第二話 軍の生成者
アルベルトはナイフを軍人へ刺そうとするが、軍人もスラムのゴミ山から剣を生成した。
アルベルトは軍人が先ほど自分に行ったことをやり返そうと軍人の剣に触れるが、なぜか剣は錆びない。
「なぜ錆びないのかって顔をしているな?私が生成したナイフはただの鉄じゃない。
ステンレスだ。捨てられたフォークなどからクロムやニッケルを分解して合成させた。
君とは格が違うのだよ。」
すると軍人は剣に触れているアルベルトの手のひらに剣を振り下ろし、手のひらに大きな切り傷を負わせた。切られた後からは大量の血が出ており、アルベルトは握っていた短剣を落としてしまった。絶体絶命。軍人はゆっくりと近づき今度こそ仕留めようと冷たい目つきを向ける。
「終わりだフューマ使いの少年。もう少し科学を理解していれば私に勝てたかもな。
死ぬ前に言っといてやろう。この世界は力がすべてではない。知恵も必要なのだよ」
そう言い終えると、軍人は間近まで近づき、剣をアルベルトの首に向ける。
だがここで逆転劇が起こる。
「もう少し勉強するのはあんたのほうだぜ軍人さん。近づいたのが仇になるかもな!」
「どういう意味だ?抵抗は出来んし、手も血まみれではないか。なにができる!」
「手が””血まみれ””なんだぞ?血の主成分を考えろ間抜け!!」
アルベルトの言葉を瞬時に理解した軍人は、即座にアルベルトを殺そうと剣を構えた。
だが時すでに遅し。アルベルトは血をすでに鉄分に分解し、釘へと合成し、軍人に針の山を浴びせた。釘は手、足に刺さり、スラムの家の壁に軍人を貼り付けにした。
「なにをする?!」そう軍人が叫ぶと、アルベルトは自慢げに答える。
「これであんたも手を使えなくなったから逃げられねえよな。」
「な、なぜだ...。なぜ釘を私の急所に刺さなかった...?私はお前を殺そうとしたのだぞ?」
そう軍人が問うと、アルベルトはあきれた顔で答えた。
「あんた軍人なのに法律もわからんわけか?法律にあるだろ?殺人罪って。
俺はあんたを許しちゃいない。無実な人を殺したし、反逆者の俺を殺そうとした。
だが俺もあんたと同じ殺人犯にはなりたきゃねえ。””ルール””は守らなきゃな。だろ?」
アルベルトはそう軍人に返した。軍人は屈辱があったが、アルベルトの純粋で勇気ある精神を認めてもいた。そしてアルベルトの方を見つめ、こう返した。
「軍人である私を襲った君の行為は、今回は本軍には黙っておこう。だが理解してほしい。
我々軍は、君と同じようにフューマ使用の掟を破るものに容赦はしないということだ。
私とて命は奪いたくはない。だが国が決めたことに忠実なのが我々軍の犬なのだ。
すまないな。少年。」
軍人の返答に、アルベルトは感じた。
この軍人は、掟を守る冷徹な男だが、それは演じているだけであり、内側では軍の掟に反する意思があるのではと。そして決意した。フューマによって無実な人が死に、それを
ヒューマを使って殺す軍がいるということ。
フューマによって原因不明の死を遂げた父親が自分の過去にあったこと。
全ての事からアルベルトは決意した。
【フューマによって命が奪われている世界を、フューマを使ってこの力を世界から消す】と。そんなことを抱いていると、軍人が「おーい」とこちらに喋る。
「いい加減私の釘を抜いてくれないか少年。軍には黙るし、抵抗もしない」
軍人のいうことを信じたアルベルトは拘束を解いた。拘束を解かれた軍人は、
「感謝する」と述べ、その場を後にした。最後に忠告だけして。
「これだけ最後に言っておこう少年。このフューマという力は善にも悪にもなる。
身と人を助けるために使え。私たち軍人とは違う使い方をするのだ。
私はまた今回のような出来事があった場合、また命を奪うことになるだろう。
だからこそ言っておく。この力を君ならどうする?」
そう言い終えると、軍人は駅の方へと帰るのだった。




