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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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概念切断

 蒼黒の斬撃が走る。


 だが。


 剣は、リシアの体に触れなかった。


 触れる寸前で停止している。


 空間が軋む。


 《アークヘリオン》の刃だけが、“現実ではない何か”へ届いていた。


【概念切断 開始】


 レインの視界が変わる。


 世界が反転した。


 黒。


 赤。


 無数の線。


 その中心。


 リシアの胸の奥に、巨大な黒い塊が見えた。


 心臓のように脈打っている。


 ドクン。


 ドクン。


 見るだけで吐き気がした。


【侵食核】


 その周囲には、無数の“手”が絡みついている。


 世界外の存在。


 あいつらが、リシアを掴んでいる。


『返せ』


『返せ』


『門を開け』


 頭に直接声が響く。


 レインは歯を食いしばる。


「うるせぇ……!」


 《アークヘリオン》を握り直す。


 だが。


 核はリシアの魂と融合しかけていた。


 下手に斬れば、彼女ごと壊れる。


『難しいぞ』


 ゼノスの声。


『お前の集中が切れた瞬間、全部終わる』


「分かってる……!」


 汗が落ちる。


 周囲では、リシアの体が激しく痙攣していた。


「ぁ……あああっ……!」


 侵食が暴れている。


 ミナが叫ぶ。


「レイン!!」


 セリアが魔法陣を維持しながら叫ぶ。


「急いで! 抑えきれない!」


 レインは呼吸を整える。


 見ろ。


 焦るな。


 核だけを斬る。


 その時。


 リシアの意識が、微かにこちらへ流れ込んできた。


 暗い部屋。


 一人の少女が座っている。


 銀髪。


 赤い瞳。


 まだ幼い。


『継承者適性あり』


 誰かの声。


『実験を開始する』


「……やだ」


 少女が震える。


 だが。


 大人たちは止まらない。


 黒い紋章。


 注がれる魔力。


 悲鳴。


 痛み。


『失敗作だ』


『侵食率が高すぎる』


『処分を――』


 少女は逃げた。


 一人で。


 ずっと。


 追われ続けながら。


 化け物になりかけながら。


 それでも。


 “誰かを傷つけたくなくて”。


「……ッ」


 レインの胸が痛む。


 リシアはずっと独りだった。


 怖かったはずだ。


 苦しかったはずだ。


 それでも、誰も巻き込みたくなくて逃げ続けた。


 だから。


「終わらせるかよ……!」


 レインの瞳が蒼黒に輝く。


【同期率上昇】


【概念把握 完了】


 見えた。


 核とリシアの境界線。


 ほんの一筋。


 そこだけを斬ればいい。


『できるか?』


 ゼノスの問い。


 レインは笑った。


「やるしかないだろ」


 《アークヘリオン》を振るう。


「――《終律断界》」


 蒼黒の一閃。


 世界が静止した。


 次の瞬間。


 黒い核へ、細い亀裂が走る。


『……ア』


 世界外の存在たちがざわめく。


『やめろ』


『やめろ』


『それは我らの』


「知るかぁぁぁぁッ!!」


 レインは剣を押し込む。


 核が悲鳴を上げる。


 黒い手がレインへ伸びる。


 だが。


『我が王に触れるな』


 エルドが前へ出た。


 漆黒の斬撃。


 黒い手を次々切り裂く。


 セリアも魔法を放つ。


「《氷天穿槍》!!」


 無数の氷槍が空を埋める。


 ミナも叫ぶ。


「レイン!! やっちゃえぇぇ!!」


 支えられている。


 一人じゃない。


 だから。


 レインは最後まで剣を振り抜いた。


「――斬れろぉぉぉぉぉッ!!」


 パキィィィィン!!


 黒い核が、砕け散った。


 静寂。


 次の瞬間。


 リシアの体から、黒い魔力が噴き出す。


「ッ!!」


【侵食核崩壊】


【反動発生】


 まずい。


 レインが目を見開く。


 崩壊したエネルギーが暴走する。


 このままでは周囲ごと吹き飛ぶ。


 だが。


 その時。


 リシアが、ゆっくり目を開けた。


 赤かった瞳が。


 少しだけ、普通の銀色へ戻っていた。


「……ありがとう」


 彼女が笑う。


 その瞬間。


 暴走が始まった。

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