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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第2章

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記録の外側

地下世界は、静かに“普通の静けさ”へ戻りかけていた。


 だがそれは元通りではない。


 むしろ逆。


 「元通りという概念が使えなくなった後の静けさ」だった。


 ミナは周囲を見回す。


「……なんかさ、さっきまでのやばさが嘘みたいなんだけど」


 セリアはゆっくり首を振る。


「違うわね」


「“やばさを定義する基準が消えた”だけ」


 リシアが小さく言う。


「じゃあ……安全になったの?」


 ネアは少し間を置いてから答える。


「安全という概念も、まだ不安定」


 レインは剣を肩に担いだまま歩く。


「で、結局どうなったんだよ」


 ゼノスが静かに応える。


『封印システムは停止した』


『ただし削除はされていない』


「残ってんのか」


『“記録として保存された状態”だ』


 その瞬間。


 空間の奥に、薄い光が走る。


 今までの黒い柱でも、空白でもない。


 “紙のような層”。


 そこに文字が浮かぶ。


『観測ログ:保存完了』


 ミナが眉をひそめる。


「ログってなに?今までの全部記録されたってこと?」


 セリアは目を細める。


「そうね……“この地下で起きたことは消えない”ってこと」


 リシアが震える。


「それって……また何か起きるやつじゃない?」


 ネアは静かに言った。


「可能性は残る」


 ログの層がゆっくりと“ページ”のようにめくれる。


 そこに映るのは、牙。


 管理核。


 上位反応体。


 そして空白。


 それらすべてが“過去の現象”として整列している。


 ミナが息を呑む。


「これ……全部見られてるの?」


 セリアが小さく言う。


「違うわね」


「“記録が世界の一部になった”」


 レインはその層を見上げる。


「で、それがどうした」


 ログが一瞬だけ反応する。


『再生可能性:存在』


 ミナが叫ぶ。


「再生可能って言った今!?」


 リシアが青ざめる。


「やっぱり終わってないじゃん……」


 ネアは静かに言う。


「違う」


「“終わったから再現できる”」


 セリアは腕を組む。


「つまり、地下は戦場じゃなくなったけど」


「“データベース化された”ってことね」


 ミナが呆れる。


「データベースって言い方やめてほしいんだけど……怖い」


 ネアは小さく頷く。


「でも、それが一番安定する形」


 ログ層の奥で、何かが微かに動く。


 誰にも届かない深度。


 記録のさらに下。


 そこに“未登録領域”が一瞬だけ映る。


 ミナが気づく。


「今なんか見えなかった?」


 セリアは即座に否定しない。


「……見えたわね」


 リシアが震える。


「まだあるの……?」


 ネアは静かに言った。


「ある」


 レインは剣を肩に担ぐ。


「終わってねぇな」


 ゼノスが淡々と答える。


『終わりという概念は未定義』


「めんどくせぇな」


 ミナが即座に突っ込む。


「今さらそれ言う!?」


 ログの層がゆっくりと閉じる。


 記録は保存されたまま。


 だがその奥で、“何かがまだ見ている”。


 そして地下世界は、静かに新しい段階へ移行していた――


 「戦闘でも封印でもない、記録された世界」として。

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