えた途端にスチールを放つ。
狙いはHPだ。
スケルトンレベル1のHPは5――スチール1発で倒すことができる。
「スチール!」
HP5、力10、防御外皮1をスチールしました。
スケルトンが崩れ落ち煙に変わりながら魔石を残す。
魔石なんて拾っている場合じゃない。
無視してダッシュ。
スケルトンが見えたら、速攻スチールで倒す。
十数匹倒したころに何かを感じた。
向こうに喧噪。
走って向かう。
見えた!
三人が戦っている。
なんだよ!
ヒャッハーしてるじゃん
生きてんじゃん。
――心配して損したわ。
俺は走る速度を緩めて、普通の人間基準に合わせる。
近づいて声をかけた。
「助けに来ましたー!」
スケルトンと闘いながら三人が答えた。
「たすかるぜ! ちょっと敵が多すぎらー!」
「その声、天心か?」
「なんで、ここにいるんだよ?」
三人がスケルトンと必死に戦いながら、俺の声に反応する。
「先輩たちがやばいって聞いたもので」
「やばかねーって。余裕……だ、ぜ、っと」
田畑康太がスケルトンのパンチを躱す。
全然余裕じゃねーだろう――かすってるじゃん!
「おらー!」
金城守が正面の一匹を粉砕した。
「天心、おまえ、武器持ってねーのかよ!」
梶谷猛が俺をチラ見して驚いたように叫ぶ。
あ! ……俺ってスチールで倒してたから武器を持っていなかったわ。
俺は急いで足元の石を拾い、スケルトンに投げつける。
こぶし大の石は、スケルトンの顔面にぶつかり頭蓋骨が飛び散った。
「俺の武器は石ころです!」
何とかごまかせたかな?
「しょっぼ! そんなんで助けになるのかよ!」
田畑康太がすかさず突っ込みを入れてくる。
当然と言えば当然のお言葉。
でも、一匹倒したぜ。
助けになるかならないかは、実績で示すしかないよね。
俺は投石を続けて次々にスケルトンを倒していく。
「天心! おま、けっこうやるじゃん。だいぶ対応が楽になったわ」
そうだろうそうだろう、康太くん。後方支援って、あるとないとじゃ大違いでしょう?
三人も、それほど切羽詰まってなさそうなので、魔法を使う必要はなさそうだ。
……ていうかスチールしている余裕もありそう。
オッと――石がなくなったわ。移動移動。
俺は手ごろな石を拾いに移動し、しゃがむ。
……!!
危ない!
田畑康太の後ろに骨の棒(足の骨かな?)を振り上げたスケルトンが今にも振り下ろす態勢。
俺はしゃがんだままスチールを唱える――無言でね。
「スチール!」
速さ6、力10をスチールしました。
スケルトンの動きが止まる。
振り向いた康太が、すぐさま一刀両断に叩ききった。
「このスケルトン、振りかぶりすぎ。止まってたぜ。おっそ!」
それ、俺が速さと力を盗んだからだからね。
君、今死んでたぞ――とは、口には出さず。
「やるなー! 康太」
梶谷猛が声をかけた。
「あったぼうよ!」
だから、俺のおかげだって…………。
俺はこぶし大の石を5~6個抱えて投石再開。
ドカーン! バシャーん! バギャーン!
さて、石、石っと。
「オラオラオラァー!」
近づくスケルトンが減ってきたせいで、田畑が調子に乗っている。
金城守は、黙って淡々とスケルトンを粉砕していた。
この人、基本無口みたい。堅実だわ。
「天心! 投石、助かってるぜ!」
なんだかんだ、梶谷先輩ってリーダーしてるねー。
「よかったですー。役に立てて」
「答えてる暇があったら、さっさと石を拾え!」
……厳しいリーダーね。
「ヒャッハー! オラオラオラァー!」
「…………」
「いいぞ! 康太ー!」
なんとかスケルトンの大軍を押しとどめている。
けっこういいチームだわ。
俺が助けに来たせいで、こいつらが命拾いしたのは間違いないけどね。
スケルトンとの戦いは、しばらく続いた。
だって、後から後から湧いてくるんだもん。
ていうか、奥からさっきより大量のスケルトンが押し寄せてきたじゃん。
……これ逃げた方がいいのでは!
まあ、スライムバレットを連射すれば、あんなの一瞬で消せるけどね。
瞬殺、瞬殺。
でも、それをやったら人外認定確定じゃん――やらない方がいいよね。
「先輩! あれ! すげーいっぱい来てますけど。逃げた方がいいんじゃあ?」
「あーん。俺達に、逃げるなんて文字は…………」
田畑康太が口をあいたまま、一瞬フリーズした。
「おい! さすがにあれはヤベーだろう?」
「そうだな。走って逃げようぜ」
梶谷猛の提案に、無口な金城守が口を開いた。
走り出す四人。
俺は加減して、最後尾を走る。
後ろに向かってスチールを放つ。
「スチール! スチール! スチール!」
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
追いかけてくるスケルトンがこけるように崩れていく。
三人は前を向いてるし、崩れ方もそれほど変じゃないから、俺がスチールで倒しているのに気付かないだろう。
「スチール! スチール! スチール!」
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
「スチール! スチール! スチール!」
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
こいつら第一階層までついてくるのかな?
「スチール! スチール! スチール!」
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
HP5、力10、気配察知1をスチールしました。
走り続けていると、第一階層の入り口に近づいてきた。
自衛隊員が第一階層から降りてくるのが見えた。
異常を知って、鎮圧隊が組織されたのだろう。
十人くらいの隊員が、マシンガンを担いで二列に並び始める。
俺たちはその隊列をぬけていく。
俺たちが隊列の横をぬけるとマシンガンの発砲が始まった。
ズガガガガガガ――
振り返るとスケルトンたちが撃ち抜かれて崩れ落ちていく。
「ヒュー! さすがマシンガン。俺もマシンガンあったら余裕なんだけどなー」
田畑が口笛を吹き、口の端を上げた。
「マシンガン、いくらすると思ってんだよ。あんなの一生買えないぜ」
俺もそう思うわ。
やっぱり、俺は一人で探索していた方がいいみたいだな。
持ってるスキルを使いづらいよ。
よかったよかったと思いながら第一階層に向かおうと振り向くと、そこにはマッチョな指導員さんが額に青筋を立てて俺を睨んでいた。
あ…………第二階層に入ったこと見つかっちゃったわ。
スケルトン・レベル1のステータス
HP 5
MP 0
力 10
防御外皮 5
知力 5
速さ 6
器用さ 5
スキル
気配察知 2(目がないため気配で周りの様子を知る)
ドロップアイテム
毒薬(麻痺毒レベル1) 1
第80話終了時
赤嶺天心 ヒューマン 14歳 レベル5
職業 怪盗紳士
HP 12(+18257)
MP 0 (+17831)
力 12(+300)
防御外皮 12(+4078)
知力 10(+17881)
速さ 12(+4034)
器用さ 16(+15)
スキル スチール(ユニーク)レベル6(16個)
気配察知(30)
スライムの胃袋(29704) レベル4
消化液(9235) レベル3
メタル化1(体を金属に変える。消費MP2)
水魔法 スライムバレット(1088) レベル3
火魔法 ファイアバレット(2410) レベル3
装備 なし
アイテム リュックサック 腕時計
金 五十八万7千円
口座 二百五十万円
証券口座 五百万円




