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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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世界を壊す者

「……は?」


 レインは固まった。


 ミナも耳をぴくりと震わせる。


「ちょっと待って。それどういう意味?」


 セリアは感情の薄い瞳のまま答えた。


「言葉通り」


「いや全然分かんないんだけど!?」


 ミナが声を上げる。


 だがセリアは淡々としていた。


「“継承者”は、この世界では存在してはいけない力。確認されている限り、過去に現れた継承者は全員、最終的に世界規模の災害を引き起こしている」


 レインの背筋が冷える。


「……そんなの、俺がやったみたいな言い方だな」


「まだやってない」


 セリアは即答した。


「でも可能性はある」


「おい」


 思わず声が低くなる。


 だがセリアは視線を逸らさなかった。


「あなた、自分で分かってるはず。あの戦いの時、自分じゃない感覚が流れ込んできたでしょ」


「……」


 否定できない。


 剣聖ゼノス。


 知らない記憶。


 知らない戦い。


 あれは異常だった。


「継承は、力だけを奪う能力じゃない」


 セリアが続ける。


「記憶、人格、感情……全部流れ込む。継承を繰り返せば、いずれ“自分”が壊れる」


 レインは拳を握る。


 夢の中のゼノスを思い出す。


 あれは本当に夢だったのか?


「じゃあ……俺はどうなるんだ」


「分からない」


 セリアは静かに答える。


「でも黒い月が出た時点で、もう普通じゃない」


 その言葉に、診療所の空気が重くなる。


 黒い月。


 あれが現れてから全てが始まった。


 その時。


 コンコン、と扉が叩かれた。


「入るぞ」


 ガルドだった。


 村長は部屋へ入るなり、レインを見た。


「起きたか」


「……村長」


 ガルドは腕を組み、セリアへ視線を向ける。


「話は済んだか」


「ある程度は」


 どうやら二人は既に話していたらしい。


 レインは違和感を覚える。


「……知り合いなのか?」


「昨日知ったばかりだ」


 ガルドは椅子へ腰を下ろした。


「だが、この嬢ちゃんは王都の魔法学院所属らしい」


「王都……?」


 辺境村のレインからすれば、ほとんど別世界だ。


 セリアは短く頷く。


「調査任務中だった。黒い月の観測と、高位魔物の異常発生について」


「つまり、あの化け物は偶然じゃないってことか」


「うん」


 セリアは窓の外を見る。


 昼なのに、空には薄く黒い月が浮かんでいた。


「黒月出現以降、各地で魔物が異常進化してる」


 ガルドが低く呟く。


「……嫌な時代になりそうだ」


 その時だった。


 外から慌ただしい足音が聞こえる。


「村長!!」


 若い男が飛び込んできた。


「大変です! 森にまた魔物が!」


「数は!?」


「わ、分かりません! でも……」


 男の顔が青ざめる。


「全部、赤い目をしてます……!」


 部屋の空気が凍った。


 ガルドが立ち上がる。


「チッ、早すぎる……!」


 セリアも即座に窓へ向かった。


「黒月の影響が広がってる」


 レインはベッドから降りる。


「俺も行く」


「駄目!」


 ミナが即座に止めた。


「三日寝込んでたんだよ!?」


「でも――」


「でもじゃない!」


 珍しく強い口調だった。


 ミナの耳が怒ったように立っている。


「また倒れたらどうすんの!」


 レインは言葉に詰まる。


 するとセリアがこちらを見た。


「……来るなら止めない」


「セリア!?」


「ただし」


 セリアの青い瞳が細められる。


「死ぬ可能性は高い」


 レインは苦笑した。


「それ、脅しになってない」


「本気」


 セリアは真顔だった。


 だがレインは窓の外を見る。


 不安そうに逃げる村人たち。


 泣いている子供。


 震えている大人。


 そして頭の中に蘇る、“前世の後悔”。


『また守れなかった』


 あの感覚を、もう味わいたくない。


 レインはゆっくり立ち上がる。


「……俺、行くよ」


 ミナが唇を噛む。


 数秒沈黙した後。


「……じゃあ私も行く」


「え?」


「一人で行かせるわけないでしょ」


 ミナは腰の短剣を抜く。


 震えていた。


 怖いのだ。


 それでも、逃げない。


 レインは少し笑った。


「無茶するなよ」


「それ、今のレインが言う?」


 その時。


 セリアが小さく呟いた。


「……変」


「何が?」


「普通の人間なら、継承者を怖がる」


 だがミナは即答した。


「レインはレインだもん」


 セリアは少しだけ目を見開いた。


 まるで、理解できないものを見るように。


 そして。


 診療所の外から、獣の咆哮が響く。


 戦いが、また始まろうとしていた。

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― 新着の感想 ―
おはよう! 感想失礼します。 継承者が人類の希望となるのか滅亡の引き金なのか……という設定がワクワクした! 主人公の前世どんな過酷な人生だったのだろう?
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