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祝15万PV達成 『親ガチャ失敗・俺の親、泥棒ですが何か!』 怪盗紳士は『スチール』極めて成り上がる。  作者: 米糠


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第78話 デイトレイド実践見学3

 

 コンビニで弁当を買い、道造さんの家に戻ると、談笑しながらそれを食べ、再びパソコンの前に陣取る。

 まだ、後場は始まっていないが、板はすでに動き始めていて、後場の注文状況を確認できた。


「うーむ。今日はやっぱり下げそうじゃ」


 俺は、道造さんがそう考える、その根拠を尋ねる。


「どうして、そう思うんですか?」


「板の注文状況じゃが、売り板のほうが注文は伸びておるじゃろう。しばらく見ておれ」


「はい」


 ……!


 売りが増えたため、板が一枚移動した。


「な、な! ……下がりましたね」


「じゃろう。前場の終値より下がっておる。じゃから、一見下がるように見える。……が、じゃ」


 一拍おいて、道造さんが言葉を続ける。


「――寄り付きに大きな買いが入って一気に上がる。そして1分と経たずに一気に下がりだす」


 道造さんは顎を手でさすりながら、淡々と解説を続けた。


「寄りで買えても、売り抜ける時間がない。認証に時間がかかるからじゃ。買ってから売りの入力していては間に合わん。ここで買うと罠にかかるな」


「罠ですか?」


「ああ、罠じゃ」


「それは、誰かが罠を仕掛けてるってことですか?」


「そうとも言えるし、そうとも言えん」


 道造さんが、眉根を寄せて俺のほうに振り向いた。


「株取引は心理戦。デイトレードは特にのう。今、誰もが反転の時期を狙って、買いの準備をしてマウスにてをかけておるとしよう」


 確かに、自分たちはまさにその状態だ。


「ここでもし、株価が勢いよく上げだしたら、誰もが乗り遅れまいとマウスをクリックするじゃろう」


 ……間違いなく、俺ならそうする。


「じゃから株価は一瞬大きく跳ねる。じゃが、株価が大きく上がったところで、多量の売りが浴びせられる。もちろん寄りで買われた株も含めてじゃ。多量の株を売れずに抱えているものにとっての絶好の売り場じゃからじゃ」


 …………多量の株を売れずに抱えているもの、そんな奴がおるのか。


「するとどうなる?」


「1分と経たずに一気に下がりだす……」


「そして、損きりのラインまで下げ続けるんじゃ。もともと日足で見てもピークに達しておるから、数日間は下げ続けるじゃろう。セリングクライマックスがくるまでは、波はあっても下げ相場じゃろうからな」


「そんなに下げ続けるんですか?」


「わしらデイトレーダーは、1日のうちで売り買いするが、日をまたいで売り買いするものも多い。そういう者たちは日足で物事を考える。当然テクニカル分析も日足のものを重視するんじゃ」


 道造さんは一度画面に視線を戻し、続けた。


「わしらも、確かに日足もみる。相場の流れを考える必要があるからのう……じゃが1分足、5分足とかを重視しておる。――じゃろう」


 1分足、5分足、日足というのは、グラフの1メモリが1分、5分、1日刻みということだ。


「はい」


 今のところ見ているのは、ほとんど1分足と5分足。

 日足は最初に確認した程度だ。


「日足で考えて、1番安いところで買い1番高いところで売る。それを狙うのが一般的なトレーダーじゃ。デイトレーダーのように1日に何度も売り買いはせん。そういう者たちとは基本的の利用する波が違うんじゃ」


 なるほど――トレーダーにもやり方は色々あるらしい。


「はい」


「もっとも、わしらもそういう取引方法を取らねばならなくなる場面もあるから、完全な区別はつけずらいがな」


 買値より下がってしまい、売るに売れず、何日も待つことになるも場合ね。


「はい」


「何が言いたいのかというと――そういう者たちが買いに入るまでは、日足で見て下げ相場になるということじゃ。でなければレンジ相場になる」


「レンジ相場?」


「レンジ相場っちゅうのは、ある一定の値幅の中を、行ったり来たりする状態じゃな」


 そういう動きもあるのね。


「いずれにしても、基本は下方向。じゃから今日は下げ相場になると思ったわけじゃ」


 そういうことね。

 長すぎたけど、やっと話がつながったわ。


 でも、誰かが罠を仕掛けてるって話はどうなったの?

 『そうとも言えるし、そうとも言えん』って、どういう意味よ?


 定時になって、初値が付くと――そのままぐんぐん上がりだした。


 …………!!


 この値動き――初動は道造さんの言う通りだった。


 『やばい! 買いのタイミングを逃したかもしれない。早く買いを入れなくちゃ!』


 確かに、普通はそう思うだろう。


 だが、はなから様子見を決め込んでいた俺と道造さんには関係ない。


 冷静に、板の動きを観察する。


 1~2分の間に、チャートは激しい上げ下げを繰り返しながら、どんどん値段が上がっていく。


 だが、その動きが突然下げに転じた。


 一気の爆下げ。


 ガン、ガン、ガン、と叩きつけられるように落ちていく。

 もし高いところで買っていたら、奈落の底に叩き落とされるような感覚だろう。


 気が付けば、始めの値段を下回り、さらに下へと加速する。


「『落ちるナイフはつかむな』と言ってのう、こういう時は手を出さないものじゃ。ナイフは床に刺さってから買うものよ」


 金言、頂きました。

 何かの諺かな?


「今日、見ているのは目の毒じゃな。変なスケベ心を起こすと嵌るからのう。わしはパチンコ屋に行こうかのう」


 そう話している間も、株価は下がり続けている。


「もう少し、見ていたいです。道造さんの解説をもっと聞いておきたいし」


「そうかのう。じゃあ、もう少し見ておるか」


 株価は小さな上げをはさみながら、下げ続けた。

 ボリンジャーバンドが下向きの-3σに接しながら移動する。

 MACDがマイナスゾーンで、赤線(シグナル線)と緑線(MACD線)が離れていく。


「だいぶ落ちたのう」


 道造さんが、呆れたようにつぶやく。


 その瞬間、株価が跳ね上がり、ボリンジャーバンドは-2σまで戻す。

 だが、すぐに失速し、再び-3σへと押し戻される。

 そして――株価が下げ止まった。


 ボリンジャーバンドが-2σを超え-1σを伺う気配。

 MACDは、横ばいになった緑線(MACD線)に、下がってきた赤線(シグナル線)が近づいていく。


「買うならここじゃが、上値は-1σまでじゃろうな。2764円で買えても2766円までがいいところじゃろう。2円を狙って危険を冒すなど愚の骨頂。変なスケベ心は起こすな、起こすな」


 道造さんの言う通り、2764円で緑線が赤線を突き抜ける。

 だが、緑線は2766円で向きを下に変え、ボリンジャーバンドも-1σにぶつかって跳ね返され、下向きの-2σに沿って進みだす。

 もちろん、株価がまた下げに向かったからだ。


 一瞬だけ2767円をつけたが、その後じりじりと下げ続け、結局2754円まで下がって取引時間は終了した。


 道造さんの予想は見事に当たった――と言っていいだろう。


 …………これが、経験による勘という奴か。見事だったな。


「気合を入れて考えたから、今日は予想が当たりすぎじゃったのう。いつもはこんなに当たらんぞ。ええカッコができて良かったわい」


 道造さんが、嬉しそうに頭を掻いた。


 

明日から、1日2話投稿 12時、19時30分 になります。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


この小説を読んで、「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです 。


お手数だと思いますが、ご協力頂けたら本当にありがたい限りです <(_ _)>ペコ




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