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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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残響

 王都の空は、ゆっくりと色を取り戻していく。


 黒い月は完全に消え、侵食の気配も薄れていた。


 それでも、街は静かだった。


 崩れた建物。


 倒れた騎士。


 焼けた地面。


 戦いが“終わった”というより、「一度止まった」だけの光景だった。


 レインは瓦礫の上に座り込んでいた。


 左目の蒼黒の光はまだ微かに揺れている。


「……疲れた」


 素直な一言。


 ミナが横から肘でつつく。


「当たり前でしょ。何回死にかけたと思ってるの」


「数えてたのかよ」


「途中から数えるのやめた」


「雑すぎる」


 セリアは周囲を見渡しながら呟く。


「黒い塔は……消えた」


 その言葉に、全員の視線が塔のあった場所へ向く。


 そこにはもう、何もなかった。


 ただの大穴。


 まるで最初から何も存在していなかったかのように。


 リシアが小さく言う。


「……門が閉じた」


 ネアはその横で、両手を見つめていた。


「私……まだ生きてるんだ」


 ぽつりと。


 実感のない声。


 レインは少しだけ彼女を見る。


「当たり前だろ」


「でも、私は“器”だったのに」


「だった、だろ」


 レインは肩をすくめる。


「今は違う」


 その一言で、ネアの目が揺れた。


 何かを言いかけて、やめる。


 その代わり、小さく頷いた。


 エルドは静かに剣を収める。


『王都防衛部隊、残存者を救助中』


「……生きてる奴、まだいるのか」


『はい』


 レインは少しだけ空を見上げた。


 戦いは終わった。


 でも、終わっていない。


 その時だった。


 ゼノスの声が低く響く。


『レイン』


「なんだよ」


『お前の中の“終焉権限”は完全には消えていない』


 レインの左目が微かに光る。


「……やっぱりな」


『今回の戦いで、“門の残滓”が少し混ざった』


「つまり?」


『お前はもう“人間だけ”ではない』


 ミナが眉をひそめる。


「それ、今言う?」


『重要なことだ』


 セリアが真剣な顔になる。


「暴走の可能性は」


『低い。だがゼロではない』


 空気が少し重くなる。


 レインは苦笑した。


「まあ、今さらだろ」


 ミナが即座に言う。


「いやいやいや、今さらで済ませる話じゃないからね?」


「でももう生きてるし」


「だからって軽い!」


 リシアが小さく笑う。


 その笑いは、以前より少しだけ自然だった。


 ネアもぽつりと呟く。


「……変なの」


「何が」


「あなたたち」


 彼女は少しだけ空を見る。


「世界が終わりかけたのに、そんな顔してる」


 セリアは肩をすくめる。


「慣れたくはなかったけどね」


 ミナは即答する。


「慣れてたまるかって感じ」


 レインは笑った。


「だな」


 その瞬間。


 遠くから鐘の音が響いた。


 王都の再起動。


 生きている証。


 崩れた世界が、少しずつ戻っていく音だった。


 だが。


 その鐘の音の裏で。


 誰も気づいていない場所。


 黒い“ひび”が、ほんの一瞬だけ空に走った。


 そしてすぐに消える。


 まるで。


 まだ何かが見ているように。


 レインはそれを、ほんの一瞬だけ感じた。


「……気のせいか」


 そう呟いて、立ち上がる。


 仲間たちもそれに続く。


 戦いは終わった。


 でも。


 物語はまだ続く。


 そんな予感だけが、確かに残っていた。

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