拝啓、友よ。元気ですか?
短いです。
「あの」
「この枝はジェスイ、この石はメープル」
「あの」
「この子らは兄弟」
「あのぉ」
「ん?何?」
「いつ帰れるのかな?」
「?」
占い師に案内された先には寂れた教会だった。中にいたのは小学生になったくらいの年頃の女の子が長椅子に座って遊んでいた。
「ミケ、よく待ってたね」
「ファスおひさ」
(綺麗な目をした子だな)
「この子がミケ、君に面倒を見て欲しい子だヨ!」
この人は何を依頼しているんだ?ミケと呼ばれた少女を見たが我関せずと遊んでいる。
「いや、無理ですけど」
すごく驚いた顔で占い師に見られたが、どうしてスムーズに話しが進むと思ったのか不思議だ。
「そうか!依頼ヒヨウはもちろんデるヨ!」
「受けませんけど……」
「高いよ!豪邸帰るほど出しちゃうよ!」
「受けないです」
「そ、そんな?!受けてもらわないと困るよ!!」
「足にくっつくな!折れるわ!」
縋り付くように足にしがみつかれたが、見た目に反して残念臭が凄い。そのクセにとんでもない力でホールドしてくる。あとキャラ付けだったのかあの口調。
「はっ!まさか、わ、私の体が」
「フッ」
「うぅ〜〜、受けてよ〜」
つい鼻で笑ってしまった。顔面が酷いことになってる、人としてのプライドはないのか……?
「どこの狩人が地雷に踏み込むんだ?」
「…………」
その言葉に教会が静まり返った。
「アヤシクナイヨ?」
「高額依頼金、身元不明な少女、そして怪しい依頼人。どこかの事件に巻き込まれるとしか考えられない」
「…………」
「若い狩人だからと金さえあれば受けると思ったのか?」
テロリストが不遜に蔓延っているこの世界では、こういう巻き込まれる事件が多い。重要な物のレプリカを無関係の狩人に預けて囮にしたり、誘拐の共犯者にしたりなど、悪事や駒として知らない所で利用される例は多くある。
若い狩人は特に巻き込まれ易いので国も注意を呼びかけている。
「……君しか頼めないんだ」
「知らない人に?」
「詳しく話せばいいかい?」
「言わなくていい。聞いて巻き込まれたくない」
この子が命の危険だろうがそのリスクを負えるほど強くない。その責任もない。観光中の無関係者を巻き込む方がそもそも間違っている。
「仕方ない、この方法が最善だと思ってたんだけどねぇ」
メイクの落ちた顔で真面目な表情を浮かべた占い師が立ち上がった瞬間、教会が爆発した。
スキルで少女を守った後、引き連れて外に出ると統一された白い服装で顔を隠している集団がいた。
「バレちゃったか」
「これが最善の次の方法か?」
「まさかぁ〜」
自然に横にいた占い師は冷たい顔で白い集団を見ていた。
「依頼を受けてないのに巻き込まれるなんてついてない……」
「お兄さん、どんまい」
絶対に少女が狙われている筈なのに人を宥めているとか、将来大物になるな。あと枝と石で遊ぶの辞めなさい。
マイペースな少女を片腕に集団を見ると相手もこちらに気が付いた。
「あれ、『白一教』の信者?」
「そうだね」
「うわぁ。今、世界で一番ヤバいテロリストじゃん」
その集団から一人が前に出た。他の服に比べて少し模様が多い。確か司教クラスだよな。
「失礼。そこの君少しいいかね?」
「少しな」
「君たちと話す事はないよ」
目的くらい聞こうと思ったけど、占い師が割り込みやがった。
「それは悲しい。一つだけお願いをしようとしただけなのだが」
「どうせ彼女でしょ?」
「おぉ!それは話しが早い。彼女を教祖様の所へ案内させてくれないか?招待状を彼女に送っているのだ」
演説をするように大袈裟な手振りで嬉しそうに近付いてくる。
「『燃え尽きろ』」
「おっと」
突如火の柱が噴き出したが、司教は片腕を灰に変えたが痛みを感じる様子はない。火を出した占い師の目は覚醒者の目をしていた。
「そんな反抗的では平和的には無理でしょう。残念です」
本当に悲しそうな声色をしているが、彼らを知っている者からしたら狂気しか感じない。
「ですが、よかった。貴方たちをすぐに神の元へ送り出すことができる!」
「本当に人とは思えないね」
彼らに友好的にすると実験体にされ、その後◯される。敵対しても◯される。奴等はそれを当たり前だと疑わない。仲間でさえ実験体にする狂った宗教集団だ。
「同胞よ、彼らを神の元へ届けなさい」
囲むように展開されたが、
「『朽ちよ』」
占い師の言葉で急激に老化して腐敗した。
「やはり、貴女が相手では神命に沿うには力が及ばないようですね」
他の信者に比べてゆっくりと老化していた司教も大地へと還った。
「そういえば自己紹介していなかったね」
少女の頭を撫でながら占い師は言った。
「第一級狩人のファルスファリア。一応、『火星』の称号を授かっているよ」




