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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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侵食の意思

――パキィィン。


 今度の音は、確かに“聞こえた”。


 王都の誰かが空を見上げる。


 商人が手を止める。


 子供が泣き止む。


 世界が一瞬だけ、同じ方向を見た。


 空に走った亀裂は、すぐには消えなかった。


 黒い線が、じわりと広がる。


「……まずい」


 レインの声は低かった。


 義腕が熱い。


 ゼノスが静かに告げる。


『第二層、開口』


 ミナが空を見上げる。


「なにあれ……今までよりデカくない?」


 セリアの顔が強張る。


「空間そのものが裂けてる……!」


 ネアは一歩後ろに下がった。


「違う……これ」


 震える声。


「“門”じゃない」


 その言葉と同時。


 空の裂け目から、“何か”が覗いた。


 最初は影だった。


 だが次の瞬間――


 それは“目”になった。


 巨大な、世界そのもののような瞳。


 赤い。


 だが門の主とは違う。


 もっと静かで。


 もっと観察している。


『観測開始』


 声が響いた。


 だが、誰の耳にも直接ではない。


 “脳に流れ込む”声。


 ミナが頭を押さえる。


「っ……なにこれ……!」


 セリアも顔を歪める。


「精神干渉……!」


 レインは一歩前に出た。


「おい」


 空に向かって叫ぶ。


「聞こえてんのか」


 沈黙。


 そして。


『確認:終焉因子』


 淡々とした声。


 感情がない。


 機械でもない。


 ただ“記録する存在”。


 ネアが息を呑む。


「……やっぱり」


「何がだ」


「これ、“向こう側の意思”」


 空の目がゆっくり動く。


 レインを見る。


『個体識別:レイン』


 ゼノスが低く呟く。


『やつは門の主じゃない』


「じゃあ何だよ」


『“上位観測体”だ』


 空間が揺れる。


 王都の建物がわずかに歪む。


 存在が“見られている”だけで、世界が不安定になる。


『評価:危険度上昇』


 目が細くなる。


『抹消推奨』


 その瞬間。


 空が“開いた”。


 ――ズズズズズッ!!


 空そのものが裂ける。


 そこから降りてきたのは、形を持たない影だった。


 だがその影は、見るたびに形を変える。


 剣にも。


 人にも。


 獣にも。


 “認識できない存在”。


 セリアが叫ぶ。


「存在が安定してない!!」


 ミナが短剣を構える。


「意味わかんない敵増やさないで!!」


 影はゆっくり降りてくる。


 音もなく。


 ただ確実に。


 レインは《アークヘリオン》を抜いた。


「……こいつは門の主より嫌な感じだな」


 ゼノスが答える。


『あれは“侵食を管理する側”だ』


「管理?」


『世界を壊すのではなく、最適化する存在』


 レインの目が細くなる。


「つまり?」


『不要なら消す』


 影が一瞬で動いた。


 消えた。


 次の瞬間。


 レインのすぐ横の空間が“欠落”した。


「――ッ!!」


 ミナが叫ぶ。


「レイン避けて!!」


 だがレインはすでに動いていた。


 義腕を前に出す。


 蒼黒の光が弾ける。


「《終律障壁》!!」


 ズガァァァァン!!


 欠落と障壁がぶつかる。


 空間が悲鳴を上げる。


 セリアが歯を食いしばる。


「防げるの……!?」


 レインは笑った。


「ギリな」


 影が止まる。


 そして、再び声。


『適合率:測定不能』


 沈黙。


『……興味深い』


 空気が変わる。


 “抹消”ではなく。


 “解析”。


 その視線に変わった瞬間。


 レインは確信した。


「こいつ、まだ本気出してない」


 ゼノスが答える。


『ああ』


『これは“調査”だ』


 空の亀裂が、さらに広がる。


 第二層の“目”が、王都を見下ろしていた。


 そして――


 新たな声が響く。


『対象:保存候補』


 レインの背筋が冷える。


「……保存?」


 その言葉の意味を理解した瞬間。


 世界が、静かに終わりへ向かい始めていた。



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