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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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帰還

光の中で、意識がほどけていく。


 レインの身体はすでに“輪郭”を失いかけていた。


 冷たいわけでも、痛いわけでもない。


 ただ、世界から切り離されていく感覚。


『レイン!!』


 ミナの声が遠く響く。


『戻ってきなさい!!』


 セリアの叫び。


『聞こえていますか!!』


 リシアの必死な声。


 ネアの、小さな祈りのような声。


『……お願い』


 その声たちが、レインの中に残っていた。


 まだ、繋がっている。


 ゼノスが静かに言う。


『まだ完全には消えていない』


「……そうかよ」


 レインは薄く笑う。


「しぶといな、俺も」


『お前の意志が残っている限り、戻れる可能性はある』


「それ、どれくらいだよ」


『知らん』


「即答かよ」


 だが、そのやりとりが少しだけ現実感を戻した。


 崩壊する狭間世界の中。


 レインの前に、ひとつの“裂け目”が開く。


 向こう側。


 光の世界。


 王都ルクセリアの空気。


 仲間たちの気配。


『行け』


 ゼノスが言う。


『ここに残れば、完全に消える』


 レインは裂け目を見る。


 向こうでは、ミナたちが必死に何かを叫んでいる。


 必死な顔。


 泣きそうな顔。


 怒っている顔。


 全部が見えた。


 その瞬間。


 レインは一歩踏み出そうとして――止まる。


「……なぁ」


『なんだ』


「終焉王」


 少し沈黙。


 そして、遠くから声。


『いるさ』


「お前さ」


 レインは少しだけ笑った。


「最後まで諦めてたよな」


 終焉王の気配が揺れる。


『……そうだな』


「でも俺は違う」


 レインは裂け目を見る。


 その先。


 まだ続いている世界。


「終わった後も、生きるって決めてる」


 その言葉に。


 終焉王は何も返さなかった。


 ただ、静かに。


『なら、行け』


 レインは頷く。


 そして。


 光へ飛び込んだ。


 ――王都ルクセリア。


 崩壊しかけた空。


 消えかけていた黒い月。


 その中心に、光が落ちてくる。


「……来る」


 セリアが呟く。


 ミナが息を呑む。


「レイン……!」


 リシアが手を伸ばす。


 ネアは震えながら見上げる。


 光が収束する。


 そして。


 ドサッ。


 地面に落ちる影。


 静寂。


 次の瞬間。


「……いてぇ」


 その声に。


 全員が一斉に振り向いた。


 そこにいたのは。


 腕を失い、ボロボロになりながらも。


 笑っているレインだった。


「……帰ってきた」


 ミナの目から涙が溢れる。


「バカぁぁぁぁぁぁ!!」


 飛びつく。


「重い!!」


「うるさい!!」


 セリアは肩の力を抜き、大きく息を吐いた。


「……本当に、しぶとい」


 リシアはその場に崩れ落ちる。


「よかった……」


 ネアは小さく呟いた。


「生きてる……」


 空。


 黒い月は、完全に消えていた。


 王都の空が、久しぶりに“普通の空”に戻っていく。


 だが。


 レインの左目だけが、まだ蒼黒に光っていた。


 ゼノスの声が静かに響く。


『終わりではない』


 レインは空を見上げる。


「分かってる」


 その表情は、もう戦いの後ではなかった。


 次へ進む者の顔だった。



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