表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/151

無音の接触

音が消えたのは一瞬だった。


 だが、その一瞬は“時間が止まった”のとは違う。


 「音という概念だけが外された」ような、奇妙な空白。


 ミナが口を開く。


 ――が、声が出ない。


 目を見開く。


 セリアもリシアも同じだった。


 “聞こえない”のではなく、“音が成立していない”。


 ネアだけが静かに立っている。


 そして言った。


「接触した」


 レインの手は、まだそこにある。


 未登録領域に触れたまま。


 だが見た目には何も起きていない。


 ただ一点だけ違う。


 “隙間がレインを認識している”。


 ゼノスの声が途切れ途切れに響く。


『…異常…検知…』


『…接触…成立…』


 ミナは必死に口を動かすが、やはり音にならない。


 セリアは目を細める。


「これ……“会話のレイヤー”が落ちてる」


 未登録領域が、ゆっくりと“揺れる”。


 それは反応ではない。


 理解でもない。


 ただ「触れられたことによる再計算」。


 リシアの視界に、一瞬だけ“何かの文字列”が浮かぶ。


 すぐに消える。


 ミナはそれを見て怯える。


 “読めないのに、読めた気がする”。


 ネアは静かに言う。


「今、情報が生成された」


 レインはそのまま手を引かない。


「おい」


 声は出ているはずなのに、届かない。


 だが未登録領域は“聞いている”。


 形のないものが、わずかに収束する。


 ――ズレる。


 空間が一歩だけ後退する。


 ミナの視界が戻る。


「えっ……戻った?」


 セリアが息を吐く。


「音が戻った……でも今のは何?」


 リシアが震えながら言う。


「今、世界が一回“再起動”した感じ……」


 ネアはレインを見る。


「通じた」


 ミナが叫ぶ。


「通じたって何が!?」


 ネアは静かに答える。


「“接触できること”が伝わった」


 未登録領域の“揺れ”が変わる。


 今度は拒否ではない。


 回避でもない。


 むしろ――興味に近いもの。


 ゼノスが静かに言う。


『未知反応:観測開始』


 ミナが顔をしかめる。


「今度は向こうが見てきてない?」


 セリアは低く言う。


「ええ……“見られてる”」


 レインは手を離す。


 未登録領域は追ってこない。


 ただそこに“ある”。


 それだけで世界の安定が少し変わる。


 リシアが呟く。


「これ……戦ってないのに一番やばいかも」


 ネアは静かに言う。


「うん」


「“初めて対話が成立した領域”」


 ミナがぽつりと言う。


「ねえ、それってさ……」


「味方になるやつ?」


 セリアは即答しない。


 少し間を置いてから言う。


「それ以前の問題ね」


「“敵か味方かを決める側にいない”」


 未登録領域が、もう一度だけ揺れる。


 今度は何も変わらない。


 ただ、“そこにいることを許容する”ような沈黙。


 ゼノスが静かに言う。


『接触記録:初回保存』


 ミナがぼそっと言う。


「保存されたの怖いんだけど……」


 レインは剣を肩に担ぐ。


「で、どうなるんだこれ」


 ネアは少しだけ目を細める。


「わからない」


「でも一つだけ確実」


 ミナが聞き返す。


「なに?」


 ネアは静かに言った。


「地下はもう、“知らないものを増やせる世界”になった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ