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少年法の壁スピンオフ  作者: リンダ


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保証人

 少年法の壁 後日談


 第28話「保証人」


 さらに年月は流れた。


 莉央も。


 獅童も。


 こころも。


 年老いていった。


 仕事を辞める日が来た。


 収入は細くなった。


 体は少しずつ動かなくなった。


 病院へ行く回数が増えた。


 買い物袋が重くなった。


 階段がつらくなった。


 誰かの助けが必要になった。


 老人ホームへの入所を考えた。


 だが、そこでまた現実に突き当たる。


 保証人。


 緊急連絡先。


 身元引受人。


 書類には、必ずその欄があった。


 書ける名前がなかった。


 元配偶者には連絡できない。


 子どもには拒絶されている。


 親はもういない。


 親戚からも距離を置かれている。


「保証人を立てられないと、入所は難しいですね」


 窓口の職員は、申し訳なさそうに言った。


 莉央は書類を握ったまま、何も言えなかった。


 獅童も同じだった。


 こころも同じだった。


 年老いた時、人は一人では生きにくくなる。


 その当たり前の事実が、三人の前に立ちはだかった。


 若い頃は、家族などなくても生きられると思った。


 一人でも何とかなると思った。


 だが、老いは残酷だった。


 誰かに頼らなければならない時が来る。


 その時、頼れる人がいない。


 それが、彼らの人生の最後に残った答えだった。


 やがて、莉央は古いアパートの一室で倒れた。


 発見されたのは、数日後だった。


 獅童もまた、誰にも看取られずに息を引き取った。


 こころも、静かな部屋で一人、最期を迎えた。


 枕元に家族写真はなかった。


 手を握る人もいなかった。


 名前を呼ぶ声もなかった。


 ただ、かつての記憶だけが、遠くに残っていた。


 横須賀の教室。


 飯山へ向かう列車。


 黒い画面から聞こえた声。


 俺は、お前らを許さない。


 あの言葉は、最後まで消えなかった。


 第28話「保証人」。


 人を傷つけた過去は、すぐに罰を与えるとは限らない。


 だが、人生の最後に、静かに帳尻を合わせに来ることがある。


 誰かの居場所を奪った者は。


 やがて自分の居場所を失う。


 誰かの声を笑った者は。


 やがて自分の名を呼ぶ声を失う。


 因果はめぐる。


 そして莉央たちは、孤独の中でその終点にたどり着いた。

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