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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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森の怪物

「……な、に……あれ……」


 ミナの声が震える。


 森の奥に立つ黒い影は、あまりにも巨大だった。


 木々より高い。


 まるで山そのものが動いているような圧迫感。


 赤い目だけが、闇の中で不気味に光っていた。


 次の瞬間。


 ォォォォオオオオオオオオオ――――!!


 咆哮。


 空気が震え、窓ガラスが砕け散る。


「っ!」


 レインは反射的にミナを庇った。


 耳鳴り。


 胸が苦しい。


 だが頭の中の黒い文字だけは、異様なほど鮮明だった。


【高位個体:黒獣グラディウス】


【危険度:極大】


【推定討伐成功率:0.3%】


【警告:現在の個体では戦闘不可能】


「……戦闘不可能?」


 レインは息を呑む。


 あの魔狼ですらギリギリだった。


 なのに今度の相手は、比較にならない。


 その時、外から鐘の音が鳴り響いた。


 カン! カン! カン!


 村の緊急警鐘。


「総員、広場へ集まれぇぇ!!」


 ガルドの怒号が響く。


「レイン!」


「行こう!」


 二人は家を飛び出した。


 村の中央広場には、既に人が集まっていた。


 子供たちは泣き、大人たちは青ざめている。


 冒険者崩れの男たちが武器を持っているが、その顔に余裕はない。


 誰もが分かっていた。


 あれは勝てる相手ではない。


 ガルドが前へ出る。


「聞け!」


 村人たちが静まった。


「あの化け物は、この辺境に現れるレベルじゃねぇ!」


 怒鳴る声に焦りが混じっている。


「女と子供は地下避難所へ! 動ける男は迎撃準備だ!」


「む、無理だよ……」


「死ぬぞ……!」


 恐怖が広がっていく。


 その時。


 ズシン。


 地面が揺れた。


 化け物が、一歩進んだのだ。


 森の木々がなぎ倒される。


 距離が縮まってくる。


「ちっ……早すぎる……!」


 ガルドが歯噛みした。


 レインは拳を握る。


 逃げなければ。


 そう思う。


 だが同時に。


 頭の奥から、別の感情が溢れてきた。


 ――戦え。


 ――ここで逃げれば、全員死ぬ。


 知らない誰かの記憶。


 戦場。


 崩れる街。


 泣き叫ぶ人々。


『また守れなかった』


 激しい頭痛。


「ぐっ……!」


「レイン!?」


 ミナが支える。


 その瞬間だった。


【条件達成】


【継承者権限を一部解放します】


 黒い文字が現れる。


【スキル:《解析》を獲得しました】


 直後。


 世界が変わった。


「……え?」


 レインの視界に、無数の情報が流れ込む。


 化け物の筋肉。


 骨格。


 魔力の流れ。


 弱点。


 そして。


 胸部に、赤黒く脈動する巨大な核。


【推定弱点部位:心臓核】


【破壊成功時、行動停止率92%】


「見える……」


 レインは呆然と呟く。


「何がだ?」


 ガルドが振り返る。


 レインは巨大な黒獣を見つめたまま答えた。


「あいつの……弱点」


 一瞬、静寂。


 だが次の瞬間、周囲がざわついた。


「はぁ!?」


「何言ってんだ!?」


「相手は災害級だぞ!」


 当然の反応だった。


 しかしガルドだけは真剣な目をしていた。


「……本当か」


「胸の中央です。赤い核みたいなのがある」


 ガルドの顔色が変わる。


「魔核か……?」


「村長?」


「高位魔物は核を持つ場合がある。だが普通は外から見えねぇ」


 レインを見る目が鋭くなる。


「お前、本当に何者だ」


「……分かりません」


 その答えしか出なかった。


 だが。


 ォォォォォオオオ!!


 黒獣が再び咆哮を上げる。


 そして。


 走った。


「――来るぞぉぉぉ!!」


 地面を砕きながら、巨体が迫る。


 村人たちが悲鳴を上げた。


 レインの心臓が激しく脈打つ。


 逃げろ。


 無理だ。


 勝てない。


 そう思うのに。


 体の奥で、別の“自分”が囁く。


 ――剣を取れ。


 気づけば、レインは前へ出ていた。


「レイン!?」


「おい馬鹿!」


 ガルドが叫ぶ。


 だが止まれない。


 頭の中で、知らない技術が溢れてくる。


 踏み込み。


 呼吸。


 重心移動。


 剣技。


【継承人格との同期率上昇】


【第一戦闘記憶を一時解放します】


 その瞬間。


 レインの瞳が、一瞬だけ金色に染まった。

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