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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第2章

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落下層(ラスト・ダイブ)

落ちているのに、浮いているような感覚だった。


 上下の概念が一瞬ずつ入れ替わる。


 空は遠ざかり、地面は近づき、そしてどちらも“正しい位置”に戻ろうとして崩れる。


 ミナが叫ぶ。


「ねえこれ落下っていうか転送事故でしょ!?」


 セリアは歯を食いしばる。


「空間座標が固定されてない……層が違う!」


 リシアは目を閉じて必死に耐える。


「気持ち悪い……上下がずっと変……」


 ネアは静かに言った。


「もう地上じゃない」


 レインは落ちながら、剣を握り直す。


「で、どこに行ってんだこれ」


 ゼノスが答える。


『“層間空白域”だ』


「名前だけそれっぽいのやめろ」


『事実だ』


 間。


『上層と下層の“間に落ちた場所”』


 その瞬間――


 視界が切り替わる。


 青い空は消える。


 代わりに現れたのは、巨大な“逆さの大地”。


 空に大地が貼り付いている。


 地面には空が埋まっている。


 世界がひっくり返っているのではない。


 “設計が上下を放棄している”。


 ミナが言葉を失う。


「……なにこれ」


 セリアが呟く。


「世界の裏側……」


 リシアは震える。


「空が……地面に埋まってる……」


 ネアは静かに言う。


「ここが地下」


 レインは足をつける。


 着地した瞬間、地面は“金属”だった。


 だが同時に“肉”のようでもあり、“記憶”のようでもある。


 踏んだ瞬間、微かに過去の声がする。


『整合性確認中』


『管理層接続失敗』


 ミナが後ずさる。


「今の聞こえた!?聞こえたよね!?」


 セリアが周囲を見渡す。


「音じゃない……残響データ?」


 リシアが青ざめる。


「ここ……死んでない場所なの?」


 ネアは地面を見たまま言う。


「違う」


「“死ぬ前に止められた場所”」


 レインは剣を肩に担ぐ。


「つまり墓場か」


 ゼノスが静かに言う。


『管理失敗領域だ』


「はっきり言えよ」


『言うならば――』


 間。


『“旧世界の廃棄場”だ』


 その瞬間、地面の奥から“光”が走る。


 それは魔法でも炎でもない。


 コードのような光。


 世界そのものの内部構造が、薄く浮かび上がる。


 ミナが息を呑む。


「これ……建物じゃない……」


 セリアが顔をしかめる。


「システムそのものが露出してる……」


 リシアが震える。


「地下っていうより……中身……」


 ネアは静かに言った。


「ここが“本当の管理層”」


 レインは光の走る地面を見下ろす。


「じゃあ上で見てたのは何だったんだよ」


 ゼノスが答える。


『影だ』


「影?」


『本体を隠すための、観測用ダミー層』


 ミナが顔をしかめる。


「じゃあさ、今まで戦ってたやつって……」


 セリアがゆっくり言う。


「全部“影のさらに上”ってことね」


 リシアは小さく呟く。


「本物、まだ出てない……」


 ネアは静かに言う。


「出てる」


 全員が振り向く。


 ネアは地面を指さす。


「もうずっと、見られてる」


 その瞬間。


 地面が“目”の形に割れる。


 上でもない。


 下でもない。


 横でもない。


 ただ、“観測されるためだけの構造”が開く。


 そして――


 そこから声がした。


『ようこそ』


 ミナが後ずさる。


「いや誰ぇぇぇぇぇ!!」


 セリアが構える。


「今度は“本体”……!」


 リシアが震える。


「もう無理……」


 レインは剣をゆっくり構える。


「やっと会えたな」


 ネアは小さく呟く。


「管理者の失敗作じゃない」


「これが“管理そのもの”」


 地面の目が、ゆっくり開く。


 世界の裏側が、ついにこちらを認識する。

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