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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第2章

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上位反応体

地下世界の空気が、変わった。


 さっきまでの“牙”とは違う。


 もっと静かで、もっと重い。


 何も起きていないのに、確実に「上書き」が始まっている感覚。


 ミナが息を呑む。


「……なんか、空間が“無視”されてない?」


 セリアが目を細める。


「無視というより、“存在の優先順位を下げられてる”」


 リシアが震える。


「私たちが薄くなってるみたい……」


 ネアは静かに言った。


「来る」


 ――ゴン。


 音ではない。


 “概念が置かれた衝撃”。


 地下空間の中央に、黒い柱のようなものが現れる。


 それは建物ではない。


 武器でもない。


 “判断装置”。


 ミナが青ざめる。


「なにこれ……塔?」


 セリアは即座に否定する。


「違うわね」


「これは“決定のための存在”」


 黒い柱の表面に、文字のようなものが浮かぶ。


『上位反応体 起動』


『封印層 状況再評価』


『侵入個体:レイン』


『評価開始』


 リシアが嫌そうな顔をする。


「また評価……ほんとに好きだねそれ……」


 ネアは首を振る。


「これは今までと違う」


「“判断そのもの”」


 レインは黒い柱を見上げる。


「で、こいつは何すんだ」


 ゼノスが答える。


『上位層の意思代行体』


『封印層の最終判断機構だ』


「つまりラスボスか」


『分類としては“判定者”』


 黒い柱がゆっくりと回転する。


 そのたびに、空間の性質が変わる。


 熱が消える。


 距離が曖昧になる。


 音が遅れる。


 世界が“測定されている”。


 ミナが震える。


「ねえこれさ……戦ってるっていうか……試験されてない?」


 セリアが低く言う。


「そうね……こっちが問題にされてる」


 柱の表面に、新しい文字が出る。


『判定項目:存在適合性』


『基準:封印層維持への影響』


『結果:未確定』


 リシアが不安そうに言う。


「未確定って……まだ何もしてないのに?」


 ネアは静かに言う。


「もう“存在してる時点で判定対象”」


 その瞬間。


 黒い柱の下から、“影の腕”が伸びる。


 攻撃ではない。


 “評価のための接触”。


 レインに触れる前に、空間が軋む。


 ――ギギッ


 拒否が走る。


 だが今回は、牙の時と違う。


 “拒否が効ききらない”。


 ミナが叫ぶ。


「今の止まりきらなかったよね!?」


 セリアが目を見開く。


「上位層……耐性がある!」


 レインは一歩前に出る。


「やっと面白くなってきたな」


 影の腕が再び伸びる。


 今度は“存在の定義”そのものに触れようとする。


 ゼノスが静かに言う。


『これは破壊ではない』


『“書き換え”だ』


 リシアが青ざめる。


「書き換えって……何を?」


 ネアは静かに答える。


「レインという存在の定義」


 ミナが叫ぶ。


「やばいじゃんそれ!!」


 レインは剣を持ち上げる。


「なら答えは一つだろ」


 影の腕が触れる直前。


 レインは言う。


「俺は俺だ」


 ――拒否。


 空間が一瞬“無音”になる。


 黒い柱が初めて揺れる。


『定義失敗』


『再試行』


 ミナが息を呑む。


「今の……また止めた?」


 セリアが呟く。


「いや……今のは違う」


「“上書きそのものを拒否した”」


 黒い柱がわずかに後退する。


 初めて“距離を取る”。


 リシアが小さく言う。


「これ……勝ってるの?」


 ネアは首を振る。


「違う」


「“まだ理解できてないだけ”」


 レインは剣を肩に担ぐ。


「で、次は?」


 黒い柱の表面に、新しい文字が浮かぶ。


『上位判定:再構築要求』


『対象:未知』


 ミナがぼそっと言う。


「未知って言われてるの、初めて見たんだけど……」


 セリアは苦笑する。


「もう評価の外にいるのよ、この人」


 リシアは小さく呟く。


「レインって……ほんとに何なの……」


 ネアは静かに言った。


「“判定できない存在”」



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