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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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殺してほしい少女

「……は?」


 レインの思考が止まった。


 少女は震えている。


 だが、その赤い瞳は本気だった。


「私を殺さないと……門が開く」


「何言って――」


「本当なの!」


 少女が叫ぶ。


 その瞬間。


 黒い魔力が彼女の体から噴き出した。


 ドクン。


 空気が脈打つ。


【侵食率:86%】


 レインの顔色が変わる。


 さっきよりさらに上がっている。


 少女は苦しそうに胸を押さえた。


「……もう、限界」


 黒い紋章が腕を侵食していく。


 皮膚の下を、黒い線が走る。


 まるで何かが体内を這っているようだった。


 ミナが一歩下がる。


「な、なにこれ……」


 セリアが険しい顔で呟く。


「侵食が、肉体を乗っ取ろうとしてる……」


 少女はレインを見つめた。


「私は……失敗した継承者」


「失敗?」


「力に飲まれたの」


 声が震える。


「もう、抑えられない」


 レインは拳を握る。


「だからって、殺せってのかよ」


「そうしないと、みんな死ぬ」


 少女の目から涙が零れる。


「私は……もう長くない」


 レインは何も言えない。


 その時。


 ゼノスの声が響いた。


『事実だ』


 レインの瞳が揺れる。


『あの娘は、侵食核に近い』


「……侵食核?」


『門を開くための“楔”だ』


 嫌な予感。


 ゼノスは続ける。


『放置すれば、黒月側から完全接続される』


 レインの背筋が冷える。


 つまり。


 彼女を通して、“あいつら”が来る。


「……助ける方法は」


 沈黙。


 そして。


『ある』


 レインが顔を上げる。


『だが成功率は低い』


「教えろ」


『侵食核を切り離すしかない』


 セリアが反応する。


「そんなこと可能なの!?」


『本来なら不可能だ』


 ゼノスの声は重い。


『だが《アークヘリオン》なら、“概念”ごと斬れる』


 レインは少女を見る。


 苦しそうに息をしている。


「……名前」


 少女が微かに目を開ける。


「え?」


「お前の名前、聞いてない」


 少女は少し呆けた後、小さく笑った。


「……リシア」


「リシアか」


 レインは立ち上がる。


 《アークヘリオン》を抜いた。


 蒼黒の光が走る。


 ミナが息を呑む。


「レイン……?」


「助ける」


 リシアの瞳が揺れる。


「無理……だよ」


「無理かどうかは、やってから決める」


 レインは剣を構えた。


 ゼノスが低く告げる。


『失敗すれば、侵食が一気に爆発する』


「成功させる」


『お前も飲まれるかもしれん』


「それでもやる」


 静寂。


 そして。


 ゼノスは小さく笑った気がした。


『……本当に変わったな』


 レインはリシアの前へ立つ。


 侵食の黒い線。


 それが見えていた。


 心臓の奥。


 そこに、“核”がある。


【対象固定】


【侵食核を確認】


 だが。


 普通に斬れば、リシアごと死ぬ。


 必要なのは精密操作。


 概念だけを切り離す。


 超高難度。


 レインは深く息を吸う。


 ミナが不安そうに呟く。


「……大丈夫なの」


「分からん」


「分からんの!?」


「でも」


 レインは少し笑った。


「助けたいからやる」


 その言葉。


 リシアの瞳から涙が溢れた。


「……バカ」


 レインは《アークヘリオン》を構える。


 蒼黒の魔法陣が広がる。


【王権術式 起動】


【概念切断モード】


 空気が変わる。


 エルドが静かに跪いた。


『ご武運を』


 セリアも魔法陣を展開する。


「暴走したら、私が止める」


「頼む」


 リシアは目を閉じた。


「……怖い」


 小さな声。


 レインは少しだけ黙り。


 そして言った。


「大丈夫だ」


 その言葉に根拠なんてない。


 でも。


 今は、それを言いたかった。


 《アークヘリオン》が輝く。


 侵食核が脈動する。


 次の瞬間。


 レインは剣を振り下ろした。

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