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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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崩れない静寂

 王都の復興は、驚くほど速かった。


 それは魔法技術の力もある。


 だが何より――


 「終わらせた者」が、そこに立っていたからだ。


 レイン=アルス。


 黒い塔を壊し、門の主を倒した存在。


 人々は彼を英雄と呼び始めていた。


 だが本人は、瓦礫の上でぼんやりしていた。


「英雄ねぇ……」


 ミナが隣に座る。


「なんか文句あるの?」


「いや、慣れねぇ」


「そりゃそうでしょ」


 セリアは少し離れた場所で王都の魔法結界を再調整していた。


 その横顔はいつも通り冷静だ。


 ただ、ほんの少しだけ肩の力が抜けている。


 リシアは人々の手伝いをしていた。


 もう“逃げる少女”ではない。


 ちゃんとここに立っている。


 ネアはというと。


 少し離れた噴水の前で、ぼんやり空を見ていた。


「……向こう側」


 小さく呟く。


 もう誰もいない“向こう側”。


 その言葉は、どこか遠い夢のようだった。


 その夜。


 王都の上空。


 誰もいない塔の跡地。


 そこに、ひびが走った。


 パキ…ッ。


 空間そのものが割れる音。


 だが、誰も気づかない。


 ひびはすぐに消える。


 しかし――


 その奥。


 “何か”が、確かに見ていた。


 翌日。


 レインはひとりで城壁の外にいた。


 風が強い。


 戦いの後の、妙に静かな風。


 《アークヘリオン》は鞘に収まっている。


 右腕の義腕は、まだ少し慣れない。


「……終わったはずなんだけどな」


 ぽつりと呟く。


 その時。


 ゼノスの声がした。


『終わっていない』


「知ってる」


 即答だった。


 ゼノスは少し沈黙する。


『気づいていたか』


「さっきから空がうるさい」


 レインは空を見上げる。


 そこには何もない。


 ただの青空。


 なのに。


 “向こう側”の気配が、薄く混ざっている。


『門は完全には閉じていない』


「だろうな」


『今回のは“第一門”に過ぎない』


 レインの目が細くなる。


「第一?」


『まだ複数ある』


 風が止まる。


 空気が一瞬だけ重くなる。


 レインは小さく笑った。


「マジかよ」


『次はもっと大きい』


「嫌な予告すんな」


 ゼノスは淡々と続ける。


『だが、お前なら壊せる』


「簡単に言うな」


 少し間。


 レインは空を見たまま言う。


「なぁゼノス」


『なんだ』


「俺、まだ人間か?」


 静寂。


 風の音だけが続く。


 やがてゼノスは答えた。


『半分だ』


「曖昧だな」


『だが“人間であることを選んでいる”』


 その言葉に、レインは少し目を細める。


「なら、それでいい」


 その瞬間。


 背後から声。


「レイン!」


 ミナだった。


「また一人でカッコつけてる!」


「つけてねぇよ」


「つけてる!」


 セリアもやってくる。


「結界の再構築が終わった。戻るわよ」


 リシアも小さく手を振る。


 ネアも、少し遅れてやってくる。


「……またここにいるの?」


 レインは振り返る。


 そして少し笑った。


「ああ」


 空を見上げる。


 何もない空。


 でも、もう怖くはない。


「次が来るなら」


 剣の柄に手を置く。


「その時も、ぶっ壊すだけだ」


 ミナが呆れた顔で笑う。


「結論それなんだ」


「それ以外あるか?」


 セリアはため息をつく。


「相変わらずね」


 リシアは少しだけ微笑む。


 ネアは空を見上げたまま、小さく呟いた。


「……本当に変な世界」


 風が吹く。


 空は青い。


 だがその奥で――


 微かな“ひび”は、確かに広がり始めていた。

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