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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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器として生まれた少女

「……え」


 ネアの声が震える。


 巨大な赤い瞳が、冷たく彼女を見下ろしていた。


『役目は終わりだ』


 黒い塔が脈動する。


 ズズズズ……。


 塔の表面から、無数の黒い鎖が伸び始めた。


 ネアの顔が青ざめる。


「ま、待って」


 鎖が彼女へ向かう。


「違う……私は……!」


『お前は門を開くための器』


『それ以上でも以下でもない』


 ネアが後退する。


 金色の瞳に浮かぶのは、恐怖だった。


 今まで信じていたもの。


 “向こう側”の存在。


 救済。


 それが全部、嘘だった。


「いや……」


 黒い鎖が彼女の腕へ巻きつく。


「いやぁぁぁッ!!」


 黒炎が爆発する。


 だが。


 鎖は壊れない。


 逆に、炎を吸収している。


 レインは即座に飛び出した。


「エルド!!」


『御意!』


 蒼黒と漆黒の光が走る。


 《アークヘリオン》が鎖を斬り裂いた。


 ガギィィィン!!


 硬い。


 だが、斬れる。


 ネアが目を見開く。


「……なんで」


「今それ聞くか!?」


 レインは叫ぶ。


「敵だったとしても、見捨てられるかよ!!」


 ネアの瞳が揺れる。


 その時。


 巨大な赤い瞳が笑った。


『愚か』


 空間が裂ける。


 そこから、“腕”が現れた。


 以前見たものとは比較にならない。


 山ほどもある巨大な黒い腕。


 王都全体を掴めるほど。


 騎士たちが絶望する。


「なんだよ……あれ……」


「勝てるわけ……」


 腕が降りてくる。


 空が消える。


 圧倒的な質量。


 レインは歯を食いしばった。


「セリア!!」


「分かってる!!」


 巨大な魔法陣が展開される。


「《氷天結界》!!」


 王都を覆うほどの氷壁。


 次の瞬間。


 黒い腕が激突した。


 ドォォォォォォォォン!!


 王都全体が揺れる。


 氷壁に亀裂。


 セリアが吐血した。


「かはっ……!」


「セリア!!」


「まだ……!」


 彼女は必死に結界を維持する。


 だが長くは持たない。


 ネアは呆然と空を見ていた。


「……違う」


 震える声。


「こんなの、違う……」


 黒い鎖が再び伸びる。


『器を回収する』


『門を開け』


『終わらせろ』


「いや……」


 ネアが頭を抱える。


 その時。


 レインが彼女の前へ立った。


 ネアが目を見開く。


「どいて……!」


「断る」


「私に近づいたら危ない!」


「知るか!」


 レインは《アークヘリオン》を構える。


 蒼黒の光が溢れる。


「お前、助けたかったんだろ」


 ネアの瞳が揺れる。


「……え」


「間違えただけだ」


 その言葉。


 ネアの呼吸が止まる。


 彼女はずっと否定されてきた。


 化け物。


 器。


 危険。


 そう呼ばれ続けてきた。


 なのに。


 レインは初めて、“間違えただけ”と言った。


 ネアの目から涙が零れる。


「……私は」


 震える声。


「怖かっただけなの」


 世界が。


 人が。


 苦しみが。


「向こう側は優しかった」


 でも。


 違った。


 全部利用されていた。


 レインは静かに言う。


「だったら今度は、こっちでやり直せ」


 ネアが泣きながら笑う。


「……変なの」


 その瞬間。


 巨大な赤い瞳が、明確な怒気を放った。


『不要な感情を持つな』


 空が裂ける。


 さらに巨大な腕が現れる。


【門 接続率:57%】


 ゼノスが叫ぶ。


『まずい!! 塔が完全起動するぞ!!』


 塔の表面に、無数の目が開く。


 王都中に悲鳴が響いた。


 ネアが震えながら塔を見る。


「……止めないと」


「方法は!?」


 ネアは苦しそうに言う。


「塔の最上階に、“核”がある」


 レインの瞳が鋭くなる。


「壊せば止まるのか」


「多分……でも」


 ネアの顔が青ざめる。


「核には、“門の主”がいる」


 空気が凍る。


 巨大な赤い瞳たち。


 その中心。


 “本体”。


 レインは空を見上げる。


 黒い月。


 赤い瞳。


 巨大な塔。


 全部が、世界の終わりへ向かっていた。


 だが。


 レインは《アークヘリオン》を握り締める。


「……行くしかねぇだろ」


 ミナが横に並ぶ。


「だね」


 セリアも息を整えながら立ち上がった。


「付き合う」


 リシアが小さく頷く。


「今度は、逃げない」


 エルドが剣を掲げる。


『我らが道を切り開きます』


 ネアは呆然と彼らを見る。


 そして。


 小さく笑った。


「……あったかいんだね」


 その時。


 塔の最上階から、異様な咆哮が響いた。

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