第200話 見識眼は使えるぜ
翌朝、朝食に女子はバナナ、俺はカロリーブロックとバナナを食べ、奥地に向かった。
俺は見識眼で、周りにいる敵を見ることができることを知った。
今はサンダーストームサイクロプスを相手より先に見つける自信がある。
見識眼は、気配察知や再生力のような常時発動しているパッシブスキルではなく、見ようとしなければ見ることができないアクティブスキルだ。
だが、気配察知より、より遠くのものまで見ることができるらしく、きちんと使えば先制攻撃を許すことはないだろう。
サイクロプスレベル5のゾーンまで討伐しながら進んで来ると、俺はサンダーストームサイクロプスに対する警戒を強めた。
まだサンダーストームサイクロプスの姿は見えないが、いつ発見しても不思議ではない。
「そろそろ、サンダーストームサイクロプスのテリトリーに近付いてきましたよ」
「赤嶺君、索敵は十分注意してね」
「了解です。この辺りで引き返しておきますか?」
「もう少しサイクロプスレベル5と戦いたいわね」
沙織さんは、もう少し奥に行っても大丈夫だと判断したのか?
「サイクロプスレベル5くらいじゃないと、相手として弱すぎだわ」
綾華は、バトルジャンキー状態だな。
俺が先頭に立って、ヘイトを集めているおかげで、綾華と沙織さんにはダメージがない。
確かに今までの戦いで、綾華がそう感じてしまうのも頷けないことはない。
俺も再生力のおかげで完全状態のままである。
もう少し戦っても、何の問題もないのは確かだ。
もし、サンダーストームサイクロプスと戦うことになったとしても、先制攻撃を回避できる自信はある。
戦う上では死角なしという感じか。
「今のところ、近くにサンダーストームサイクロプスはいないと思います」
さほど離れていないところに、サイクロプスレベル5はたくさん見つけているので、接敵まで奥に進む距離はたいしたことはない。
「お昼を食べてから、この辺のサイクロプスレベル5を倒して回りましょう」
「大丈夫なの。レベル5は周りにたくさんいるみたいだけど」
沙織さんが俺に確認してきた。
「サイクロプスレベル5なら、近づいてきてからでも、スキル1発で、余裕で倒せます」
サイクロプスレベル5なら20連スチールで1撃だ。
軽く沙織さんに答える。
「じゃあ、お昼にしましょうか」
「了解です!」
「まさか、ここでお昼にするとは思わなかったわ。天心君って剛毅よね」
俺はテーブルを出し、卓上コンロを出して湯煎を始めた。
「サラダもここに出しておくよ。参鶏湯風粥、蟹雑炊、鯛雑炊の3種類から好きなのを選んでください」
「沙織さんから選んでください」
「いいわよ。綾華ちゃんから選んで」
「じゃあ私は、参鶏湯風粥」
「私は、鯛雑炊にしておくわ」
「俺は、蟹雑炊ってことですね」
3人がそれぞれの味を堪能する。
「美味しいわー」
「鯛の旨味がよく出てる」
「…………」
カニを食べるとなぜか黙っちゃうんだよなー。
上手い具合にサイクロプスレベル5が寄って来ない。
気を使って待ってくれてるのかな。
昼飯を食べ終わると討伐訓練再開。
気配察知と見識眼で周囲の状況を再確認する。
サイクロプスレベル5はたくさん見つかっているが、サンダーストームサイクロプスは見当たらなかった。
綾華と沙織さんとアイコンタクトを取り、互いに頷く。
俺が先頭に立って歩き始めた。
進行方向に見識眼を向け、サンダーストームサイクロプスが見えないことを確認しながら一番近いサイクロプスレベル5に狙いを定めた。
「行くよ!」
一声かけて走り出す。
綾華に合わせたスピードだが、彼女の速さも1200台と以前よりかなり速い。
沙織さんもドローンを飛ばしていないのでぴったりと付いてきている。
サイクロプスレベル5がトルネードカッターを放ってきたが、俺がスライムバレットで打ち消した。
正面から大剣を叩きつけると、サイクロプスレベル5は鋼鉄の戦棍で受け止めた。
だがこれは予定通りだ。
左右に綾華と沙織さんが回り込み、攻撃を加える。
サイクロプスに左右の仲間を攻撃させないよ。
俺はサイクロプスのヘイトを取り続けるために大剣を振り続けた。
サイクロプスは俺の攻撃を受け止めるので精いっぱいだ。
左右から綾華と沙織さんの攻撃が降り注ぎ、サイクロプスは煙を上げて魔石に変わった。
「やったわ。天心君、ダメージは?」
「まったくない」
「さすがね」
すぐさま周りの様子を探る。
分割思考で戦闘中も見識眼を使っていたが、全力20人分で全方向にサンダーストームサイクロプスが見えないことを確認した。
大丈夫。
サンダーストームサイクロプスの見識眼より、俺の見識眼の方が性能はいいはずだから、俺が全力で見ている限り、先に発見できるはずだ。
奇襲先制攻撃を受ける可能性はない。
次のサイクロプスレベル5に向かって進む。
今度の相手は右方向にいる。
俺が右方向に歩き出すと綾華と沙織さんが後ろに続いた。
「行くよ!」
サイクロプスがこちらに気付いた姿を見識眼で見た俺は、二人に合図をして走り出す。
正面から来るトルネードカッターをスライムバレットで打消すと正面から切りかかった。
もうお決まりのパターンだ。
左右に回り込んだ綾華と沙織さんの集中攻撃で、サイクロプスが魔石に変わった。
俺は、すぐさま周りの様子を探る。
少しの油断が危機を招く。
ここはそういう危険地帯だ。
視界の端にサンダーストームサイクロプスの姿をとらえた。
やつはまだ、こちらに気付いた様子はない。
「サンダーストームサイクロプスを発見しました。まだこっちに気付いてません。気付かれる前に離れましょう」
「分かったわ」
俺たちは走ってその場を離れる。
視界の端からサンダーストームサイクロプスの姿が消えるまで、こちらに気付いた様子はなかった。
サンダーストームサイクロプスから離れる方向にもサイクロプスはいる。
俺は、そのサイクロプスに狙いを定めた。
「この方向にサイクロプスがいます。倒しましょう」
「了解!」
「分かったわ!」
前方から近づくトルネードカッターを打ち消し、いつものように正面から大剣を叩き込んだ。
左右に綾華と沙織さんが回り込み、3方向から袋叩きにするとサイクロプスは逃げることもできず、煙を上げて魔石に変わった。
見識眼で安全を確認する。
よしよし、サンダーストームサイクロプスの姿はないぜ。
「この調子で続けますよ」
「了解!」
「分かったわ!」
それからしばらくサイクロプスレベル5を狩り続け、サンダーストームサイクロプスの姿を確認すると、逆方向に距離を取った。
そうすることでサンダーストームサイクロプスの奇襲を受けることなく狩りを続けることができた。
見識眼――使えるぜ!
明日は、帰るだけのつもりなので、遅くまで狩りを続けた。
遅くまでと言っても、天井の光輝石が輝いているのでダンジョン内で日が暮れるということはない。
一面に広がる草原は、ただただ緑に輝くだけだ。
その後、野営するために安全な昨晩の野営地まで戻ってくると、晩飯は残ったレトルト食品とサラダを食べた。
交代で睡眠を取り、朝食にバナナやカロリーブロックを食べると地上を目指した。
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