管理核(コア)起動
地面が“目”の形に割れている。
それは比喩ではなく、本当に構造そのものが視線の形をしていた。
見ているのではない。
“見るために存在している場所”。
その中心から、声が響く。
『観測完了』
ミナが顔を引きつらせる。
「ねえ今の“完了”って何の完了!?」
セリアは一歩下がる。
「私たちを認識した、って意味ね……」
リシアが震える。
「もう逃げられないやつじゃん……」
ネアは静かに言った。
「逃げる前提の構造じゃない」
レインは剣を肩に担いだまま、地面の“目”を見下ろす。
「で、お前が本体か」
声が返る。
『本体という概念は正確ではない』
『我々は“管理核”』
『世界の維持機構である』
ミナが即座に突っ込む。
「維持って言う割にめちゃくちゃしてない!?」
セリアが眉をひそめる。
「維持のために層を分けすぎた結果ね」
地面の“目”がゆっくりと回転する。
空間がずれる。
世界の“裏の設計図”が、薄く透けて見える。
建物ではない。
魔法でもない。
ただ“ルール”そのものが積み重なっている。
リシアが呟く。
「これ……世界っていうより……プログラム……」
ネアは頷く。
「正解」
レインは地面を軽く蹴る。
「で、その管理が俺を見てどうすんだよ」
声が返る。
『評価不能個体』
『例外ではなく、逸脱』
『再定義が必要』
ミナが青ざめる。
「またそれ系の話!?もうやめてよそれ!」
セリアが息を吐く。
「“消すか、作り直すか”の二択ね」
リシアが小さく言う。
「どっちも嫌なんだけど……」
その瞬間、地面の目がゆっくりと“開く”。
中から見えるのは、巨大な空洞。
そしてそこに浮かぶ、無数の鎖のような構造体。
世界そのものを支えている“骨格”。
その中心に、ひとつだけ違うものがあった。
“レインと同じ色の反応”。
ミナが息を呑む。
「え……あれ何?」
セリアが目を細める。
「データ……じゃない……」
リシアが震える。
「人……?」
ネアは静かに言った。
「起源」
レインが目を細める。
「……俺?」
管理核が応答する。
『観測:一致』
『初期逸脱因子の再確認』
『プロトタイプ:拒否機構』
ミナが固まる。
「プロトタイプって今言った!?」
セリアが低く言う。
「やっぱり……最初からそういう存在だったのね」
リシアが震える。
「レインって……作られたの……?」
ネアは首を振る。
「違う」
「“作られた拒否”じゃない」
レインは剣を構える。
「じゃあ何だよ」
ネアは管理核を見たまま言う。
「“作れなかったから生まれた拒否”」
空気が止まる。
管理核の光が一瞬だけ揺れる。
声が低くなる。
『修正要求』
『起源情報の再封印を推奨』
ミナが叫ぶ。
「だから封印とか言うのやめてってば!!」
セリアが構える。
「来るわよ……」
リシアが息を呑む。
「今度は何されるの……」
レインは笑う。
「やっと本題か」
剣を握る。
「で、その“作り損ねた世界”ってやつをどうにかすればいいんだろ?」




