ローマで休日を(2)
ヒロインとはしばらくの別れです。
「『まもなくローマ・フィウミチーノ国際空港へ到着します』」
獣人関連の依頼で稼いだお金を注ぎ込んで買った、同時翻訳機によりリスニングも発音も完璧な私に死角はない。魔道科学により、SPがつけるようなカッコイイ装置をつけるだけでリスニングだけでなく、スピーキングも本人の声そのままに相手に伝えられるという高級品だ。
数百万したのは納得の買い物でした。
短期の旅行と狩人証明書、日本パスポートを見せれば問題なくゲートを通り過ぎた。この世界でも警備の装備が物騒なのを除けば変わらない。
折角なので空港にあるカフェでティラミスを頼んでみた。ピッザとパスタ、ティラミスは定番と聞いたので迷わずに注文。コーヒーは味の良さがわからないが、酸味、苦味、甘味とかなんとか重要と書いてあった。それを意識すれば分かると踏んでカップチーノを言いたいためだけに頼んだ。
周りをチラリと見渡してみると比較的アジア系の人も多い。狩人らしき人も武器を丁寧に包装して持ち運んでいる。イタリアの店員さん美人だなぁ、とか考えながらぼんやりとしているとティラミスが運ばれてきた。
カフェでティラミスとか何気にあまり頼まないから新鮮な気持ちだ。だが、その前にカップチーノを飲もう。口に含んでみるとやはり苦味が口に広がる。しかし、数回チビチビ飲んでいると甘みや酸味なんかも感じ取れ、新しい扉が開いた感覚がした。
それでもティラミスで口直ししたけど。水を追加で注文した時は嫌な目で見られたけど私はへこたれない。
コーヒーの後は水を飲むと口の黄ばみ予防に良いと書いてあったからね。
ウェイターを呼んで会計を済ませた後、バスに乗り、ジェラートの店に直行。昼近くのこともあり、観光客やお昼時のイタリア人が多く行き交っている。
途中で神殿やらピサの斜塔が見えたがそれはまたの機会。今日はとにかく食べる事がメインだ!
テレビで見た有名なジェラートの店に入り、ココアとバニラ、オレンジとブドウを選んだ。試食とかあるらしいけどそんなの一般人がしたら迷惑な顔されるだけだし……。テレビや顔の力があれば………!
ここら辺は食べ歩きでも罰金がない公園らしいから、景色と昼間からイチャイチャするカップルを眺めながらジェラートを味わう。うん、うまいな。
ほんの数分だがなかなかオシャレな生活をしてる感覚がする!
次のピッザの店どこだっけ?とスマホで探していると、初めてスリを目撃した。
私の座っている前を通り過ぎた女性のカバンをフードを被った男が奪って行った。普通なら一応狩人なので追いかけたりするのが一般的かもしれないが、ひったくられた女性が狩人だった。
直ぐに追いつかれて腹パンでダウンした。
「いや、相手選べよ」
警察も来て騒がしくなったのでさっさと目的地に行く事にした。ベタな展開じゃないのかよ。
お昼にマルゲリータを食べたのち、折角なのでイタリアの狩人の『マーケット』に寄ることにした。依頼は受けられないけど買い物は出来るからね。あと、本場のピッザはやっぱり違うね。
イタリアの狩人は主にダンジョン化した遺跡を攻略する事が多い。偶に世界遺産がダンジョン化してニュースになる事もしばしば。大半のマーケットは宝石やら小物が多い。主婦やカップルが狩人と同じくらいいる程度にはオシャレな物ばかりだ。
私も宝石は好きなので、ダンジョンのせいで価値が下がり気味なサファイアとエメラルドを購入。価格たったの一万円相当。軽い加工はされているのにこの値段、涙が止まらない。ついでに宝石を嵌めるようのネックレスと腕輪もセットで購入。約十万円相当の買い物でした。
特殊な効果をつけると宝石も価格は前世と同じくらいに跳ね上がるが、まぁ一般人からしたら関係ない話だな。私はただの思い出購入なので『付与士』に依頼はしないです。家のコレクションに追加しておこう。
ウロウロしながら、そういえば坂目さん上位の狩人にしては『付与品』あまり装備してなかったなぁ、と思い出した。
「金はありそうだし何でだろうか?師匠のスパルタ教育の影響?」
全てを回るには首都にある『マーケット』な事もあり、二時間でも半分も回る事はできなかった。掘り出し物も特になかった、美男美女は何人も見つけれたのになぁ。
ホテルは評判の良い場所を予約しておいた。お風呂はシャワー室になっているのは物足りない点だが。
街並みを眺めながら歩いていると、見るからに怪しい占い師の格好をした女性が露天を開いていた。
そういう人もいるのか、と日本語表記の露天を通り過ぎようとした。
「キミ、ちょっとウラナイ興味あるネ」
「いや、無いです」
ちょっと驚いたが、絶対変な事に巻き込まれる。ここ最近の事を思い出して駆け出そうとした。すると、相手は慌てた様子でこちらの腕を掴んできた。
「イヤ!興味あるヨ!!」
「無いです」
「ウラナイするとイイコトあるネ!」
「怪しすぎるわ!」
「ちょっとだけチョットだケ?」
「そんな時間もない!あと力強いな?!」
がっしりと掴まれて振り解けない。あと、ブカブカのコートとフードでわからなかったがかなりの美女。いや、怪しい美女。何処かとは言わんが当たってる。美人局かぁ?
「アテテるのネ」
「さっさと離しやがれ!」
数分後、何故かヤバい占い師の前に座っていた。
「やっとツカマエたネ。このビジョに対してムハンノうとはキミカレてるネ?」
「いや、美女じゃなくて不審者だろ」
「なんとネ?!」
外見が良ければ奇行がカバーできると思うなよ……。
「まぁ、イイネ。早速占いするネ。今回は百ユーロでいいネ」
「金取るのかよ……」
「これもショウばいネ」
「何気に高いし」
「キミ狩人なのにケチだヨ」
「お前も狩人だろ」
その筋肉が見えない身体でレベルを上げた狩人に対抗する奴は一般人にいない。
「……そんなミラレるとテレるヨ」
「何言ってんだエセ中国人」
「私はウチュウ人?ね!」
言動もヤバいがサッサと終わらせて食べ歩きに戻りたいので黙る事にした。これ以上言い争うと殴りそう。
イタリアの人、服装で何となくわかりますよね。




