邂逅
「坂目さん坂目さん、これからどこにいくので?」
「田中さん田中さん、食料を買いに行くのですよ」
「サバイバルは嫌でござんす」
「異論は認めぬ」
「この!独裁者め!」
「出会って三回目でする会話ではないですね」
「それ、今言っちゃう?」
お偉いさんとの面会を終えて、基地内に併設している『マーケット』に向かっていた。
「お〜、ここのマーケットなかなか面白い品揃えしてますね」
「最前線と呼ばれてるからね。普通では見ない物も売られたりしてますよ」
『マーケット』とは何かと言われたら、狩人と商人が入り混じった市場である。品揃えも場所によって殆ど異なり、一般人でも買える物も多いため世間的に人気のある市場とされる。
こういう制限がある場所だと、掘り出し物がよく置いてあり、狩人でもマーケットマニアなんかもいるそう。
「じゃ、ここで別れて30分後に出口で会いましょう。私が保存食買ってきますから」
颯爽と去ろうとすると、高レベルによる化け物握力で腕を掴まれた。あれ〜、腕が動かないぞ〜。
「そっちで何買うつもりですか?」
「保存食を」
「そっちに見えるのはゲテモノばかりに見えますが」
魔物の舌、巨大虫の干し肉、目玉のグミの掴み取り、三獣猿の睾丸セットなどここでしか見ない食料が並んでいた。
「栄養満点って書いてあるので」
「斬り刻みますよ?」
「三獣猿とか良さそうですよ?」
「………◯すぞ?」
「すみませんでした」
「目を離すと何しでかすかわからないですね」
「そんな、褒められても……!」
「チッ、フン!」
「グベラ?!」
その後顎にジャブを喰らい引き摺られてマーケットで晒し者にされたらしい。目覚めるといつの間にか出口を通過して暫く経った場所にいた。
「それは俺のバナナ!」
「目覚めて第一声がそれとか、気は確かですか?」
「なんだ夢か」
「…………奥で人型の魔物を探しに行きますよ」
虫ケラを見るような目で見られたな心当たりがないな。全く失礼な嬢さんだ。
「……え?人型?」
「?、はい」
「初耳なんですけど」
「言ったら来ないと思いまして」
思わずイケメン面を見たが……イケメンなだけだった。
「どうしても私を亡き者にしたいんですか?」
「大丈夫大丈夫、田中さんならなんとかなりますよ」
何故だろうこの人と関わってから二度も死にかけてる気がする。その後の抗議は全て無視されて大人しくサポートに徹することにした。まだ四級なのに……!
暫くは魔物の襲撃も数回で、最前線にしては少ないらしい。少なくてトロール擬きとか出るの危険すぎる。あれ、目からビームとかアニメの見過ぎだろ。
「次は田中さんどうぞ」
彼女がそう言うと、背後から一角鹿が突進してきた。
「危ないな〜」
仕方ないので愛刀クリスマスを抜いて、相手の角を撫で斬りした。慌てた様子の一角鹿だったが学習せずに再び突進してきたので今度は少し力を入れて、相手の力を利用する形で首を落とした。
「うわっ!血飛び散りやがった!」
「田中さん刀の腕前素晴らしいですね」
想定外!みたいな失礼な顔で言われたが、褒められてるのは素直に嬉しい。
「地元の道場で習ってたので」
人生で言ってみたい31位位のセリフを言えて満足です。
「だから狩人では扱いの大変な刀を使ってるんですね」
「私のスキルは直接的な攻撃は出来ないので、攻撃が通じ易い刀を使ってます」
仕留めた一角鹿は、今回は邪魔になるので魔核と呼ばれる便利エネルギー玉を回収して後は自然に帰すことになった。……あの肉全部売れば百万するのに……。
「それでは行きます」
更に奥に進むと先程まではまだ私でも対応できた魔物も、坂目さんがスキルを使うレベルまで上がって来た。つまり、ここから第三級と第二級の境目かな。
「オーガ出ませんね」
「このままだと二級まで行ってしまうので、暫く付近を探索しましょう」
「はい」
しかし、一時間ほど探索したがオーガどころか一匹も魔物に遭遇しなかった。
「……ここで休息しましょう」
「了解」
荷物から即席の結界を張り、香りもいいジャーキーを取り出した。これ上級狩人御用達の保存食じゃないですか。ラッキー。
「高いでしょこれ?」
「あのゲテモノよりは安いですよ」
「いや〜魔道科学最高ですね!」
「……そうですね。魔力の発見によって擬似的なスキルの再現をできるようになったのは世紀の大発見です。ここ最近はスキルの使用回数も今まで本人の感覚次第だったところを、計測できる装置で視覚化される研究が進められてるそうです」
「便利な時代だね〜」
魔道科学は六年前に学会に現れた分野のこと。元々、スキルの研究をしていた研究者、多分鎌田教授が偶然魔力の存在を十数年前に見つけた事で始まったらしい。
その研究を世界が全面的にバックアップする大規模な動きによって、たった数年で飛躍的に進歩した。
それが去年の夏に魔核を利用した魔具を通した魔力運用が可能になったとか。この結界も最近売られて愛用されてます。金持ち狩人に。
「これで安心して食べーーー」
「ーーーれないですね」
ジャーキーを食べようとした瞬間、鉄より硬い結界を無視した魔物が襲って来た。坂目さんが防いでいなかったらジャーキーがお陀仏するところだった。
人、のように見えるが顔が獣の姿になっている男が立っている。
「命狙われる覚えないんですけど」
「あれは魔物です」
「スキルじゃなくて?」
「人類側では魔物としています」
「お前達が人をなっているだけだろう、人擬き」
周辺に鉄の玉を纏う男がこちらを見下す目で歩き出した。
「多分、狙いは彼だと思います」
「どのくらい強いんです?」
「あの竜の最初と同等かそれ以上です」
「うわぁ」
光の鎧に身を包んだ彼女は私の前に立ち、戦闘体制をとる。
「格の違いを教えてやる劣種の小娘」
オーガはどこへ?
※少しこれまでの内容にて、キャラの性格を上手く反映出来ていないので改良します。次回の投稿は少しだけ遅れます。




