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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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三首の魔狼

森が割れる。


 巨大な黒狼が姿を現した瞬間、空気そのものが震えた。


 三つの首。


 六つの赤い瞳。


 口元から漏れる黒い霧。


 その巨体は、先日現れた黒獣グラディウスよりも素早そうだった。


「……嘘だろ」


 ガルドの顔から血の気が引く。


 周囲の村人たちは完全に怯えていた。


「む、無理だ……」


「勝てるわけ……」


 だが。


 黒ローブの男は笑っていた。


「さあ、継承者よ」


 赤い瞳がレインを捉える。


「力を見せてみろ」


 次の瞬間。


 三首狼が咆哮した。


 ォォォォオオオオオオッ!!


 衝撃波。


 地面が砕ける。


 木々が吹き飛ぶ。


「伏せろぉ!!」


 ガルドが叫ぶ。


 レインはミナを庇いながら踏ん張った。


 だが。


【個体名:《冥獄狼ケルヴァ》】


【危険度:災厄級】


【現在勝率:0.08%】


「ゼロみたいなもんじゃねぇか……!」


 冷や汗が流れる。


 セリアが前へ出た。


「レイン」


「……なんだ」


「逃げて」


 レインは目を見開く。


「は?」


「今ならまだ間に合う。このレベルは王国騎士団案件」


 セリアは杖を構えたまま続ける。


「辺境村で対処できる相手じゃない」


「じゃあお前はどうすんだよ」


「時間を稼ぐ」


「死ぬぞ!」


「それが役目」


 あまりにも淡々とした声だった。


 レインは言葉を失う。


 だが次の瞬間。


 三首狼が地面を蹴った。


 速い。


 一瞬でセリアの目前へ迫る。


「ッ!」


 セリアが氷壁を展開。


 だが。


 バキィィン!!


 爪の一撃で粉砕された。


「なっ……!?」


 セリアの顔に初めて焦りが浮かぶ。


 死ぬ。


 誰もがそう思った瞬間。


 キィィン!!


 白銀の剣が爪を受け止めた。


「……レイン!」


 セリアが目を見開く。


 レインは歯を食いしばっていた。


 重い。


 腕が千切れそうだ。


 だが。


 退けない。


「逃げろって言われて逃げられるかよ……!」


 三首狼の一つの頭が唸る。


 近い。


 赤い目が、すぐ目の前にある。


 その瞬間。


 レインの頭に、また記憶が流れ込んだ。


 戦場。


 炎。


 絶望。


 そして。


 “誰かを守れなかった記憶”。


『もう二度と失わない』


 知らない誰かの声。


 胸が熱くなる。


【継承同期率:21%】


【新規能力解放条件を確認】


 黒い文字。


 次の瞬間。


 レインの視界が変わる。


 世界が、線で見えた。


 三首狼の筋肉。


 魔力の流れ。


 攻撃軌道。


 全部。


【戦闘補助:《魔力視》解放】


「見える……!」


 三首狼が再び爪を振るう。


 だがレインは半歩だけ動いた。


 それだけで回避。


「!?」


 セリアが驚愕する。


 偶然じゃない。


 完全に見切っていた。


 レインはそのまま剣を振る。


 銀閃。


 ザシュッ!!


「グルァァァァ!!」


 一つの首に深い傷が走る。


 黒い血が噴き出した。


 村人たちが息を呑む。


「傷を……!」


「災厄級に……!?」


 だが。


 三首狼は笑うように唸った。


 傷口が、黒い霧で再生していく。


「再生……!」


 絶望的だった。


 すると黒ローブの男が笑う。


「素晴らしい」


 その瞳が狂気に染まる。


「やはり継承者は面白い」


「……お前、何が目的だ」


 レインが睨む。


 男は両手を広げた。


「黒月の降臨」


 空を見る。


 黒い月が、不気味に脈打っていた。


「世界はいずれ終わる。そのために、お前が必要なのだ」


「意味分かんねぇよ……!」


「今はな」


 男は笑う。


「だがいずれ理解する。継承者は世界を壊す器なのだから」


 その瞬間。


 三首狼の魔力が爆発的に膨れ上がった。


【警告】


【超高密度魔力反応】


 レインの本能が叫ぶ。


 まずい。


 次の攻撃は、今までと違う。


 三つの首が同時に口を開いた。


 黒い光が集束していく。


「全員下がれぇぇぇ!!」


 ガルドの怒号。


 だが間に合わない。


 避けられない。


 その時。


 頭の中で、ゼノスの声が響いた。


『剣を解放しろ』


「……え?」


『今のお前なら届く』


 白銀の剣が震える。


 光が強くなる。


【条件達成】


【記憶武装 第二段階 解放可能】


 レインの右手が熱を帯びる。


 次の瞬間。


 白銀の剣が、眩い蒼光を放った。

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