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独りぼっち

ベリーカに戻って荷車を持ってアッキバへ。


「お待ち致しておりました」


とベッドと洗濯機やらを積み込んでくれる。


「大丈夫でございますか?」


「ベッドが予想より大きいけどなんとかなると思う」


引くのは簡単だ。


「なっ、そんな軽々と・・・」


「これ魔道具だからね。そんなに力がいらないんだよ。じゃ積み込みありがとう」


と動き出したら


「ちょ、ちょっと旦那様」


「何?」


「その荷車はどこでお買い求めに?」


「ドワーフの国だよ。欲しいなら発注してあげるけど。これは金貨10枚。馬に引かせる大型のは金貨30枚。数台なら在庫あると思うよ」


「ドワーフの国ですか。それだと時間が掛かりますねぇ。残念です」


「いや、今日行くから必要なら発注しておくよ」


「は?」


「俺、転移魔法みたいなものを使えるからね。どうする?あと値段はあっちが決めてるからまとめ買いしても値引き交渉無理だよ」


「で、では人用のを3台お願いできますか?」


「在庫あるなら明日持ってくるし、なかったら納品がいつになるか知らせに来るよ」


「かしこまりました。是非お願いします」


ちなみに椅子は付いてないよと補足しておいた。


ベリーカに戻って街の人に荷下ろしを手伝って貰う。報酬は酒1本と言うと喜んでやってくれた。


「カナタ、結婚したのか?」


「まぁ、そんなにとこかな」


ダブルベッドを寝室に運び、お揃いの指輪をはめてるのだ。隠せるものではない。ちなみに今までのベッドとダブルベッドて寝室はパンパンになった。もう全面ベッドだ。


(おいおい、えれぇ可愛いじゃねぇか。今晩皆を呼んで宴会するからよ、ちゃんと紹介してくれよ)


(言っとくけどくそ女だからね。変な事言ったり、失礼なことしても知らないよ。すぐに拗ねるし)


(あれだけ可愛いんだ。見てるだけで有り難いってもんよ)


そんなもんかね?


そして肉の塊を仕入れて、洗濯機1つ乗せたままドワーフの国へ。


キックボードと荷車の発注だ。


「おう、荷車は在庫あるぞ。連結して運べるようにしといてやる」


「お金はあとでいい?集金したらそのまま持って来るよ。あとキックボードはいくらで販売する?ハーテンの魔道具屋で販売するみたいなんだけど、向こうは物価が高いんだよ」


「なら金貨2枚にしとくか。2人乗りの方は高くした方がいいならそっちで勝手に値段付けろと言っておいてくれ」


「了解。いつ頃に出来る?」


「一週間後だな」



次はザイルの所だ。


「お、お前結婚したのか?」


「これがクロノ」


(お前の言ってた女神さんか?)

(そうだよ)


「こりゃ驚いた。めちゃくちゃ可愛いじゃねーか。カナタは果報者じゃの」


「まぁ、形式上だけなんだけどね」


と軽く説明だけして7樽と瓶10本購入した。酒はストックしておいても大丈夫だからな。



で、エスタートに移動。


「あー!カナタさんっ。お帰りなさーい」


「シアちゃん、ただいま。これお土産だよ」


「本当に買ってきてくれたの?やったぁ・・・・」


「どうした?」


「カナタさん、指輪してる・・・」


「あぁ、これね。行商にクロノを連れ歩いてるから一目で既婚者って分かる方がいいかなって」


「そうなんですね。おめでとうございます」


何がおめでとうかよくわからん。このハンター証に登録したのシンシアだから知ってるだろ?


「おう、カナタ。その荷物はなんだ?」


トーマスもやって来た。


「酒と肉は食堂の卸用。あとこれ洗濯機を宿舎用にと思ってね。あった方が便利だろ?」


「おまっ、こんな高価な物を・・・」


「アッキバでまとめ買いしたから結構まけて貰ったんだ。いらないなら持って帰るけど」


「いりますっ」


元気よく返事をするシンシア


「シアちゃん、お金貯まったら追加で買ってくるからね」


「いいんですか?」


「初めにここで親切にしてもらえたから今があるからね。お礼だよ」


「カナタすまんな。じゃあ有り難くもらっとくわ。って、シンシア、その包みはなんだ?」


「カナタさんからお土産に貰いました」


「お前、あんまり高いのやめとけって言っただろうが。その包みはチーファニーの奴だろが」


「ブランドなの?」


「そうだ」


「ハーテンであんまり高く無い店で買ったんだけど」


「あぁ、ハーテンに行ったのか。あそこはもっと高い店あるからな。しかしな、俺が言ったのは露店で売ってるような奴を言ったんだ。お前こんなのシンシアが身に付けてたら、他の男が付き合いを申し込めないだろうが。お前責任取れんのか?」


「い、いや、責任なんて・・・」


「ギルマス。私に付き合いを申し込むのは最低限これ以上の物をポンっと気軽にくれるぐらい稼げるというハードルってことですね」


俺達のやり取りを聞いていたハンター達はなんてことをしてくれたんだと睨み付ける。いや、君たちクロノに一回乗り換えたよね?その時点でもう目は無いと思うぞ。


その後肉を見て貰ってOKが出たので酒と肉を納品した。


「飯食ってくんだろ?」


「いや、ベリーカで宴会してくれるらしいんだよ。皆がクロノを紹介してくれってさ」


「ほう、ベリーカでも上手くやれてんだな」


「あそこもみんな良い人ばっかりだよ」


「そうか。お幸せにな」


だから形式上だと言ってるだろうが。



ドワーフの国へ行き、アッキバで荷車を売り、酒持ってハーテンに行き納品と見積りを伝えて各10台ずつの受注を受けた。リンダへのお土産とクロノ用にチョコレートの詰め合わせを買って、またドワーフの国へキックボードの発注して終わりだ。


「ねー、そのチョコレートは誰の?」


「ベリーカで酔っ払った時に迷惑をかけた子が居てね、そのお詫びとお礼だよ」


「女?」


「そうだよ」


またブスッとむくれる。これは焼きもちなのだろうか?それとも下僕が他の人に何かをするのが嫌とかそんなもんなのだろうか?飼い犬が他の人に懐いたらちょっとイヤ的な?


ベリーカの家に戻ったらすぐに宴会だ。


「カナターっ!」


ポニーテールのリンダが俺に手を振る。


「誰?」


「酔っ払った時に迷惑を掛けた子だよ」


とクロノに伝えると腕をギュッと組んで来た。


「その人がクロノ?」


「そうだよ」


「恋人じゃないとか言っておいて奥さんだったとか酷いじゃないっ」


「いや、そのこれはね・・・」


「朝ごはん作りに行ったことバラシちゃぉっかなぁ」


って、言ってるじゃねーかっ!


「そんな事させたのっ?」


「二日酔いの時に心配してくれてね」


「美味しかったの?」


「美味しかったよ」


「嬉しかったの?」


「嬉しかったよ」


「ふんっ」


クロノはパッと腕を離してお拗ねモードに突入。もう知らん・・・


「リンダ、これこの前のお礼ね」


「うわっ、高級チョコじゃないっ。あんな簡単なスープだけでこんなの貰っていいのっ?」


「あの後凄く楽になったからね。助かったよ」


「ありがとうっ。あの、奥さん拗ねちゃったけど大丈夫?」


「あいついつもこんな感じなんだよ」


「へぇ、面倒臭いね。私にしとけば良かったのに。こんなことでいちいち拗ねないし何でもしてあげるよっ♪」


確かにリンダの雰囲気というか感じとかこう、気が楽だ。家事も仕事も分担してやってくれそうな気がする。


が、俺はこの世界で恋愛をするわけにはいかないのだ。いずれ元の世界に戻らないといけないし、女神であるクロノを守らないといけない。クロノにもしもの事があればこの世界と元の世界にどんな影響が出るかわからんしな。


リンダみたいな子が元の世界でこんな風に言って来てくれてたならどれだけ幸せだったろうか。まぁ、元の世界だとそんな事も無いだろうし、今みたいに稼げないないから無駄な妄想だ。


「ははっ、ありがとうね。でも俺はクロノを守らないとダメなんだよ。あいつ何にも出来ないから」


「カナタって優しいよねぇ。酔ってた時に守れなくてすまんって言ってたのどうなったの?あの娘なんだよね?」


「あ、うん。自分の力じゃ守れないかもしれないから危ない所に連れていかないのと、魔道具でなんとかしようと。あ、家に結界の魔道具仕掛けたから来るときに柵の外から声かけてね。結界のスイッチ切らないと警報がなるから。お父さん達にも言っておいて」


「そんなのあるの?めちゃくちゃ高いんじゃない?」


「そうだね、高かったよ。全部で金貨7枚だったから」


「えーーーっ、あんなボロ屋に金貨7枚も使ったのー?」


家具とか魔道具入れたら10枚以上使ったとは言えない。


「まぁ、こいつの為に稼いでるから別にいいんだよ。お父さん達が色々と生産してくれてるお掛けで稼げてるし。ここの作物とか肉とか評判いいんだよ」


「そうなんだ。それ聞いたらお父さん達も喜ぶよ。豊作で余ってる作物が売れるからうちも儲かってるしね」


そうなのだ。稼げるというのもあるけど、仕入れても売ってもどこでも喜ばれるのが俺も嬉しいのだ。


拗ねて向こうへ行ったクロノは、男連中にちやほやされて肉やら酒やら運んでもらってる。またいらんことを言うなよ?


こっちはリンダが焼けた肉とか皿に入れてくれたり甘めのワインとか注いでくれている。


「カナタっ、お前あんなべっぴんさんを嫁にしたのにうちの娘ともう浮気か?」


酔ったリンダの父親がからかいに来た。


「いい娘さんだよね。この前作って貰ったスープも美味しかったし、おっちゃんも二日酔いの時に面倒みて貰ってんだろ?果報者だね」


「そうだっ!うちの娘はいい女になるんだよっ。どうしてうちの娘を選らばなかったんだよっ ヒック」


「もう父ちゃんやめてよっ。みっともないっ。弱いくせにまたたくさん飲んだんだろっ」


「へっ、飲んでねえっての。おら、カナタお前も飲めっ」


「の、飲んでるよっ」


「そんな水みたいな酒じゃなくてこいつを飲めっ」


と火酒の瓶を口にゴッと突っ込まれた。


「父ちゃんやめなって言ってんだろっ」


ベシッ


ごふごふしながら叶多は自分の父親を思い出していた。時々死んだ母さんの事を思い出すのか、酔って絡んで来るときがあったのだ。なんとなく寂しさを紛らわせたいんだろうなと思っていた。


「よーし、付き合ってやろうじゃないかっ」


「ちょっとカナタ、止めなよ。酔っぱらいの相手することないって」


「おー、カナタ。やっぱりお前はいい奴だ。飲め飲めぇ」


さすがに一気は死んでしまうので水割りににして何度も乾杯して飲む。元の世界に戻って20歳になったら親父にもこうやって付き合ってやろう。


「あーあ、知らないからねー」


リンダの父ちゃんとわはははと笑いながら飲んでいく。


「カナター、俺は息子が欲しかったんだよなぁ。お前はうちの息子になれよぉ」


「俺には親父がもういるよ」


「娘なんてよー、そのうちどっかの男と出ていっちまうんだ。そのあと俺は独りぼっちになるんだぜぇ。母ちゃんっ、お前はなんで先にいっちまいやがったんだよぉ」


と、今度はおいおいと泣きはじめる親父。


「ごめんねー、カナタ。クソ親父は飲むとこんなんになるんだよ」


リンダは父親をヨシヨシしてやっている。親父はリンダにお前はどこにも行くなよっと泣いていた。


独りぼっちか・・・


そういやクロノは自分の世界でどんな風に過ごしてたのだろうか?ずっと独りだったのかな?神って寿命ないんだろうし、はるかに昔から独りだったのだろうか?


おいおいと泣くリンダの親父を見てふと、クロノが今までどんな風に過ごして来たのか気になった叶多なのであった。

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