第73話 日曜後半
第71話終了時
赤嶺天心 ヒューマン 14歳 レベル5
職業 怪盗紳士
HP 12(+14467)
MP 0 (+14231)
力 12(+30)
防御外皮 12(+3356)
知力 10(+14281)
速さ 12(+3348)
器用さ 16(+15)
スキル スチール(ユニーク)レベル6(16個)
気配察知(6)
スライムの胃袋(22504) レベル4
消化液(7435) レベル3
メタル化1(体を金属に変える。消費MP2)
水魔法 スライムバレット(1088) レベル3
火魔法 ファイアバレット(1690) レベル3
装備 なし
アイテム リュックサック 腕時計
金 三十七万四千四百円
口座 二百五十万円
証券口座 五百万円
蛍光石に照らされる薄明るいダンジョン第1階層。
俺の目の前にはオレンジ色のスライムが蠢いている。
そいつは、一見ただの雑魚に見えるし、誰もがそう思っているが、実はこいつら要注意な存在だ。
気づかれないうちに倒せればいいのだが、気づかれるとファイアバレットを使ってくる。
遠距離魔法攻撃。
炎の弾丸が連射される――まあ、魔法の発動さえ見逃さなければ、簡単に躱せるけどね。
……ていうか、俺のスピードなら当たることはまずない。
でも、普通の探索者だったら、油断しているとやられるかもしれない。
なにせ、俺のスピードは、標準が10のところ3360だからね。
俺にとっては、四回スチールをする間、躱し続ければいいだけの話なので、近付き過ぎなければいいだけだ。
実際は、一回目のスチールで魔力や魔法を奪ってしまうから、遠距離攻撃されるのは初めだけ――余裕だぜ。
だが、剣や槍などの近接戦闘職には、突然の近距離発砲はなかなか躱しづらいものがあるはず。
スライムの核を一撃で貫く技量がなければ、確実に炎の弾丸を食らうことになるだろう。
スライムバレットを持つ、普通のスライムについても同じことが言える。
要するに、レベル3以上のスライムは、なめてかかると大怪我をするということさ。
俺のことを「スライムスレイヤー」とバカにする探索者だって、少数の例外を除けば、俺と同じことはできるはずがないんだよねー。
そんなスライムたちを、俺は狩り続けている。
1匹倒して六百円。
昨日は九時間で270匹倒した。
「スチール!」
そう小声で唱えた瞬間、俺の攻撃に気が付いたのか、スライムがこっっちを見た――と思う。
目がないから見てはいないんだけど、そう感じたんだよ――悪かったな。
スライムの体表が脈動し、炎の弾丸が連射された。
ファイアバレットだ。
俺は、炎の弾丸を余裕で躱す。
やっぱり見てやがったぜ!
探索者って、こういう勘も大切なんだよね。
MP10をスチールしました。
ファイアバレット2をスチールしました。
防御外皮2をスチールしました。
速さ2をスチールしました。
脳内にメッセージが響き渡る。
スチールには成功していたようだ。
もうこいつに飛び道具はない。
それにしても、こいつ感が良いやつだったな――俺の攻撃とほとんど同時に反撃してきたんだからな。
スライムの中には、こういう奴も稀にいる。
ほとんどが「ニブチン(鈍いやつ)」なんだけどね。
「スチール!」
知力10をスチールしました。
消化液 5をスチールしました。
スライムゼリー1をスチールしました。
「スチール!」
スライムの胃袋16をスチールしました。
「スチール!」
スライムの胃袋4をスチールしました。
HP10をスチールしました。
全てを奪い尽くされたスライムは、魔石と水に変わった。
魔石を拾って次に向かう。
――――結局俺は、休まず夜八時まで働き続け、240匹を倒した。
まずまず頑張ったというところか?
言葉にすれば簡単だけど、実際にやるとなると、なかなか骨が折れるのよ――これが。
買い取りをすませて、二階のパーラーに向かう。
パーラーは、客数は昼間ほどではないが、夜の店内は食事と飲みで昼間よりにぎわっていた。
だが、例の三人組はいなかった。
三人組には悪いが、実はほっとしました。
今日は、メンタル的にかなり疲れた。
借金も返したし、三人組にも説明をした。
スライムを狩っていた方が、いくらか気が休まるぜ。
俺は、人と話すのが本当に苦手だ。
夏休みが始まったばかりなのに、ずいぶん濃い一日だったぜ。
明日は月曜日。
道造さんの家に行く。
デイトレード。
インターネットの株取引を、目の前で見せてもらう。
手取り足取り、こまごまと教えてもらうつもりだ。
道造さんには世話になってばかりだなー。
何かお礼を持っていくか。
あとでデパートにでも行って、美味しい物でも買っていこう。
石神駅前には良さそうな店はないけど、池袋まで出れば大きなデパートがあるからね。
いや待てよ――ケーキとかって、早く食べなきゃダメだったかな?
そうだ、和菓子にしよう。
道造さんには、なんとなく和菓子がしっくりとくる。
イメージだけだけどね。
本当は、チョコレートとか生クリームのほうが好きかもしれないが、勝手にあんこが好きなんじゃないかと決めつける。
食べるのは明後日だから、和菓子でも餅系は一日経つと硬くなるからダメだよね。
明日デパートに行って、賞味期限をチェックしながら何か買おう。
そんなことをぼんやり考えているうちに、気が付けば焼肉定食を食べ終えていた。
皿の上には、タレの照りだけが残っている。
――ごちそうさま。
俺は椅子から立ち上がると、ビルを出てバス停に向かう。
池袋西探索者ビルのすぐそばにはバス停があり、そのバスの一つは石神公園前を通る。
時刻表に目を落とす。
夜も遅く、本数が少ない。
――次の便、だいぶ先だな。
待つのはだるい。
やっぱり走って帰ることにする。
待ち時間がかなりあるので、その方が家に全然早く着くんだもん。
軽いジョギング程度のつもりで走り始める。
景色が一気に流れ始め、街灯が線のように伸び、すれ違う人影が一瞬で後ろに消えていく。
風が耳元で鳴った。
ステータスが高すぎるせいで、俺の「軽く」は、普通の人間にとっての全力疾走だ。
あっという間に家に着いたが、息ひとつ切れていない。
玄関の前で立ち止まり、ガチャガチャと鍵を開ける。
家に入り、すぐに風呂へ。
湯気の中で、今日一日の疲れがじわじわとほどけていく。
あー、生き返るわ。
風呂から上がると、布団を敷き、部屋の明かりの下でタブレットを手に取った。
電源を入れ、ネット証券のホームページにログイン。
うん……ちゃんとログインできたぜ。
けっこうこれが、不安だったんだよね――IDだの、パスワードだの、二重認証だの、けっこう複雑。
う――――ん。
ホームの画面に個人口座の画面?
どこをどう見ればいいのか、どれがどんな意味を持っているのか全く分からない。
明日、道造さんに教えてもらえるはずだから、心配はしてないけどね。
個人口座の画面に五百万円の表示があるから、たぶんこれで大丈夫なはずだ。
俺はタブレットの電源を落として眠りについた。
第73話終了時
赤嶺天心 ヒューマン 14歳 レベル5
職業 怪盗紳士
HP 12(+16867)
MP 0 (+16631)
力 12(+30)
防御外皮 12(+3836)
知力 10(+16681)
速さ 12(+3828)
器用さ 16(+15)
スキル スチール(ユニーク)レベル6(16個)
気配察知(6)
スライムの胃袋(27304) レベル4
消化液(8635) レベル3
メタル化1(体を金属に変える。消費MP2)
水魔法 スライムバレット(1088) レベル3
火魔法 ファイアバレット(2170) レベル3
装備 なし
アイテム リュックサック 腕時計
金 五十一万八千四百円
口座 二百五十万円
証券口座 五百万円




