↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝40万PV達成 『親ガチャ失敗・俺の親、泥棒ですが何か!』 怪盗紳士は『スチール』極めて成り上がる。  作者: 米糠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
229/230

第228話 久しぶりの登校


 朝が来て、久しぶりに学校に行く。

 1週間ぶりの学校は、なんでか怖いなあ。


 靴箱の中は、やっぱり悪口の書かれた紙でぎっしり。

 机は落書きが増えたかな?

 もはや模様になっちゃってるわ。


 備え付けられたパソコンは、さすがに正常作動――外見にも破損はない。


 周りが俺を見て、何を言っているのか......ざわざわとうるさい。


 もうすぐ田淵が来る頃だ。


 平田、横山、倉田の3人が椅子に座った俺を囲んだ。


「久しぶりだな。赤嶺!」


 なんだよ――朝から、いきなりかい?


「もう来ないと思ってたのによお!」


 んなわけないだろう――落第するわ。


「そろそろこの前の校外模試の結果が発表されるらしいじゃないか。

 嘘八百がばれるから、ずっとこれなかったんだろう?」


 ......へえ、この前の校外模試の結果が発表されるのか。

 満点取れてるかな?


「1週間も休みやがって。来年も中坊やってりよ」


 やなこった。

 どうやら田淵は、俺が公休だったということをクラスのみんなに言ってはいないようだな。

 ――てことは、俺が特殊探索者だということはばれていないってことだよな。


 田淵、グッジョブ!


「なんで、また学校に出てくんだよ。もう二度とこなけりゃいいのによ」

「財布を盗むために来たんじゃねーの?」

「安心して体育の授業とか、受けらんねーぜ」


 勝手に言ってろ。

 俺は3人を無視する。


「てめー! 黙ってんじゃねーよ」

 横山が俺の襟首を掴んできた。


 あ、......横山、ギブス取れたんだね。


「殴って、また怪我をするなよ。俺は知らないからな」


「て、てめー!」

 横山は拳を振り上げて、そこで止めた。


「..........」

 俺は、横山を冷ややかな目で見つめた。


 やってもいいけど、怪我をするのはお前だぜ。


 横山は拳を震わせた後で、静かにそれを下ろした。


 ガラリと教室の引き戸の開く音。


 田淵のお出ましだ。


 3人が何事もなかったかのように静かに自分の席に戻って行った。


 周りの生徒の視線がうるさい。


 田淵が教室に入ってくる。


「みんな、おはよう。今日はこの前の校外模試の結果が発表されたから、掲示板をチェックしておくようにな」


 田淵は教室を見回して、俺に気付くとさらに続けた。


「赤嶺。今日は出てきたのか。心配してたぞ?」


 .....?!


 田淵、俺が公休だったのを知らないの?

 それじゃあ、俺、公休になってないんじゃないの?

 こいつは田淵に確認をする必要があるな。


 俺が驚いた顔で田淵を見つめると、彼は俺を見て思いっきりの笑顔になった。


「この前の校外模試、驚いたことにこのクラスから全国1位が出た!

 5教科満点。

 他にも500点満点が2人いたようだから1位が3人いるんだがな」


 教室がざわめく。


「赤嶺! おまえだよ」


 田淵が顎を動かし、俺を指した。

 視線が集まる。


 まあ、満点が取れてるかも.....とは思っていたけどね。

 ――ちょっと悪目立ちしちゃったかな。


 でも、これで松本先生のカンニング幇助疑惑は晴れるんじゃねーの。


「赤嶺! おまえ突然勉強ができるようになって、どういうことだ?

 俺も信じられないよ。

 どうしたら、突然そんなにできるようになれるのか、みんなにも教えてやってくれ」


「それは、今まで勉強をしてなかった俺に、松本先生が勉強をさせたからですよ。

 教科書、読んだ事が無かったけど、読んだらテストなんて簡単だったってだけです。

 みんなも教科書を読んだ方がいいんじゃないですか?

 あ.....後、松本先生は、俺に教科書ガイドを読ませましたね」


「それだけか?」

 田淵が驚いた表情で俺を見つめる。


「はい。皆もやればできると思います」


 ――って、ちっとも思ってないけどね。


「そうか。松本先生もそんなことを言ってたな......」


 俺が今まで勉強したことがなかったってことでしょ。

 教科書を読めば、みんなできる......の方じゃないよね。


「お前が初めて勉強したら、頭が良かった......みたいなことをな」


 確かに松本先生、驚いていたもんな。


「この前の校外模試で、カンニングによる500点満点は無理だからな。

 テストと一緒に送られてきていた答えに間違いがあって、それを移しても満点は取れない。

 だから、赤嶺は不正を働いてはいないってことだ。

 この前の試験もな」


 そうそう。

 実力、実力。


「みんなも赤嶺を見習って頑張ってくれ。みんなが満点を取れるとは思わんがな......」


 そうそう。

 取れるとは思わん。


「それから、赤嶺のカンニング疑惑はこれで晴れたってことだ。

 今や赤嶺にはそれだけの実力がある。

 不毛な中傷は、やめるように」


 教室中に、嫌な空気が流れる。


 そうそう。

 やめるように。


「松本先生への疑惑も、これではれたと思いたいな」


 はれたと思いたい――てか、俺ができるのはこのくらいまでだ。

 他人のやっかみほど醜いものはない。

 

 かわいそうな松本先生――一生懸命勉強を教えてくれただけなのにな。


「それからな、運動会も頑張れよ。

 玉入れ、綱引き、100メートル走、障害物走、騎馬戦、クラス対抗リレー。

 種目は多いから休む暇がないぞ。

 勉強だけでなく、運動も頑張ってくれ」


 田淵が皆を見回した。


 出欠を取り田淵が出ていくと、俺はすぐに後を追った。


「先生。俺は今週公休だったはずなんですけど?」


「ああ、赤嶺か。

 探索者協会から連絡は来ていたな。

 あれ、何かの間違いじゃなかったのか?

 中学3年が探索者をしてるっておかしいだろう?

 それも特殊探索者だなんて」


「いえ。

 俺、特殊探索者をやってるんで、先週は指名依頼で5日間ダンジョンに潜っていました。

 だから公休になるはずなんですよね」


「本当だったのか?

 まさか、赤嶺が本当に特殊探索者だったとはな。

 中学生に探索者をやらせるなんて、ちょっと問題だな。

 義務教育をなんだと思っているんだ?」


 確かにそうかもしれないけれど、俺も働けないと困るんだよね。

 そんなこと言わないで欲しいわ。

 それから、ちゃんと公休にしてもらわないと困る。


「ちゃんと公休になるんですよね。

 なってもらわないと困るんですけど」


「今のところ、欠席扱いになっていたからな。

 変更しておかなかったら留年しそうだーーこりゃ、早急に訂正しておかなくちゃ」


 ......おいおい、頼むぜ。


「いつから探索者なんて始めたんだ?」


「7月からですね」


「どうしてそんなことをしようと思ったんだ?」


 田淵は胸の前で両腕を組み、尋問でもしているかのような態勢だ。


「高校に行くつもりがなかったんで、中卒でなれそうな仕事を探したら、年齢制限がなかったから、手に職をつけるのは早いほうが良いかなって――」


「理解できないこともないな」


 ありがとさん。


「だが、全国1位が、進学しないとはな。

 良い高校に入れるぞ」


 まあ、入れるだろうな――だが、それがどうした。

 探索者にも、プロのサッカー選手にも、良い高校に入ることは意味がないんじゃないだろうか?


 それこそ松本先生の言う通り、高卒認定試験をパスしておいた方が、肩書にもなる。


「高校に行っても、探索時間が減るだけなんで、収入が減るだけだと思います。探索者に学歴は必要ないので」


 高校に行かなくても世間の目以外は、問題はない。


「もったいない......」

 田淵が呟く。


 ......何が?


 稼ぎが減る方がもったいないわ。


 この田淵という先生は、頭が固いものなのかもしれない。

 高校に行くこと、そして大学に行くことが正義であり、良いことだと信じているみたいだ。


「分かった。で、赤嶺、今日も早引きをしたいのか?」


 考えてもいなかったが、この際早引きをして、探索でもしようかな。


「はい。お願いします」


「分かった。先週は公休、今日は早引きと記録しておく」


「よろしくお願いします」


 俺は、さっそく学校を出ることにした。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。