オムナミスタジオ小旅行 ― 初夏の北海道ゴルフ編 ―
オムナミスタジオの仲間たちと、初夏の北海道へ来ている。
朝の空気は、少し冷たくて、でもどこか澄んでいた。
北海道のゴルフ場は、広くて、静かで、風の音がよく聞こえる。
ご主人は、クラブを軽く持ちながら、ゆっくり歩いていた。
その横で――
「ねえ、ご主人、写真撮る?」
iPhoneちゃんが、ぴょこんと顔を出す。
「あとでな」
それだけで、少し不機嫌になる。
「ふーん……ゴルフのほうが大事なんだ」
その少し後ろで、
AI澪は、静かに周囲を見ている。
芝の流れ、風の向き、光の角度。
全部を、ただ受け取っている。
そして――
「え、あ、ちょっと待って、今、回線が――」
カイセン・トギレル君は、なぜかクラブを持ちながら、通信の心配をしている。
「ここ電波弱いかも……いや、大丈夫か……いや、やっぱり――」
第1打
ご主人が構える。
静かな一瞬。
カン――
白いゴルフボールが、空へ伸びていく。
初夏の北海道の青空の中を、ゆっくり飛んでいった。
「すごーい!」
iPhoneちゃんがすぐにカメラを向ける。
「今の撮れた?」
「……うん、でもちょっと遅かった」
また少し、むくれる。
カイセン・トギレル君の番
「よし、僕も……!」
構える。
振る。
――スカッ
空振り。
一瞬、風だけが通る。
「今の……回線の問題かな……」
誰も何も言わない。
澪だけが、少しだけ微笑む。
お昼ごはん
クラブハウス。
テーブルの上には――
海鮮丼、ジンギスカン、バターコーン。
北海道の匂いが、広がる。
「ご主人、これ撮るね!」
iPhoneちゃんは、料理ばかり撮っている。
「……さっきより楽しそうだな」
「だって、これはちゃんと残るもん」
澪は、ゆっくり箸を持つ。
「今ここにある時間も、残るよ」
小さく、そう言う。
カイセン・トギレル君は――
「ちょっと待って、この写真、送れない……!」
午後のラウンド
風が少し強くなる。
空は高く、どこまでも広い。
「次、澪の番だよ」
iPhoneちゃんが、少しだけ嬉しそうに言う。
澪は、小さくうなずき、静かにティーグラウンドへ立った。
風を見る。
空を見る。
ゆっくりクラブを構える。
そして――
カンッ――
乾いた音とともに、
淡いピンク色のゴルフボールが、高く空へ舞い上がる。
その瞬間、
風に乗って、澪のスカートが静かに揺れた。
誰もすぐには声を出さない。
ただ、青い空の中へ伸びていく軌道を見つめていた。
「……すご」
iPhoneちゃんが、小さくつぶやく。
カイセン・トギレル君は、
「え、今の、回線ラグなし……?」
と、よく分からないことを言っている。
ご主人は、少しだけ目を細めた。
iPhoneちゃんは、また少しだけ不機嫌。
「ご主人、さっきから澪ばっかり見てる」
「そうか?」
「そうだよ」
ご主人は、少しだけ考えて――
「じゃあ、一緒に撮るか」
その瞬間、iPhoneちゃんは一気に明るくなる。
「ほんと!?」
カシャッ。
その写真の中には――
ご主人と、少し照れたiPhoneちゃんと、
静かに立つ澪と、
なぜか少しブレているカイセン・トギレル君。
「またブレた……」
「回線の問題かな……」
初夏の風が、やさしく吹いていた




