第194話 スケルトンナイトゴールド
朝が来て、とーちゃんを回収し100万置いて学校に行く。
教室ではまた平田、横山、倉田の3人に囲まれたが、口論で終わる。
気分は最悪だ。
早引きしてダンジョンに潜ることにした。
気配察知を強化するために第2階層でスケルトンを狩りまくった。
3周目、俺はおかしなスケルトンに出会った。
やった! スケルトンの上位種スケルトンナイトじゃん。
これで大剣とフルプレートアーマーゲットだぜ。
一見スケルトンナイトのように見えたが何かが違う。
よく見るとフルプレートアーマーからのぞく骸骨が金色に輝いていた。
見識眼で調べてみる。
スケルトンナイトゴールド レベル1
HP450
MP0
力700
防御外皮450
知力450
速さ500
器用さ450
気配察知300
ミスリルの大剣
ミスリルのフルプレートアーマー
スケルトンとしては強いけど、20連スチール1発で倒せるな。
俺は迷わず20連スチールを発動した。
HP450をスチールしました。
力700をスチールしました。
防御外皮450をスチールしました。
知力450をスチールしました。
速さ500をスチールしました。
器用さ450をスチールしました。
気配察知300をスチールしました。
ミスリルの大剣をスチールしました。
ミスリルのフルプレートアーマーをスチールしました。
スケルトンナイトゴールドが魔石に変わる。
脳内にメッセージが響く。
レベルが12に上がりました。
永い間上がっていなかったから、そろそろ上がっても不思議はない。
ステータスボードを確認すると、各能力値が1ずつ上がっていた。
レベルアップしても1ずつしか上がらないのはししょぼい
俺はスチールでがっつり上がるからそう感じるのだろうが、他の人ならすごく喜ぶところだろう。
贅沢、贅沢。
その後も俺は第二階層を午後8時まで周回した。
そしてダンジョンを出るとパーラで夕食を取る。
ラ〇ンに綾華からメッセージが入っていた。
木曜の放課後に買い出しに行こうというのだ。
これは、以前に約束していたことだから、了解と伝える。
いつものように池袋西探索者ビルで待ち合わせだ。
和風ハンバーグ定食を食べていると、3人組が入ってきた。
「天心じゃないか。この前は世話になったな!」
俺に気づいた梶谷猛が腕を上げる。
田畑康太が駆け寄ってきた。
「今日の探索は終わりなのか?」
「はい。今日は晩飯を食ったら帰るつもりです」
梶谷猛と金城守もそばに来た。
「相席して良いか?」
「どうぞどうぞ」
3人が席につき、ウェイトレスが注文を取りに来た。
「俺、デミグラハンバーグ定食」
「俺も」
「俺は、和風ハンバーグ定食」
「注文は以上ですか? 注文を繰り返します。デミグラハンバーグ定食2つ、和風ハンバーグ定食1つ、以上ですか?」
三人が頷き、ウェイトレスが去っていく。
「今日は第何階層を探索してた?」
「俺は第二階層でスケルトンを狩っていました」
「石を投げてか? 大剣でか?」
どっちも違う。
でもスチールでとは言いづらい。
「まあ、適当に」
「そうか。天心なら第3階層だって行けそうだがな。1対多は厳しいか?」
実際はそんなことはないが、笑ってごまかしておく。
「俺たちも、あれから第3階層で地道にやってるんだぜ。オークを相手にするには、もう少し自力と装備を上げなきゃな」
「装備のレベルを上げるには、かなりの金をためなくっちゃですね」
俺の指摘にリーダーの梶谷猛が苦笑いをして答えた。
「そうなんだ。ゴブリンも侮れねーところがあるし、なかなか金はたまらねーし、ちょっと壁にぶつかっている感じだぜ」
その言葉に金城守が無言で頷く。
「なんか、サクッと儲かるやり方がないもんかね?」
田畑康太が苦笑した。
そんないいやり方はないよ。
「第2階層のスケルトンも第3階層のゴブリンも、奥に行くほど強くなりますけど、魔石の買い取り価格は変わらないし、ドロップ品の買い取り価格も変わらないので、余裕が無い時は浅いところで戦った方がいいですね」
「そうか。今まで最奥まで行ったことはないけれど、なんとなく奥に行くほど相手が強くなっているようには感じていた。やっぱりそうだったんだな」
梶谷猛がリーダーらしい反応をし、田畑康太は虫のいいことを言う。
「いや、俺はそういうことが知りたいわけじゃねーんだよな。裏技みたいないいやり方……宝箱のありかとか知らねーか?」
知ってたら、もう宝箱を開けてるよ。
「俺、今まで宝箱って見たことないんで」
「だよなー」
「ダンジョン産のアイテムって、ドロップ品以外は、宝箱からでてくるものなんですか?」
「知らねー」
宝箱って存在するのかね?
後で、綾華か沙織さんに聞いてみよう。
「地道にやるしかないんじゃないですか?
奥の方では時々変わった魔物が出ることがあるみたいですけど、そういうやつは強いみたいですし」
スケルトンナイトゴールドに遭遇したけど、ただのスケルトンよりメチャ強かったわ。
3人組が出会っても、絶対討伐できないレベル。
「でもよー……地道にやってても、なかなか強くなれねーんだ」
レベルを上げるには、相当な数の魔物を倒す必要がある。
俺みたいに瞬殺にできなければ、数は倒せないし、ダメージを負ってたら、1日に何度も戦えない。
綾華みたいに金があれば、バフ付きの装備を買って一気に強くなれるけど、金もそんなにたまらないしね。
「弱い魔物をたくさん狩って、レベルを上げるのが近道かもしれないですね」
スライムならたくさん倒せるんじゃないかな。
「スライムも、核を突くのが難しいし、やっぱり何匹も一緒に出るゴブリンを倒すのが効率がいいか?」
梶谷猛が真面目な顔でそう言うと、田畑康太は不満そうに答える。
「じゃあ、今やってるのと変わんねーっていうか、今やってることを続けるしかねーのか」
「…………」
金城守が気落ちしたように俯いた。
金さえあれば、綾華のように一気にステータスを上げるバフ付き装備を装着できる。
何とかしてやりたいのだが、ただ金をあげたり、貸してやるのではよくない気がする。
大金を稼ぐ手伝いをしてやりたいのだが、何かいい方法はないだろうか。
第1階層でメタルスライムを狩って、プラチナの塊を手に入れられれば良いのだが、壁を崩しても見つかるとは限らないし、3人組ではダメージを与えられずに逃げられてしまうだろう。
壁を崩す前に気配察知でメタルスライムがいるかどうかは分かるだろうが、倒して、プラチナの塊を手に入れるには、俺のスチールが必要だ。
一緒に戦い、上手くごまかして、ドロップしたと見せかけるしかないだろう。
「第1階層の隠しダンジョンで、メタルスライムが現れるって知ってますか?」
「なんだそれ! あのメタルスライムか?」
「康太、あのメタルスライムって何なんだ?」
「猛ちゃんは、本当にゲームのことを知らねーなあ。大量の経験値と大金を落としていくドラ〇エの名物モンスターじゃねーか」
「あの――第1階層で出るメタルスライムはプラチナの塊をドロップするらしいです。買い取り額は1000万円くらいだとか」
「「「1000万円!」」」
俺の言葉に3人が大声を上げた。
「メタルスライムがいるかどうかは運次第ですが、案内しましょうか?」
「天心。お前、隠しダンジョンがどこにあるか知ってるのかよ!」
「知ってますよ。明日の朝、エントランスホールで待ち合わせでいいですか?」
明後日は綾華とお買い物の予定が入っているから、空いているのは明日しかない。
「「「いいぞ! 」」」
いい返事だ。
3人組が、俺の話に期待をかけているのがよく分かるぜ。
なんとかしてやりたいから、明日も学校を休むとしよう。




