私は父になりました。
キリがいいので短めです。
「へぇ〜、肩書きだけ凄いですね」
「えっ!そこ驚くところでしょ!」
「だって、ねぇ?」
「ねぇ〜」
「そんなぁ」
世界で数人しか居ないらしいけど、どれだけ凄いかよくわかってないんだよね。ただ転生しただけの一般人が詳しい筈がない。大学入学前の勉強した記憶曖昧なので仕方ない。
「そろそろ目的を教えて貰ってもいいんじゃないんですか〜」
「……さっき断った癖に」
「もう巻き込まれたので」
じっとした目で見られてるけども、知らないね。それにしてもミケと呼ばれた子は落ち着いている。今は呑気に空を見てる。
「ジェラート食べたい」
お腹空いてるだけか。……この状況で?
「場所移してからにしようか」
ジェラート片手に人気の全くない公園で話を聞いた。
「ーーーと、言う訳」
「なるほど」
「ん?」
彼女から聞いた話によると、このミケという子は世界でも珍しいスキルを持っているそうで、イタリアを本拠地に持つマフィアが狙っていて、それに加えて『白一教』などの世界的テロ組織にも狙われているらしい。どんなスキルかは本人から聞いてとはぐらかされたが、
一体どんだけ凄いスキルを持ってるのか……、世界的に狙われる幼女とか聞いた事ない。
「そんな訳で彼女を預かって欲しいのさ。何なら本当の娘にしてくれてもいいよ」
「いいぞ」
「いいんだ……いや、よくないでしょ」
「日本で寿司食べたい」
「観光かな?」
「心配は無用さ!私以外にも協力者がいて、彼女を狙う者たちから守ってくれる、筈!」
「おばさんかっこいい」
「誰がおばさんじゃあ!!」
「シワ増えるよ」
荒ぶる獣を落ち着かせつつ席に付かせた。近所のクソガキみたいな煽りどこで覚えたんだ?イタリアでもこんなクソガキいるのか………?
「それで引き受けてくれるかい?」
気分としては流されそうになってはいるが、こちらはまだ大学生の身。子育てとか経験したことない。命の危険もあるから、両親に預けるとか知り合いとかも難しいだろう。メリットは殆どない。
「そもそも何で私なんですか?」
一番聞きたい質問をするとファルスファリアさんは不思議な雰囲気で空を見上げた。雲一つない快晴だ。
「星が教えてくれたんだ」
「星?」
太陽が明るくて見えない星々を見えているように空を見渡す彼女は、人から外れた不気味な姿に見えた。
「私は最初に言った通り占い師さ。星々の声を聴き、未来に起こる厄災を祓ってきた」
「その星が選んだのが私だった、と?」
「そうさ」
こちらを見てニッコリと笑う彼女の顔は、美しい筈なのに底知れない寒気を感じた。
「コンソメ美味い」
「火傷しないようにね」
「了解」
予想外の出来事に巻き込まれて中途半端な料理ツアーになったが、幸い予定通りに帰る事ができた。一人の可愛いお供を連れて。結局、断れなくて彼女を引き取る事になった。マイペースでどこか天然な性格の娘ができると思えば悪いか悪くないかで言えば悪くはないだろう。
「ただーーー」
「飲む?」
「いや、飲み切っていいよ」
ーーーどうやって守るかだよね。
ファルスファリアさんの仲間が敵を倒すまで襲撃の可能性がある。ただの第四級程度が世界的な組織からどうやって彼女を庇護するのか?幹部とか来られたら勝てないよ?ここ最近無茶振りが多い気がするのだが?あれか?転生した奴の運命だ、とかか?
ただの嫌がらせだろ。転生した奴が全員主人公の器だと思うなよ?
いるかもしれない転生させた奴に唾を吐きながら、私の分のコンソメを奪ったミケの頭を撫でる。これが一番落ち着く。
「返さないよ?」
「返せない、だよ」
「そうともいう」
転生当初はフィクションみたいな展開があるのかと子ども心に期待と大人心の警戒と不安があったが、スキルとか魔道科学やらファンタジー要素があるだけで安心した数十年を過ごせた。
大人になっても「何だ転生しただけか、ラッキー」とか油断した時に怒涛のイベントラッシュとか害悪すぎるだろ!何度死にかけた事か……。
「あっ」
「どした父」
「一番大切な事忘れてた」
「ん?」
「どうやって養子登録するんだ??」
悶々とした気持ちで過ごしたフライトになった。
今更ながらこの作品『不定期』です。(完結はさせます)




