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FUMA1912  作者: 香鶏仙幸
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第四話 万能力誕生秘話

 駅から2時間かけて歩き、日が落ちた頃にアルベルトは酒屋【コスモス】へ到着した。

店内に入ると、子供にも関わらずマスターは通してくれ、「奥のほうに友人さんがいる」と教えて

くれた。言われた通り奥に行くと、そこにはピタゴラスがVIP席に座っていた。

そしてこちらに気づいたのか、こちらを振り向く。


「私の予想が合っていたようだな少年」


そう笑うとアルベルトも微笑み返して椅子に座った。なぜVIP席に座っているのかと聞くと、

軍人の特権さ。とピタゴラスは笑った。そんな感じで二人はフューマ使い同士小話をしていた。

そんな時に、急にピタゴラスはグラスを置き、アルベルトへ話した。


「突然ですまない。本題に入ろうか少年。君に対する私の考えと、

 フューマの誕生した経緯を君に話してやろう。いずれ必要になる。」


ピタゴラスはそう言うと、先ほどとは違う、真剣な顔をして話した。


「まずフューマ誕生の経緯だ。このバジリスが北アメリカ大陸で初めてフューマが伝わったのは知って

 いるだろう。その前の話だ。

 15年前、分子、原子という物質を生成しているとされるいくつもの粒が見つかった。

 それと同時に、化学反応によってその粒がバラバラになり、別の物質になるということも確立された。 

 そこで西洋の科学者どもは考えた。

 ””手で触れるだけでそれができたらどれほど楽なのか””と。

 そこからだ。化学反応が起きる基となる電気分解、熱融合を細胞を扱い出来るよう人体実験が

 されたのは。そこである方法を見つけたのだ。

 人体に流れる生体電流を自在に操り、体温が高温になっても身体が崩壊しないよう、

 細胞を死なないようにすればいいんだと。そこで使用されたのが、西洋の地下深くの

 古代遺跡にあった。紀元前の錬金術師【ヴィンセント・ライト】が自らの命で錬金した  

 【エリクサー】という””不老不死””の液体だった。エリクサーを注入すると、

 なんと細胞は死なず、生体電流や熱も活性化し、手での融合分解ができるようになるのだ。

 長文だが理解できたか?」


ピタゴラスが話し終えると、アルベルトは今までの出来事に全て繋がったことを感じる。

手を割かれ血が出続けているのに出血多量にならない。釘で刺されたピタゴラスはあまり痛がらない。

数えれば数えるほどある。だがそこで矛盾が脳裏によぎる。

””細胞は死なないのになぜ父は死んだのか””ということだ。それを含め、アルベルトは

「俺の意見はあんたが話し終えたらいってやる」と伝えた。ピタゴラスは話し続ける。


「でだ。そんな私も、このフューマという力は便利だと思う。だが、それがある錬金術師

 の命によるものだと知った時は、さすがに怖気づいた。そして命による物ということは

 いずれ尽きてしまうものだ。私の意見だが、私は命により作られたものは残しておくべきだと

 思っている。それに君が言うように、理不尽にこの力によって人が死ぬこの世界を私は変えたい。

 私は君に出会うまでにこの力で裁くという国の理由で人を殺した。

 だから私は、その償いとして、これ以上の被害を抑えたいのだ。わかってくれたか?」


そうピタゴラスは問うと、アルベルトは静かに答えた。


「最後に質問してもいいか?どこでそのエリクサーとやらの情報を知った?」


そう聞くと、ピタゴラスは答えた。


「私は軍に仕えるフューマ体質者だ。それすなわち、おぞましい経緯をしった上で扱う覚悟と、

 フューマという力を軍の兵器のように扱うことを軍に教え込まれる。

 私はその上で使い、消す方法を探しているのだ。」


そうピタゴラスは答えた。アルベルトは「あんがと」と答え、うつむいた。


「ショッキングな事はわかる。だがそれを知ったうえで、お前ならどうする?

 その力を極めるか?それとも犠牲で手に入ったと聞いて怖気づいたか?」


アルベルトは顔を上げ、決意を固めた顔で言う。


「ほぼ死なない体なら、この力を鍛えて。ガチでこの世界からこの力を消してやる」


そのアルベルトの答えに、ピタゴラスは笑い、「そう言うと思った。」と返した。

そして、ふたりで手を強くつないだ。

 話していると時は過ぎ、深夜になっていた。二人は店から出ると、お互いに聞く。


「少年。いやアルベルト。行くあてはあるのか?」


「フューマ体質者で、科学者だった父さんの研究所に行く。もしかしたら、

 そのエリクサーとやらがあるかもしれないし、

 なにより不老不死なのに死んじまった父さんの死因が気になる」


「そうか。なら私は軍でフューマの情報について調べておいてやる。

 そして、もしエリクサーを研究所で見つけたなら頼みたいことがある」


なんだ?とアルベルトは問うと、ピタゴラスは答える。


「先ほど教えた西洋の古代遺跡に戻しに行ってくれないか?もしかすると、

 遺跡にもフューマを消す方法があるかもしれん。

 私は遺跡とヴィンセントのことは、聞かされただけで実物がどんなものかわからんのだ。

 頼めるか?」


この頼みにアルベルトは「もちろんだ!」と答え、ともに笑ったのち、

それぞれの帰路についたのだった。


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