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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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黒炎の少女

王都の空気が凍りつく。


 黒炎を纏う少女。


 その周囲だけ、空間が歪んでいた。


 まるで現実そのものが拒絶しているようだった。


 騎士たちが震える。


「あれが……塔の化け物……」


「違う」


 セリアが低く呟く。


「あれは継承者」


 少女の金色の瞳が、レインだけを見つめていた。


 まるで他の存在が視界に入っていない。


 その目には。


 狂気と。


 強烈な執着が混ざっていた。


「……来てくれた」


 少女が小さく笑う。


 黒い炎が揺らめく。


 レインは《アークヘリオン》を構えた。


「お前が第三継承者か」


「そう呼ばれてるみたい」


 少女は首を傾げる。


 その動作は普通の人間と変わらない。


 なのに。


 恐ろしい。


 本能が警告している。


【危険度:測定不能】


『気をつけろ』


 ゼノスの声が重い。


『あれは半分、人間じゃない』


 レインの背筋が冷える。


 少女は一歩前へ出た。


 その瞬間。


 城壁に亀裂が走る。


 ただ歩いただけで、空間が悲鳴を上げていた。


「私はネア」


 少女は名乗った。


「ずっと待ってた」


「……何を」


 ネアは笑う。


 どこか嬉しそうに。


「終焉王の後継者」


 レインの瞳が揺れる。


 周囲の騎士たちがざわつく。


「終焉王だと……?」


「まさか……」


 ミナがレインを見る。


 レインは黙ったままだ。


 ネアはさらに近づく。


「あなた、似てる」


 金色の瞳。


 終焉王を見ているようだった。


「同じ匂いがする」


「……違う」


「ううん」


 ネアは首を振る。


「でも、まだ中途半端」


 黒炎が揺れる。


「だから迎えに来たの」


 その瞬間。


 塔の方から、無数の黒い手が伸びた。


 空を覆うほど。


 騎士たちが悲鳴を上げる。


「うわぁぁぁ!?」


「また来るぞ!!」


 だが。


 黒い手は、ネアの後ろで止まった。


 まるで彼女に従っているように。


 ネアは静かに言う。


「この子たち、寂しかったんだって」


 ゾッとする。


 世界外の存在と会話している。


 しかも。


 普通に。


 リシアが震える声を漏らした。


「完全接続……」


 セリアも顔色を失う。


「ありえない……」


『いや、ありえる』


 ゼノスが低く呟く。


『あの娘は“器”として完成している』


「器……?」


『世界外の存在を受け入れるための、完全な継承者だ』


 最悪だった。


 ネアは笑いながらレインへ手を伸ばす。


「一緒に来よう?」


「断る」


 即答。


 ネアはきょとんとした。


「どうして?」


「お前らが危険だからだ」


「危険?」


 ネアは不思議そうに周囲を見る。


 崩れた街。


 怯える人々。


 黒い塔。


 でも。


 本当に分かっていない顔だった。


「私は、みんなを救おうとしてるのに」


 その言葉に、レインは目を細める。


 終焉王と同じだ。


 壊すことで救おうとしている。


 ネアは寂しそうに呟く。


「向こう側には、争いも痛みもないよ?」


「……だから世界を繋げるのか」


「うん」


 ネアは嬉しそうに頷いた。


「そうしたら、みんな苦しまなくて済む」


 騎士たちの顔が青ざめる。


 彼女は本気だ。


 悪意ではない。


 本気で救済だと思っている。


 だからこそ危険だった。


 レインは静かに《アークヘリオン》を握る。


「それで人が人じゃなくなるなら、意味ないだろ」


 ネアの表情が止まる。


「……どうして」


「生きるってのは、苦しいだけじゃない」


 ミナを見る。


 セリア。


 リシア。


 エルド。


 みんながいる。


「辛いことがあっても、笑える時だってある」


 ネアは黙ってレインを見つめた。


 金色の瞳が揺れる。


「……分からない」


 その瞬間。


 塔が脈動した。


 ドクン。


 空が黒く染まり始める。


【門 接続率:42%】


 ゼノスの声が響く。


『まずい、塔が反応している!』


 ネアも驚いたように振り向く。


「え……?」


 次の瞬間。


 塔の表面に、巨大な“目”が開いた。


 王都全体より巨大な赤い瞳。


 空が割れる。


 無数の声が響く。


『開く』


『開く』


『門が開く』


 ネアの顔から血の気が消えた。


「……違う」


 彼女が初めて怯えた声を出す。


「私は、こんなの望んで――」


 その瞬間。


 巨大な赤い瞳が、ネアを見下ろした。


『器を回収する』


 ネアが凍りつく。


 レインは即座に理解した。


 利用されていた。


 彼女は“救済”を与えられていたんじゃない。


 門を開くための鍵にされていた。




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