第三話 力を消す旅
軍人との一戦から10日後。少しずつ手の傷も回復し、いつもどおり部品修理の仕事をアルベルトは
していた。だが彼は【フューマを消す】という目標を諦めていなかった。
そんなアルベルトが働いているときのことだった。突然一件の手紙が勤務している工場に届いた。内容はアルベルト宛てである。アルベルトは手紙を読むと、目標への一歩に近づいた可能性を感じた。
フューマを使う少年へ。
私だ。この前君と一戦交えた軍人だ。君が思っていることはこうだろう。
【フューマという力を扱う軍。または力を消してやる】と。
もし私の予想があっていたなら、バジリス中央の南区にあるコスモスという酒屋を尋ねるんだ。
君の考えに、私も軍人ながら協力したいのだ。
追伸:この手紙をなぜ送れたかって?それは私が錆びさせた君のナイフを釘へと再び戻し釘の出所の工場
へ送ったのだ。もし工場に届いてないようでしたら、あなた様は見なかったことにして
これを燃やしてください。
親愛なる軍人【ピタゴラス・ガリレイ】より
手紙を読み終えると、手紙が入っていた小包から例の酒屋の住所と、【旅の費用に】と添えられた大金が入っていた。この出来事を機に、アルベルトは工場のオーナーにその日告げた。
「俺、今日でここやめます!」
社員一同が急な言葉に驚き、そして頭にハテナを浮かべた。そして「考え直せ」と皆が言ったが、アルベルトは聞く耳を持たず、即座に自宅に帰り、旅の準備をした。
そして旅の荷造りをしている途中、忘れてはならない物も荷物に加えた。
亡き科学者の父が残した””生家の住所””と、父の仕事場の””中央研究所””の住所を記したものである。
今からの旅は、フューマを消すのと同時に、父の死因を辿るのが旅の目的。
そのため、受け継いだ父の遺品からなんとか見つけ出したのである。
荷造りを終えたアルベルトは、さっそくバジリス中央へと向かう汽車に乗り込んだ。
「世界を変える」そう決意したことが実現し、興奮が止まらなかった。
だが、そんな汽車の中で事件は起きた。
「フューマ使いがいるなら出てきやがれ!そして金を生成しろ!
さもなければ汽車の乗客全員ぶっ殺して!血の海にしちまうぞ!」
なんと、ハイジャック犯が汽車に交じっていたのだ。乗客は「フューマ使える奴がいるなら出ろよ...」と怯えていた。力で命を奪おうとする奴を力で裁くべきだ。軍人のピタゴラスとの闘いで決意したアルベルトは席から立ち上がり、ハイジャック犯の前へ出た。
「そんなに金がほしいならくれてやるぜ。ただし、あんたが俺を瀕死にしたらだ!」
そうアルベルトが言い終えると、ハイジャック犯は笑いながら答えた。
「わかってんのかガキ?金の錬成は犯罪だぞ?そんでお前みたいなチビにフューマを使えるわけねえし、
俺に勝てるわけねえだろアホォ!根性だけあるてめえのその顔面に風穴あけて、泣きっ面をかいた後
殺してやる!」
ハイジャック犯は言い終えると、持っていたハンドガンを乱射する。アルベルトは乗客に伏せるよう言った後、汽車の床と汽車の椅子を分解。そして鋼の盾へと合成し、銃弾を防いだ。「工場での経験が生きたぜ!」そう自慢げに言い終えると、撃たれた銃弾に含まれている銅を分解し、銅線を生成。そして銅線をハイジャック犯の銃へ投げ、銅線が銃に接触したタイミングで手から電気分解の電気を流電させ、ハイジャック犯のハンドガンを鉄へと分解させた。そして武器がなくなったハイジャック犯に即座に近づき、分解された銃を素早い動きで分解、合成し手錠を生成。ハイジャック犯を捕らえたのだ。
「雷管から生成したから爆発するかもと思ったがなんとかなったな。
おっさん。俺ははたから金の生成なんざ罪を犯すつもりねえよ。
あと、子供でも知識が違うんだよ。ち し き がな。」
そうハイジャック犯をあざ笑うと同時に、汽笛が鳴った。汽車が中央へと到着したのだ。
到着と同時にハイジャック犯は通報により現れた警察に引き渡され、アルベルトは自分の力を人を救うために使えたということを誇りに思い、乗客から感謝された後、中央部駅から中央部南部にある、酒屋【コスモス】へと歩きだした。




