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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第2シーズン第1章

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本体

 誰も言葉を発せなかった。


 E-マイナス1の表情は、今まで見たことがないほど険しかった。


 原初の終焉が現れた時ですら、ここまで動揺してはいなかった。


 その事実が、かえって状況の深刻さを物語っている。


 レインは裂けた空の向こうを見上げた。


 そこには、まだ何も見えない。


 だが確かに何かがいる。


 感じるのだ。


 空間そのものが押し潰されるような圧力を。


 まるで世界の外側全体が、一つの存在に押し広げられているかのようだった。


「本体ってどういう意味だ」


 レインの問いに、E-マイナス1はしばらく答えなかった。


 何かを思い出しているようだった。


 思い出したくもない記憶を。


「俺たちは勘違いしていた」


 ようやく絞り出された声は、かすかに震えていた。


「原初の終焉を、終わりそのものだと思っていた」


 風が吹く。


 崩れた空の破片が流れていく。


「だが違う」


 静寂。


「あれは端末だ」


 その言葉に、全員が固まった。


 端末。


 つまり、本体ではない。


 レインたちの前にいる巨大な白い存在ですら、何かの一部に過ぎないということだ。


「待て」


 第八席が眉をひそめる。


「あれが端末なら、本体はどれほどの大きさなんだ」


「大きさの問題じゃない」


 E-マイナス1は首を振った。


「本体は場所そのものだ」


 誰も意味が分からなかった。


 だが次の瞬間、原初の終焉がゆっくりと振り返る。


 今まで見たことのない動きだった。


 まるで背後にいる何かを恐れているように見える。


『来る』


 静かな声。


 だが、その中には明らかな緊張があった。


『目覚める』


 空の裂け目がさらに広がる。


 ゴゴゴゴゴゴッ、と重い音が響いた。


 世界の外側に漂っていた無数の残骸が、一斉に動き始める。


 砕けた大陸。


 滅びた都市。


 崩壊した星々。


 それらが渦を巻き、一つの方向へ引き寄せられていく。


 まるで巨大な重力源が現れたようだった。


 ミナが顔をしかめる。


「なんか嫌な予感しかしないんだけど」


「正解だ」


 男が即答する。


「俺も同じことを思ってた」


 だが、誰も笑わなかった。


 笑える状況ではない。


 裂け目の奥で、闇そのものが動いている。


 いや、正確には違う。


 闇だと思っていたものが、何かの影だったのだ。


 その影が、少しずつ姿を現していく。


 レインは息を呑んだ。


 大きい。


 そんな言葉では足りない。


 星が豆粒に見えるほどの巨大さだった。


 それは生物の形をしていなかった。


 人型でもない。


 怪物でもない。


 ただ、無数の光と闇が絡み合いながら広がる巨大な領域。


 まるで宇宙そのものが意思を持ったような存在だった。


 そして、その姿を見た瞬間。


 世界の外側から来た人々がざわめき始める。


「まさか……」


「あれは……」


「まだ残っていたのか」


 絶望に近い声が次々と上がる。


 レインは振り返った。


「知っているのか」


 最初に現れた黒マントの青年が苦笑する。


「知っているも何も」


 彼は空を見上げた。


「あいつに世界を終わらせられたんだ」


 静寂。


 誰も言葉を失う。


 終わった世界の住人たち。


 彼らの世界を滅ぼした存在。


 それが今、こちらへ近づいている。


 E-マイナス1は低く呟いた。


「名前はない」


 風が吹く。


「誰も名付けられなかった」


 それほど古い存在だった。


 世界が生まれる前からあったもの。


 原初の終焉ですら、その一部に過ぎないもの。


「だから俺たちは、こう呼んでいた」


 銀色の瞳が揺れる。


「無限の彼方」


 その瞬間。


 巨大な存在が脈動した。


 ドクン。


 世界そのものが揺れる。


 ドクン。


 塔が軋む。


 ドクン。


 空が砕ける。


 その鼓動一つで、現実が崩れていく。


 ゼノスの警告音が鳴り響いた。


『緊急警告』


『世界崩壊率上昇』


『六十三パーセント』


 数値が止まらない。


『六十八』


『七十二』


『七十七』


 どんどん上昇していく。


 そして。


 リユニオン計画の進行率も変化した。


『進行率』


『四十七パーセント』


 上がらない。


 止まっている。


 レインは気付いた。


 今のままでは足りない。


 地下世界。


 天界層。


 管理者。


 終わった世界。


 それらは繋がり始めている。


 だが、まだ最後の条件が満たされていない。


 その時だった。


 原初の終焉がゆっくりと前へ出る。


 白い巨人は振り返らなかった。


 ただ、巨大な存在へ向かって歩き出す。


『私は知りたい』


 静かな声が響く。


『終わりの先を』


 レインは目を見開いた。


 原初の終焉が、自らの意思で動いている。


 命令ではない。


 本能でもない。


 自分で選んでいる。


『だから』


 白い身体が光を放つ。


『私はお前に従わない』


 世界が静まり返った。


 無限の彼方が初めて反応する。


 巨大な領域の奥で、無数の光が揺れた。


 それは驚きだった。


 原初の終焉が反逆したのだ。


 数え切れない世界を終わらせてきた存在が、初めて自分で未来を選んだ。


 そして、その瞬間。


 ゼノスの表示が大きく変化する。


『リユニオン計画進行率上昇』


『五十五パーセント』


『六十二パーセント』


『七十パーセント』


 一気に数字が跳ね上がる。


 全員が息を呑む。


 最後の条件。


 終焉の意志。


 それが今、満たされ始めていた。


 だが次の瞬間。


 無限の彼方の中心で、何かが目を開く。


 今までとは比べ物にならない圧力が世界を襲った。


 そして。


 誰も聞いたことのない声が響く。


『なぜ』


 たった二文字。


 それだけで空間が歪む。


『なぜ抗う』


 静寂。


 レインは拳を握った。


 ついに。


 世界の始まりよりも古い存在が、こちらを見たのだった。

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