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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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終焉王の影

黒い翼が空を覆う。


 レインの背後に現れた巨大な影――“終焉王”は、静かに佇んでいた。


 王冠。


 長い黒衣。


 そして、世界そのものを呑み込みそうな闇。


 その姿が現れた瞬間。


 周囲の侵食体たちが、一斉に跪いた。


『王』


『王』


『終焉王』


 無数の声。


 狂信のような響き。


 セリアの表情は完全に凍りついていた。


「そんな……なんで……」


 ガルドが叫ぶ。


「おい、嬢ちゃん! あれはなんなんだ!?」


 セリアは震える声で答えた。


「……終焉戦争を引き起こした存在」


 空気が止まる。


「二百年前、世界を半壊させた“黒月の王”」


 ミナが息を呑む。


「じゃあ、レインが……?」


「違う!!」


 セリアは即座に否定した。


 だがその目には恐怖があった。


「まだ違う……はず……」


 その時。


 巨大な赤い瞳が、愉しそうに笑った。


『あぁ、懐かしい』


 黒い腕が止まる。


 赤い瞳は、終焉王の影を見つめていた。


『またその姿を見るなんて』


 レインは苦しそうに呼吸する。


「ぐっ……!」


 頭が割れそうだった。


 感情が流れ込んでくる。


 怒り。


 憎しみ。


 絶望。


 終焉王の記憶。


『全部壊せ』


『世界は間違っている』


『終わらせろ』


「違う……!」


 レインは叫ぶ。


 だが声が掻き消される。


【王権因子 暴走警告】


 《アークヘリオン》が脈打つ。


 蒼黒だった剣が、徐々に黒へ侵食され始めていた。


『レイン!』


 ゼノスの声。


『飲まれるな!!』


 その時。


 ミナが走った。


「レイン!!」


「来るな!!」


 レインの周囲で黒い魔力が荒れ狂う。


 近づけば危険だ。


 だがミナは止まらなかった。


「バカ!! 一人で抱え込むな!!」


「ッ……!」


 ミナはレインの手を掴む。


 熱い。


 魔力が暴走している。


 それでも離さない。


「レインはレインでしょ!?」


 その言葉。


 胸の奥へ、真っ直ぐ届く。


「終焉王とか知らない! 世界を滅ぼしたとか知らない!」


 ミナの目には涙が浮かんでいた。


「でも、私が知ってるレインは!」


 震える声。


「誰かを守ろうとしてるレインだけだよ!!」


 その瞬間。


 レインの中で、何かが止まった。


 黒い感情の奔流。


 終焉王の憎悪。


 その奥で。


 小さな“自分”の声が聞こえた。


『……守りたい』


 世界を壊したいんじゃない。


 守りたかった。


 失いたくなかった。


 だから力を求めた。


 その結果、全てが壊れた。


「……あ」


 涙が零れる。


 知らない記憶なのに。


 苦しい。


 悲しい。


 後悔で胸が潰れそうだった。


 その時。


 終焉王の影が、ゆっくりレインを見る。


 闇の奥にある金色の瞳。


 それは、どこか寂しそうだった。


『……まだ』


 低い声。


『やり直したいか』


 レインは息を呑む。


 これは。


 終焉王自身の声。


 過去の自分。


 影が静かに手を伸ばす。


『なら、証明してみせろ』


 世界が震える。


『今度は壊さずに、守れると』


 その瞬間。


 巨大な赤い瞳が、つまらなそうに呟いた。


『つまんないなぁ』


 黒い腕が、再びこちらへ伸びる。


『また絶望してくれないの?』


 圧倒的な力。


 だが。


 レインはもう震えていなかった。


 《アークヘリオン》を握り直す。


 ミナの手の温もりが、まだ残っている。


 そして。


 エルドが、静かに立ち上がった。


『……ご立派になられました』


 壊れかけた騎士が、笑う。


 レインは空を睨んだ。


「絶対に」


 蒼黒の光が溢れる。


「今度は終わらせない」


【王権因子 安定化開始】


【新規能力 解放】


 レインの足元に、巨大な魔法陣が広がる。


 そして。


 終焉王の影が、《アークヘリオン》へ重なる。


【限定解放:《終律形態》】


 空気が変わった。


 巨大な赤い瞳が、初めて警戒したように細められる。


『……へぇ』

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