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祝50万PV達成 『親ガチャ失敗・俺の親、泥棒ですが何か!』 怪盗紳士は『スチール』極めて成り上がる。  作者: 米糠


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37/250

第37話 運動着を買わなくちゃ



 俺はジーンズとTシャツに着替えると、家を出た。

 向かう先は石神中学校方面。


 確か、中学校の近くに石神中学指定の運動着を売っているスポーツ用品店があったはずだ。


 記憶を辿りながら探して歩くと、校門から少し離れた通り沿いに、古びた小さなスポーツ用品店をみつける。


 色あせた看板、ショーウィンドウのサッカーボールや体操服。

 そうそう、ここだよ。


 個人でやってる小さな店だが、石神中学指定の運動具関係はなんでもここで揃ったはずだ。


 店内に入ると、独特のゴムと布の匂いが鼻をくすぐる。


「すみません、石神中の運動着、上下セットください」


 カウンター越しに声をかけると、店主らしい中年の男性が無言で頷き、棚から指定運動着を取り出した。


 サイズ確認、袋詰め、会計。


「七千円ね」


 不愛想な店主だが、そのくらいのほうが俺は好きだ。

 すり寄られたり、あんまり話しかけられると、なにか売りつけられそうで嫌だよね。


 万札を出して支払う。

 手元に残ったのは八千円。

 生活していくには、ちょっと心細い。

 今からダンジョンに行って稼ごうかな。


 石神公園前からバスに乗り、池袋西探索者ビル前で降りる。

 探索者ビルに入って、二階で腹ごしらえをしてからゲートを潜り、ダンジョンに入る。


 手持ちの現金は五千円ちょっと。

 中坊にしては持ってる方だが、数日の生活費にも足りなそうだ。

 たぶん......かーちゃんはもう帰って来ないだろうし。


 いつもの通りに、スライムを倒そう。

 今日の探索時間は、夕方までだ。

 それでも数万円は稼げるはず。

 たくさん稼ぎたいけれど、昨日みたいな徹夜の狩りは、ちょっと無理だ。

 明日は、学校があるからね。


 昨日はスライムキングとメタルスライムを倒したけれど、今日もまた遭遇できるかな。

 スライムキングとは正直もう戦いたくないけど、メタルスライムとはまた会いたい。

 プラチナ塊1千万円は美味しすぎ。

 俺って……欲が深いかなあ。


 俺は、昨日メタルスライムを見つけた、あの未踏破の通路(もう俺が踏破したけど)を目指して走り出す。


 周囲のスライムが視界に入るが、今日は相手にしない。

 相手をしていたら、奥に辿り着けない。

 今日は時間が限られているからね。


 昨日スライムキングを倒した場所まで一気に駆け抜ける。


 そして、俺は目を見張る。


「あれ! ……壁の穴がなくなってるじゃん?」


 昨日開いていた大穴、確かに存在した秘密の通路への入口が、完全に元通りの岩壁になっていた。

 ダンジョンの自己修復能力ってやつか?


 ダンジョンの不思議は、まだまだ解明されていない。

 穴の開いた岩壁が、勝手に治るなんて知らなかったぞ。

 俺の知らないダンジョンの不思議は、まだまだいっぱいあるんだろう。


 周りでスライムがぷるぷると5匹蠢いている。

 俺を攻撃してくる気配はない。

 スライムってもともと好戦的ではないのかな?

 ちょっと安心だけど要注意だ。


 どうするべきか? 

 元に戻った岩壁の前で、俺はしばし考えた。

 

 岩の向こうに空洞が続いてるんだから――穴を開ければいいのかな?


 俺は岩壁の前に立ち、掌をかざす。


 スライムバレットを連射。


 バババババババ!!


 衝撃音とともに、消化液の弾丸が岩壁に叩きつけられる。


 岩が溶け、蒸気が噴き上がる。


 ガラガラガラ……ズッシーン。


 崩れ落ちる岩。

 立ち上る土煙と白い蒸気。


 一瞬、視界が完全に遮られる。


 やがて煙が晴れると――そこには、昨日と同じ光景。


 淡く光る岩壁の奥に、ぽっかりと口を開けた秘密の通路が現れた。


「……よし」


 俺は小さく拳を握る。

 開通おめでとうございます。


 メタルスライムいたらいいなあ……と思いながら、開いた通路に踏み込んだ。


 通路の中には、昨日よりスライムがたくさんいた。

 攻撃を仕掛けてくる感じじゃないけど、あんまり多いと怖いよね。

 この辺のスライムは間違いなくレベル5だし。


 俺は手前のスライムからスチールを当てていく。

 反撃を受けないように距離を取りながら、手慣れた作業を繰り返す。

 

 1匹づつ確実にすべてを奪った。


 開いた通路全域のスライム全て(53匹もいたよ)を倒したが、残念ながらメタルスライムはいなかった。


 メタルスライムはレアなスライムだから、ある意味想定通りだけどね。


 時間も、そろそろいい頃合いだ。

 通路の奥から引き返し、俺は入り口を目指して走り出した。

 魔石とスライムゼリー53個づつだから、当面の手持ちくらいは稼げてるはず。


 入り口の坂を駆け上り、湿ったダンジョンの匂いから、コンクリートと人の気配のする現実の空気へ。


 ロッカールームでリュックに魔石とスライムゼリーを詰め込み、クロークで、いつものお姉さんの前に袋を置いた。


「お願いします」


 お姉さんは慣れた手つきで数を確認していく。

 カチ、カチ、と計算機の音が小さく響く。


「……はい、こちらで三万千八百円になります」


 今日一日で稼いだ金としては、十分だぜ。


「現金でいただけますか?」


 そう告げると、お姉さんは小さく頷いた。


「分かりました。こちらになります」


 手渡された現金をポケットにしまうふりをしながら、スライムの胃袋にしまう。


 三万六千円あれば、当面の生活には事足りる。

 俺は何事もなかった顔でクロークを後にした。


 探索者ビルの外に出ると、空は夕方の色に染まり始めていた。

 ビルの影が長く伸び、行き交う人々の足取りもどこかゆっくりだ。

 時刻は6時くらいだろうか?

 時計かスマホがあったらいいんだけど、俺は買ってもらっていない。

 かーちゃんに無理はさせられなかったから、欲しいとも言ってないし。

 だから時間が分からない。

 頼りにしてるのは腹時計だ。


 池袋探索者ビル前バス停からバスに乗って帰る。


 家に着いても、電気は消えたままだ。

 やっぱり、かーちゃんは帰っていない。

 もう帰って来ないのだとあきらめる。


 久しぶりに道造さんに会いたくなった。

 きっと今頃は、パチンコをやってるだろう。


 淋しいって訳じゃないよ。


 淋しいからってわけじゃあないけど、今回の件を相談できるのって、道造さんしか思いつかないんだ。


 今の状況を、大人の、しかも他人の冷静で客観的な評価っていうか、判断を仰ぎたい?


「おまえは、かーちゃんに捨てられたんだよ!」


 そう言ってもらえれば、たぶん心のもやもやがすっきりすると思えるんだよね。

 

 俺は、家を出てパチンコ屋に向かった。



 

 


 


 






 


 


 

 


 



 


 


 

第37話時

 赤嶺天心 ヒューマン 14歳 レベル4

 職業    怪盗紳士

 HP    11(+3611)

 MP    0 (+3380)

 力     11

 防御外皮  11(+1125)

 知力    10 (+3375)

 速さ    11(+1118)

 器用さ   15

 スキル   スチール(ユニーク)レベル4

       メタル化  レベル1

 スライムの胃袋(3203)  レベル3

 消化液(1950) レベル3     

 魔法    スライムバレット(591) レベル2

 装備    なし


 アイテム  リュックサック 

 金 三万六千円

 口座 千四十七万三千三百円

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― 新着の感想 ―
主人公が少し稼ぐのができたから母親に捨てられたのかーなんとなく家にいなかった時かそうかなーっておもってたけど
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