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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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残響

空は、確かに元に戻っていた。


 王都の風も、人の声も、遠くの鐘の音も戻っている。


 それでも――どこかが“ひとつずれている”。


 レインは地面に片膝をついたまま、ゆっくりと息を吐いた。


「……終わった、んだよな?」


 問いというより確認だった。


 ゼノスはすぐには答えない。


 その沈黙が、いつもより重い。


『表層干渉は終了した』


 ミナが駆け寄る。


「レイン!!」


 勢いよく肩を掴む。


「ほんとに戻ってる!?どこも欠けてない!?」


「うるせぇ……痛ぇ……」


 セリアも息を吐く。


「空間の異常値、消失……少なくとも“見える範囲”では正常ね」


 リシアは涙を拭いながら笑う。


「よかった……」


 ネアだけが、まだ空を見ていた。


「……違う」


 小さく。


 誰にも届くかどうかの声で。


 レインが顔を上げる。


「何が違うんだよ」


 ネアは空の奥を指さす。


「まだいる」


 その瞬間。


 空の“奥行き”がわずかに揺れた。


 ――キィン。


 耳鳴りのような音。


 レインの視界の端に、一瞬だけ“ノイズ”が走る。


 ミナが首をかしげる。


「今、なんか変じゃなかった?」


 セリアは眉をひそめる。


「魔力反応……また薄くなってる?」


 リシアが不安そうに空を見る。


「戻ってきてるんじゃなくて……“上書きの跡”が残ってる?」


 ゼノスが静かに言う。


『残響だ』


 レインが立ち上がる。


「残響?」


『起源接触の痕跡だ』


 その言葉で、空気が少し冷える。


 ネアは静かに言った。


「完全には消えてない」


「むしろ、刻まれてる」


 レインは空を睨む。


「刻まれてるって何にだよ」


 ゼノスは答える。


『世界そのものだ』


 沈黙。


 ミナが小さく呟く。


「それ、やばいやつじゃん……」


 セリアも苦い顔をする。


「一度“外”と繋がった以上、痕は残る……」


 リシアは不安げに言う。


「また来るの?」


 ゼノスは一瞬だけ間を置いた。


『来る』


『ただし“同じ形では来ない”』


 レインが舌打ちする。


「一番嫌なやつじゃねぇかそれ」


 そのときだった。


 ――パキ。


 ごく小さな音。


 誰も気づかないほど小さな。


 だが確かに“世界のどこか”が割れた音。


 ネアだけが顔を上げる。


「……今の」


 レインも気づく。


「聞こえた」


 ミナが周囲を見る。


「え、どこ?」


 セリアが魔法を展開する。


「反応なし……でも確かに……」


 リシアの声が小さくなる。


「見えない場所で……何かが」


 ゼノスが静かに言う。


『始まったな』


 レインが剣に手を置く。


「何がだよ」


『再定義だ』


 空が、ほんのわずかに“ずれる”。


 青は青のまま。


 だがその奥に、別の層が重なっていく。


 レインはそれを見上げる。


「……またかよ」


 ミナが小さく笑う。


「休ませてくれない感じ?」


 セリアはため息をつく。


「むしろこれからが本番でしょ」


 リシアは静かに言う。


「終わらなかったね」


 ネアは最後に呟く。


「ううん」


「終わり方が変わっただけ」


 レインは剣を肩に担ぐ。


「ならいい」


「来るなら来い」


 ゼノスが静かに締める。


『世界は修正を続ける』


『お前はそれに対する“誤差”だ』


 レインは空を見上げる。


「誤差上等だ」


 その言葉と同時に。


 空の奥で、もう一つの“視線”が目を開いた。

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