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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第2シーズン第1章

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繋がる意志

 原初の終焉は黙っていた。


 巨大な白い身体は相変わらず空を覆っている。しかし、その存在感は少しだけ変わっていた。先ほどまで感じていた絶対的な圧迫感が薄れている。


 代わりに見えるのは戸惑いだった。


 世界を終わらせることしか知らない存在。


 そんな原初の終焉にとって、「一人ではなくみんなで支える」という考え方は理解できないものだった。


『なぜ』


 静かな声が響く。


『なぜ分け合う』


 ミナが首を傾げる。


「え?」


『苦しみを』


『責任を』


『犠牲を』


『なぜ分け合う』


 静寂が広がる。


 原初の終焉の問いは純粋だった。


 悪意も皮肉もない。


 本当に分からないのだ。


 レインは少し考えてから答えた。


「たぶん、一人じゃ無理だからだ」


『無理?』


「そう」


 レインは笑う。


「俺、そんなに強くないし」


 第八席が吹き出した。


「今さら何を言ってるんだ」


「いや本当だって」


 第三管理者も苦笑する。


「地下世界で何回死にかけたと思ってるの」


「数えてない」


「私は数えてる」


「数えてたの?」


 少しだけ笑いが起きる。


 こんな状況なのに。


 世界が崩壊しかけているのに。


 それでも笑える。


 原初の終焉はその様子を見つめていた。


 理解できない。


 だが目を離せない。


 レインは続ける。


「地下世界で旅を始めた頃の俺は、一人で何とかしようとしてた」


 懐かしい記憶が浮かぶ。


 暗い洞窟。


 終わりの見えない迷宮。


 何も知らなかった頃。


「でも無理だった」


 静寂。


「だから助けてもらった」


 ミナを見る。


「迷子になった時も」


 リシアを見る。


「作戦を考える時も」


 男を見る。


「戦う時も」


 アヤを見る。


「諦めそうになった時も」


 そして全員を見る。


「みんながいたからここまで来れた」


 風が吹く。


 崩れかけた空を見上げながらレインは言った。


「だから今さら一人でやるなんて無理なんだよ」


 静寂。


 原初の終焉は何も言わない。


 だが確実に聞いている。


 E-マイナス1も黙っていた。


 銀色の瞳が揺れている。


 彼もまた同じだった。


 終わった世界ばかり見てきた。


 だが今目の前にあるものは違う。


 終わりへ向かう世界なのに。


 誰も諦めていない。


 その時だった。


 ゼノスの光が大きく広がる。


『リユニオン計画解析完了』


 全員が振り向く。


 設計図が変化する。


 今まで表示されていなかった部分が次々と開かれていく。


『共同統合条件を表示』


 光の文字が空中に並ぶ。


 第一条件。


『地下世界の意志』


 第二条件。


『天界層の意志』


 第三条件。


『管理者の意志』


 第四条件。


『終焉の意志』


 第八席が眉をひそめる。


「意志?」


『はい』


 ゼノスが答える。


『リユニオン計画は力を集める計画ではありません』


 静寂。


『異なる存在を理解し、繋ぐ計画です』


 その言葉に全員が息を呑む。


 確かに今まで勘違いしていた。


 強大なエネルギーが必要なのだと思っていた。


 だが違う。


 必要なのは意志。


 理解。


 繋がり。


 それこそがリユニオン計画の本質だった。


 その時、第七席が笑った。


『やっぱりな』


 レインが見上げる。


『俺らしい』


「自分で言うなよ」


『事実だ』


 第七席は少し誇らしそうだった。


 そして少しだけ寂しそうでもあった。


『昔の俺は勘違いしていた』


 風が吹く。


『世界は力で守るものだと思っていた』


 静寂。


『でも違った』


 彼はレインを見る。


『お前たちが証明してくれた』


 その言葉にレインは何も返せなかった。


 地下世界の旅。


 天界層での戦い。


 管理者たちとの出会い。


 全てがここへ繋がっていたのだ。


 その時だった。


 突然、空が大きく揺れる。


 ゴォォォォォォォン!!


 凄まじい轟音。


 全員が顔を上げる。


 そして息を呑んだ。


 空の裂け目がさらに広がっている。


 その向こう側。


 真っ暗な空間。


 そこから何かが流れ込んでくる。


 無数の光。


 いや。


 世界だった。


 崩壊した世界。


 砕けた星。


 終わった文明。


 滅びた歴史。


 世界の外側に漂っていた残骸が、こちらへ流れ込んできている。


 E-マイナス1の顔色が変わった。


「まずい」


 全員が振り向く。


「世界の外側が近づいている」


 静寂。


「原初の終焉が完全に目覚めれば、境界が消える」


 風が吹く。


「そうなれば終わった世界の残骸が全部流れ込む」


 第三管理者が青ざめる。


「全部って……」


「全部だ」


 静寂。


「数え切れないほどの世界が」


 絶望的な光景だった。


 ただでさえ今の世界は崩壊寸前。


 そこへ終わった世界の残骸まで流れ込めば、本当に終わる。


 その時、原初の終焉が空を見上げた。


 そして初めて苦しそうな声を出した。


『違う』


 全員が固まる。


『私は』


 白い巨人が震えている。


『こんなことは望んでいない』


 静寂。


 誰も予想していなかった言葉だった。


 終わらせることしか知らない存在。


 だがその存在自身が、今起きようとしていることを否定している。


『私は終わりだ』


 低い声が響く。


『だが無意味な破壊ではない』


 風が吹く。


『終わりには意味がある』


 その瞬間。


 レインは気付いた。


 原初の終焉は変わり始めている。


 初めて自分自身について考えている。


 初めて「何のために終わらせるのか」を考えている。


 そしてそれは、リユニオン計画が成功するための最後の条件に繋がっている気がした。


 だが次の瞬間、ゼノスがかつてない警告を発する。


『緊急警告』


『観測不能の存在を確認』


 全員が凍り付く。


『世界の外側より接近』


 静寂。


『反応数』


 一瞬の沈黙。


『一』


『十』


『百』


『千』


『一万』


 数字が止まらない。


 増え続ける。


 誰も呼吸を忘れていた。


 そしてゼノスは震える声で告げた。


『終わった世界の住人たちが接近中』


 世界の外側から。


 数え切れないほどの来訪者が。


 こちらへ向かってきていた。

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