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少年法の壁スピンオフ  作者: リンダ


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あとがきにかえて

あとがきにかえて


人は、自分の過去を書き換えることはできない。


あの日言った言葉。


あの日見て見ぬふりをしたこと。


あの日傷つけた誰か。


それらは、なかったことにはならない。


神谷莉央たちも、最初から怪物だったわけではない。


家庭の不和。


離婚問題。


借金。


孤独。


不安。


怒り。


子どもだった彼らにも、苦しみはあった。


だが、その苦しみは、誰かを傷つけていい理由にはならなかった。


理人や美羽もまた苦しんでいた。


それでも、二人は飯山で自分と向き合い続けた。


光もまた、そんな二人を支えながら、自分自身を鍛え続けた。


同じ苦しみを抱えていても。


その先で誰を傷つけるのか。


誰を支えるのか。


その選択によって、人生は大きく分かれていく。


莉央たちは、自分の過去を隠した。


獅童も。


こころも。


謝らなかった。


向き合わなかった。


話さなかった。


だから、その綻びは何十年も残り続けた。


そしてある日。


検索結果という形で。


子どもの疑問という形で。


配偶者の失望という形で。


静かに戻ってきた。


過去は、消えていなかった。


ただ、待っていただけだった。


その時は得をしたように見えることがある。


その時は逃げ切れたように見えることがある。


その時は誰にも知られていないように見えることがある。


けれど。


人生は、その瞬間だけでは終わらない。


五年後。


十年後。


三十年後。


五十年後。


自分が蒔いたものは、いつかどこかで芽を出す。


それは必ずしも同じ形ではない。


学校で傷つけた相手への報いが、学校で返ってくるとは限らない。


家族という形で返ってくるかもしれない。


信用という形で返ってくるかもしれない。


孤独という形で返ってくるかもしれない。


だからこそ問われる。


数年後の自分に、何を残すのか。


数十年後の自分に、何を託すのか。


誰かを泣かせた記憶か。


誰かを支えた記憶か。


誰かを見下した過去か。


誰かと共に歩いた時間か。


過去は変えられない。


だが、今この瞬間から未来に残すものは選べる。


それが、この物語が最後に残した問いである。


数年後。


数十年後。


あなたは、自分の人生から何を受け取るだろうか。





このあとはスピンオフ作品で莉央の娘、葵から見た物語が始まる.

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