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『無限転生した俺、最弱辺境村から“神殺し”へ至る〜継承スキルで世界最強になったので、滅びの運命を変えます〜』  作者: Y.M
第1章

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終焉の手

空が裂ける。


 黒い亀裂の向こうから現れた“腕”は、あまりにも巨大だった。


 山のような黒い指。


 空間そのものを掴み潰すような圧力。


 伸びてくるだけで、大地が沈んでいく。


「……っ」


 誰も動けなかった。


 本能が理解している。


 あれは、生物じゃない。


 存在の格が違う。


【警告】


【世界外存在を確認】


【認識危険】


 レインの頭の中に赤い文字が浮かぶ。


 視界がノイズ混じりになった。


 巨大な赤い瞳が愉しげに細められる。


『怖い?』


 声だけで心が削られる。


 ミナが震えていた。


 セリアも杖を握る手が僅かに揺れている。


 ガルドですら顔色が真っ青だった。


 だが。


 黒騎士エルドだけは、立ち上がった。


『……王から、離れろ』


 壊れた鎧。


 片腕も失っている。


 それでも剣を構える。


 赤い瞳が、静かに細められた。


『まだ抗うんだ』


『当然だ』


 エルドの声は低い。


『我が王がいる限り、私は倒れぬ』


 その言葉に、レインの胸が熱くなる。


 知らないはずなのに。


 なぜか分かる。


 この騎士は、本当にずっと戦っていた。


 二百年。


 世界が滅んだ後も。


 たった一つの命令のために。


 ――次の俺を、守れ。


「……エルド」


 レインが呟く。


 するとエルドは、僅かに笑った気がした。


『ようやく、お名前を呼んでいただけた』


 その瞬間。


 巨大な腕が振り下ろされた。


 空が落ちてくる。


「ッ!!」


 レインは《アークヘリオン》を握る。


 だが。


 無理だ。


 直感で分かる。


 今の自分では止められない。


『下がってください』


 エルドが前へ出る。


「待て!」


『これは、騎士の役目です』


 漆黒の剣が光る。


 黒い魔力が溢れ出す。


 だが。


 エルドの体が崩れ始めていた。


 侵食限界。


 もう長くない。


『本当は』


 エルドが静かに呟く。


『もっと早く、見つけたかった』


 黒い腕が迫る。


 空間が砕ける。


『今度こそ』


 エルドは剣を構えた。


『あなたを、独りにしない』


「やめろぉぉぉぉッ!!」


 レインが叫ぶ。


 その瞬間。


 エルドが跳んだ。


 漆黒の騎士が、世界外の怪物へ向かって突撃する。


『――《黒終斬》』


 剣が振り抜かれる。


 漆黒の斬撃が空を裂いた。


 巨大な腕へ直撃する。


 次の瞬間。


 ズガァァァァァァン!!


 世界が揺れた。


 黒い腕が、斬り裂かれる。


『……あれ』


 赤い瞳が、少し驚いたように細められた。


 だが。


 直後。


 黒い腕が再生を始める。


 エルドの剣では、止めきれない。


『……やはり、まだ足りませんか』


 エルドの体に亀裂が広がる。


 限界だった。


 巨大な腕が、今度こそエルドを掴もうとする。


 その時。


 レインの中で、“何か”が切れた。


「……ふざけるな」


 怒り。


 恐怖。


 悲しみ。


 全部が混ざる。


 胸の奥から、凄まじい熱が溢れ出した。


【感情臨界点突破】


【王権因子 活性化】


 《アークヘリオン》が暴走するように輝く。


 蒼黒の光が天へ伸びた。


 セリアが目を見開く。


「レイン、待って! その出力は――」


 止まらない。


 レインの脳裏に、過去の記憶が流れ込む。


 滅び。


 絶望。


 後悔。


 そして。


 “守れなかった人たち”。


「もう……失わない」


 レインは空を見上げた。


 巨大な赤い瞳を睨む。


 怖い。


 でも。


 逃げたくない。


「お前が何だろうと関係ない」


 《アークヘリオン》を構える。


 世界が震える。


 空気が裂ける。


 ゼノスが低く呟いた。


『その力は、まだ使うな』


「でも!!」


『今のお前では死ぬ』


 レインは歯を食いしばる。


 だが。


 巨大な腕は止まらない。


 エルドが消される。


 その瞬間。


 レインは叫んだ。


「だったら!!」


 蒼黒の光が爆発する。


「死んでも止めるッ!!」


【第三段階 超過励起】


【封印解除率:13%】


 《アークヘリオン》から、黒い翼のような光が広がった。


 そして。


 レインの背後に、“巨大な影”が現れる。


 王冠を被った、黒い人影。


 その姿を見た瞬間。


 セリアの顔から血の気が消えた。


「……終焉王」

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