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今日も無難に生きる  作者: 山芋
新しい世界の日常
12/28

秘境群馬


「やって来ました!群馬〜」

 

「テンション高いですね」


「本能が刺激されたんでしょう。I’m Homo sapiens!」


「基地があるのでそこ行きますよ〜」


「あ、はい」


 日本における三大未開拓地の一つ、秘境群馬。生息している魔物は最低でも第四級から、ベテランと呼ばれる第三級からのみ()()の探索が許されている。


 奥に入るには第二級のパーティしか許可が降りない、日本における最前線と呼ばれる。他の場所は地理的な問題で攻略していないが、ここは地理的には行きやすいので現在は国が精力的に取り組んでいる場所になっている。


「坂目さんはここよく行かれるんですか?」


「月に二回程度ですね。まだ、一年も来てないです」


「流石、期待の新星」


「ははは……、ありがとうございます」


 群馬に入る時にも門番はいたが、基地と言われた場所は軍事施設と謙遜ない設備を揃えていた。


「ゲームでしか見た事ないですよ」


「最前線の主要基地ですから」


 入場の手続きが終わって中に入ると一般の狩人の姿もあり、『マーケット』も設けられていた。


「今回は軍の方でお世話になりますが、通常は壁近くの場所で滞在します」


「軍からの依頼だったんですか」


「はい。知人が軍属でして、その伝手でよく依頼されるんです」


 日本軍の戦闘部隊とか全員第三級以上だから、滅多に依頼とかされないんだけどなぁ、流石第一級候補は違うな。うちの国、今の軍トップが凄いから質が年々上がってるよね。


「何となく緊張しますね〜」


 本当に?という目で見られたが軍の人と一緒に仕事とか緊張しない方がおかしいだろ。


「優しい方が多いので大丈夫ですよ」


 坂目さんは建物の入り口に立っていた軍人に慣れた様子で話した。


「貴方が坂目さんの付き添いである田中さんですね?」


「はい。そうです」


「了解しました。服部大佐の元へご案内します」


「行きましょうか」


「へい」


 建物の中に入ると一階は訓練施設や簡易的な娯楽施設があった。外から見た時は三階建てに見えたので2回が居住スペースかな。


「こちらの階段を上がり、3階正面の部屋で大佐がお待ちになっています。私は職務に戻りますので、不明点が御座いましたら近くの者に尋ねて下さい。それでは」


 階段まで案内されるとあっさり放置された。


 坂目さんについて行き、目的の部屋に入ると小規模の会議室があった。そこでは勲章を沢山付けた壮年の男性と若い女性の姿があった。


「服部大佐と真坂少尉久しぶりです」


「前回の事件以来だね。元気そうで何より」


「はい。そして彼が今回の依頼のサポートをお願いした者です」


「田中です。よろしくお願いします」


 権力を持つ者特有のさり気ない「査定してます」と感じる視線してやがる。緊張する〜。


「こちらこそよろしく」


 軽い握手をした後に今回の依頼の内容を再確認した。


「改めて私がここの総指揮官をしている服部砂賀留だ。そして彼女が私の副官を務める真坂礼家少尉だ」


「真坂と申します」


「さて、今回の依頼はここ秘境群馬の奥地、この基地から数キロ離れた場所で未確認の魔物が発見された。そこで君達に偵察または討伐をお願いしたい」


「依頼通りの内容ですね。了解しました」


「頼む。質問はあるか?」


「質問よろしいですか?」


「田中殿どうぞ」


「相手の力量に関する軍の予想をお聞きしても?」


 流石に一級とか言われたら帰るが、


「最低第二級相当だと予想している。既に偵察の隊員が二名犠牲になっている。油断せずに取り組んで欲しい」


「了解しました。ベストを尽くします」


「では、私達はこの辺りで失礼します」


「健闘を祈る」


 

〈服部砂賀留視点〉


 彼らを見送った後、真坂少尉がお茶を出した。


「彼はどうでしたか?」


 前回の事件以降、彼は我々の興味を惹く存在であった。今回は彼女の提案により、面会する機会に恵まれたが、


「よくわからないな」


「そうですか?私には狩人の中ではプロ意識が高そうに見えました」


「そこは同感だ。しかし、役柄多くの実力者に会うが彼程()()()()()()ことは無かった」


「事前の評価は過剰でしたか?」


 元々、真坂少尉は懐疑的な考えを持っていた。ただの第四級狩人が第一級討伐対象中位の戦闘に一分でも参加出来るわけない、と。


 確かに前例が無い出来事ではある。階級の差は世間的には絶対の壁と呼ばれる程溝がある。まだ三級最上位の狩人が()()()()()戦闘に数分参加した事例はある。


 が、彼の場合は理解の範疇を超えている。だからこそ注目してる。


「いや、そう判断するのは早急だろう」


「そうですか。ですが、仮に第一級と対峙しても実力を隠す人物がそう簡単に足を出しますか?」


「そこは敵に期待するしかあるまい」


「彼女が犠牲になりますが?」


 殺意さえ感じる視線を受けながら、彼のプロフィールを見たが特に違和感はなかった。


「この日が時代の境目かもしれんな」










 


 









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